【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino

文字の大きさ
38 / 100
3章 年下の友達

時間掛けて知っていこうぜ~?

しおりを挟む

 双葉と二人で観覧車に乗り込んだが、微妙な空気が流れていた。

 観覧車に乗る少し前から双葉の元気がないなぁとは思ってたんだけど、今俺が放った言葉に双葉はまた元気をなくしていた。

 あちゃー、俺やっちまった?
 俺って何も考えずに喋るらしいからなぁ。
 んでもそんな俺に慣れてもらわねぇと俺がつまんねぇしなぁ。

 相手が伊織とか空とかいつもの奴らなら大して気にしねぇけど双葉は年下だし、良い奴だからなぁ。
 はぁ、俺が大人になるしかねぇか。


「何気にしてんだよ。お前だって一緒にいて作り笑いされたら嫌だろ。一緒にいる奴には本当に笑っててもらいたいし、怒るなら怒ってもらいたい。何で作ったりすんだよ?」

「……だって」

「だって?」

「貴哉が、遊んでくれないって言うから……大嫌いって言われたから……」


 下を向いてポツリポツリと俺への不満を言い始める双葉。
 俺よりデカいくせに何だよその弱々しいのは!
 はぁ~、見た目は出来上がってってけど、やっぱり中学生なんだな!
 そんな双葉が可愛いく感じて俺はゴンドラを動かすなと言う双葉の言葉を無視して乱暴に双葉の隣に移動する。
 案の定俺達のゴンドラは大きく揺れて、俺でも少し怖かった。


「ひっ!揺れ過ぎじゃね!?」

「貴哉がいきなり移動してくるからでしょう!?」

「はは!でも楽しいな♪外見るのもいいけど、こういう楽しみ方もあるんだな♪」

「多分後者の楽しみ方は間違えてますよ……」

「何か言ったかぁ?」

「いいえ?」

「んで、何だったっけ?俺が嫌な事言っちまったんだよな?そもそも遊ばないとは言ってねぇだろ。お前は受験あるんだから遊んでばっかいねぇで頑張れよって事だよ。行き詰まったら遊んでやるよ」

「本当に?」

「本当だ。あとは、大嫌いってのか?あれはお前にそうなって欲しくないから言ったんだ。双葉の事は本当に良い奴だと思ってるから俺の嫌いな人間にはなって欲しくねぇの!分かったか?」

「……はいっ!俺、貴哉に好かれる人間になりたいです!」


 俺の言葉に元気良く返事をする双葉。
 可愛いなぁ♪素直で言う事聞くって、年下っていいじゃん♪
 元気になったっぽい双葉に俺は頭を撫でてやった。


「その意気だ♪これからも一緒に遊ぼうな♪そうだ、俺の連絡先教えっからいつでも連絡して来いよ。寝てたり面倒な時以外はちゃんと返すからよ」

「やったぁ♪ずっと貴哉の連絡先聞きたかったんです!嬉しいなぁ♪」

「お前ってば!本当に可愛い奴だなぁ♪」

「可愛い……それは言われた事ないですね。貴哉から見て俺は可愛いですか?」

「可愛いよ。俺って年下には嫌われる事多かったからお前みたいな後輩と仲良くなれて嬉しいんだ。だからもう俺の嫌がる事すんなー?」

「はいっ!絶対しません!誓います!」

「はは!良い子良い子♪」


 俺に年下扱いされてるのに、満足そうな双葉。
 素直だし、ちゃんとしてるし本当に良い子だ。
 俺が中三の頃とは大違いだな。俺は今と変わらねーけど。

 もう少しで地上に着く頃、すっかり元気になった双葉は、笑顔で話し始めた。


「貴哉、お互いまだ知らない事とかたくさんあると思います。それでも俺は貴哉ともっと仲良くなりたいです。貴哉にもいつかは俺の全てを知ってもらいたいです」

「おう。時間掛けて知っていこうぜ~?」

「はい。あと、何があっても俺を信じて下さい。俺は貴哉を裏切りません」

「ん?何大袈裟な事言ってんだ。まぁ信じてるよ」


 いきなりすげぇ事言い出すな。
 俺に何かあったら助けてくれるって事か?
 まぁ双葉なら頼りになりそうだし、期待しとくか。

 そして地上に到着して二人で遊園地を出て軽く飯食って過ごした。
 その間はとても楽しくいろんな話をして過ごした。

 俺の新しい友達は年下で、大人っぽい見た目してる癖に中身は人懐っこい子供。でも話してて分かるけど、俺より頭良いと思う。塾行ってるって言ってたしな。
 そんな奴だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 説明は初めの方に詰め込んでます。 えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?) ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます! 5/25 お久しぶりです。 書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

その告白は勘違いです

雨宮里玖
BL
高校三年生の七沢は成績が悪く卒業の危機に直面している。そのため、成績トップの有馬に勉強を教えてもらおうと試みる。 友人の助けで有馬とふたりきりで話す機会を得たのはいいが、勉強を教えてもらうために有馬に話しかけたのに、なぜか有馬のことが好きだから近づいてきたように有馬に勘違いされてしまう。 最初、冷たかったはずの有馬は、ふたりで過ごすうちに態度が変わっていく。 そして、七沢に 「俺も、お前のこと好きになったかもしれない」 と、とんでもないことを言い出して——。 勘違いから始まる、じれきゅん青春BLラブストーリー! 七沢莉紬(17) 受け。 明るく元気、馴れ馴れしいタイプ。いろいろとふざけがち。成績が悪く卒業が危ぶまれている。 有馬真(17) 攻め。 優等生、学級委員長。クールで落ち着いている。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...