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4章 神居琴葉
31.意外な所で繋がりが
しおりを挟む家に着く頃、一台の原付バイクが前から近付いて来て俺の横で止まった。やっぱり紘夢と城之内だった。
「琴葉みっけ♪言われた物持って来たよー」
「早くて助かるわ。まさか電話して数分後にくれるとは思ってなかったけど……」
「クソが!テメェもこういうのはテメェで買えってんだ!」
城之内に怒られた。
まぁ、俺もパシリでこんな物買いに行かされたら怒るけど。
俺は紘夢から頼んだ物を受け取って、城之内にもお礼を言おうとして、ふと城之内が着ている制服で思い出す。
光陽高校の制服……って事は城之内は恋くんと同じ高校なのか。
「あのさ、城之内って光陽だよな?」
「あ!?テメェタメ口聞いてんじゃねぇぞ!」
「コラ!琴葉はお前より頭良いんだぞ!タメ口ぐらいで怒鳴ってんじゃねぇよ!」
「光陽の恋って知ってる?確か、山岸恋だったかな?」
「恋だと!?」
「恋くんだと!?」
俺の質問に、城之内だけじゃなくて紘夢まで目を丸くして驚いた顔していた。
え、恋くんって有名人なの?
そして城之内は俺の事を睨みながら聞いて来た。
「お前恋の何だよ?」
「恋くんとはお友達だよ。同じ光陽だから知ってるかな~って、それだけ!」
「恋の友達ね~」
「ププ、こいつ恋くんにフラれたんだよ♪」
「マジ?」
「嘘こいてんじゃねぇぞ紘夢!俺はまだ告ってもねぇ!」
「あ、好きなのは本当なんだ」
こりゃ驚いた。
恋くんてモテるんだな~。
まさかこんなガチガチのヤンキーからも好かれてるなんて。
「でも恋くんには素敵な彼氏がいるじゃん。フラれたも同然だよね!あ、琴葉にも話してあげれば?城之内が恋くんにフラれて俺の下僕になった時の話~」
「振り落とすぞコラ!あーもうとんでもねぇのに引っかかっちまったわクソが!」
どうやら紘夢も関わってるらしいな、それは面白そうな話だ。
それにしても相変わらず紘夢は滅茶苦茶してるっぽいな。
こんなヤンキーを下僕にしちゃうとか、考える事が常人じゃないわ。
俺は紘夢達の話が聞きたかったので家に連れて行く事にした。
「わーい♪琴葉の部屋2回目~♪」
「何で俺までっ」
「まぁまぁ、恋くんの話聞かせてよ♪どんな風にフラれたのか気になるじゃん」
「だからフラれてねぇ!!」
俺の部屋に入るなり城之内は壁に背中を付けてドカッと胡座をかいて座った。
紘夢は俺の勉強机に座り、俺はソファに座る。
2人の天才と1人のヤンキーと言う面白い組み合わせに、俺はワクワクしていた。
「改めて紹介するけど、城之内は俺とタメで、光陽の3年ね。一応光陽のトップやってるけど、実質トップは野崎楓くんって言う二年生なの。まぁ、楓くんの恋人の恋くんに手を出してボコボコにされて今では俺の手下にまで成り下がったって言うよくある話さ~」
「合ってないようで合ってるからムカつくな」
「なるほどな~、城之内は学年違うのに恋くんの事知ってたんだ?」
「恋はとびきりのヤンキーじゃねぇが目立つ奴でよ、ほら綺麗な顔してんだろ?前から気になってたんだけど、他の奴からあいつを絞めて欲しいって頼まれてよ、ちょうど良いやってそれでな」
「えっ手を出したって殴ったって事?好きなのに?」
「初めはな、後で可愛がろうと思ってたんだよ。完全に逆らえなくなるまで痛め付けてからな」
「城之内ってクズだろー?」
「ふーん、暴力で支配か……」
俺がそういう愛もあるのかと納得してると、紘夢が隣に座って来て俺に注意する。
「城之内のやり方は真似しちゃダメだぞ?千景に嫌われちゃうぞ」
「しないしない。俺暴力嫌いだから」
ふと俺はまだ千景と仲良くなる前に殴られそうになったのを思い出した。
暴力には興味のない俺は、人を殴るって発想が沸かないけど、城之内なら千景の気持ちが分かるかもな。
カッとなってやった、とか城之内に似合うもんな。
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