【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino

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3章 年下の友達

※ 仲良くさせてもらってるよ

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 ※双葉side

 俺が一通り話終わると、類はニヤニヤしていた。
 別に怒られたりはしなかった。


「さっきの電話の相手って貴哉だったのかよ~!すげぇ仲良くなってんじゃん」

「仲良くさせてもらってるよ」

「でもさー、それなら都合良くね?何で俺には協力出来ないのさー?」


 類の言う協力とは赤い髪の男との事だろう。
 でもそれに協力すると恋人である貴哉を引き離さないくちゃならなくなる。そんな事をしたら貴哉が嫌な思いをするだろ。


「貴哉には幸せになってもらいたいんだ」

「すっかり名前で呼んでるし~♪俺も貴哉の事は好きだから幸せになってもらいたいと思ってるよ。でも俺も伊織さんと幸せになりたいもん」


 当然のように言う類。
 そりゃ俺だって類にも幸せになってもらいたい。
 ただ、人の幸せを奪ってまでなるのは間違ってるんだ。そこはどうにもならないのかな。


「だからさ~、貴哉の事は双葉が幸せにしてやりゃいいんじゃねぇのって話♪」

「俺が?」

「だって好きなんだろ?貴哉の事」

「好きだけど……俺じゃ赤い髪の男の代わりにはなれないだろ」

「どーして?もう振られたのか?」

「俺と貴哉はそういう仲じゃない。友達だ」

「あ、そーなの?双葉は貴哉をそういう対象で見てねぇの?なら無理か~」


 実際悩んだ事はある。
 貴哉に好きなのかって聞かれて答えに迷って、結局出した答えは友達として好きと言う事。
 じゃないと貴哉が離れて行っちゃう気がしたから。


「でもさー!俺もう伊織さんが欲しくて堪らないんだよね!双葉の気持ちは分かったけど、俺の気持ちも分かってよ」

「分かるよ。だからこれからは俺を使わずに正々堂々好きになってもらえばいいだろ」

「でもなー、伊織さんってガード固いんだよなぁ」

「悪いけど、俺は貴哉とこれからも仲良くしたいから協力は出来ない」

「うん。いいよそれで。なぁ、四人で遊んだりするのはー?それぐらいはいいだろ?」

「……いいけど、協力は出来ない」

「分かってるって!多分あの伊織さんの感じだと、俺一人じゃ警戒されて会ってくれなそうだから双葉もいてくれると助かる♪双葉は貴哉と楽しんでくれればいいからさ♪」

「俺は類には本当に幸せになってもらいたいと思ってるよ」

「サンキュー♪なぁ、双葉は今まで嫌々俺の言う事聞いてたのか?」

「半々かな。初めはお前が喜ぶならって思ってたけど、段々意味が分からなくなって来たんだ。好きでもない奴と電話やメッセージしたり、休みの日に会ったり。何やってんだろって思ってた」

「そうなんだ。てっきり双葉も楽しんでるのかと思った。今まで悪かったな」

「…………」


 いきなりの類からの謝罪に、俺は驚いた。
 あの類が俺に謝るなんて……
 
 やっぱり類は良い奴だ。
 俺の知ってる類だ。

 ただ良い悪いの境目が自分寄りの考えになってしまうだけ。欲しいものは欲しい。まるで子供。
 でもそこだけなんだ。
 本当の類は明るくて優しくてとても暖かい男なんだ。


「でさ~、また学校でも話し掛けていい?お前いないとつまんない!」

「いいよ。俺も類がいないと教科書が無くなって困る」

「それなー!絶対犯人見つけてやるよ!誰だよ双葉の教科書パクった奴!あと怪我させた奴も!」

「教科書は新しいの買うからいいよ。足もすぐに良くなりそうだし、今回は見逃す事にした」


 これは相棒である類を裏切ろうとした罰だと思っている。
 今まで俺がハッキリ言っていれば良かったんだ。
 相棒として、いけない事を教えてやるべきだったんだ。

 遅くなってごめんな類。
 これからもよろしく類。


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