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2章 大切な友達
17.ご報告
しおりを挟む次の日、俺は朝から勉強をしていた。
時計を見て8時になるのを確認して少し休憩しようとリビングへ降りる。
そこにはいつの間に帰っていたのか父の姿があった。
「おかえり、今日は休めたんだね」
「おお、尚輝♪それがまたすぐに出なくちゃいけなくてね、少しでも尚輝の顔を見たくて一度帰って来たんだ」
俺が声を掛けると嬉しそうに笑った。
そして珈琲を淹れてくれた。
「忙しいのにありがとう。体は大丈夫?」
「この通り元気さ。尚輝も元気そうで良かった」
俺は父と二人暮らしで、俺が幼い頃に母は亡くなっている。その為か、父は忙しい身でありながらも俺に良く気に掛けてくれていた。
自分でも思うけど、とても大切にしてくれてると思う。
「あのね、お父さん、実は報告があるんだ」
「何だい?話を聞こう」
既に父には伊吹さんの事は話してあるんだ。俺が片想いしてる人は男性だと打ち明けた事がある。その時に約束した事があった。
両想いになったらお父さんに会わせるって。
「この前話した伊吹さんの事なんだけど……」
「何かあったのか!?」
伊吹さんの名前を出した途端に、父の顔が強張った。俺がゲイだと言う事を打ち明けた時も困惑してたけど、両想いになれたって話しても平気だろうか?
「その、お付き合いして貰える事になったんだ」
「な、何だと!?」
「お父さんは伊吹さんも俺の事を好きになってくれたら許してくれるって言ったよね?やっぱりダメなの?」
「そうじゃない……まさかこんなに早く結ばれるとは……いや、尚輝が相手なんだからいつかはそうなるのは分かっていたさ……ただ心の準備が……」
「お父さん?大丈夫?」
一人でブツブツ言っている父に少しだけ不安になった。この前は認めてくれたような事を言っていたけど、やっぱり男性とお付き合いなんて許せないのかもな。
そうだよな、ただでさえ父は大手玩具メーカー一社を担う立派な人だ。そんな人の息子がゲイだなんて周りに知れたら父や会社の名前に傷が付きかねない。
「ごめんなさいお父さん。俺が男性を好きになってしまったばかりに」
俺が申し訳なさに耐えかねて素直に謝ると、父は険しい顔をパッと柔らかくさせて慌てて笑顔を作ってくれた。
「な、尚輝が謝る事じゃないよ!いや、私もつい動揺してしまってすまなかったな。そうだ、両想いになったのなら会わせてくれるんだろう?早速食事の予約をしよう。今日は時間が作れないから、そうだな、来週なんてどうだ?」
「その事だけど、伊吹さんに話してからでもいいかな?やっぱりこの件はデリケートな話だから伊吹さんが何て言うか……」
「それは勿論構わないが、私も尚輝とお付き合いする相手の事は知っておきたいからな。伊吹くんによろしく言っておいてくれ」
「うん♪お父さん、いつか必ず会わせるから楽しみにしててね」
「楽しみにしているよ♪尚輝の好きな人だからさぞかし素敵な人何だろうなぁ」
伊吹さんを会わせたら、きっとお父さんは驚くだろうな。だって伊吹さんは誰よりも綺麗で素敵な人だから。
俺は会わせたい反面、伊吹さんの気持ちを考えると悩んでしまう。もし伊吹さんが俺の父と会うのを拒んだら……
俺は父には隠し事とかをしたくない。出来るなら伊吹さんを紹介して、正式に認めてもらいたいと思っている。
でも、大事なのは伊吹さんの気持ちだから、ここはしっかり話し合わなきゃいけない部分だなと改めて思った。
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