55 / 100
3章 年下の友達
※ 仲良くさせてもらってるよ
しおりを挟む※双葉side
俺が一通り話終わると、類はニヤニヤしていた。
別に怒られたりはしなかった。
「さっきの電話の相手って貴哉だったのかよ~!すげぇ仲良くなってんじゃん」
「仲良くさせてもらってるよ」
「でもさー、それなら都合良くね?何で俺には協力出来ないのさー?」
類の言う協力とは赤い髪の男との事だろう。
でもそれに協力すると恋人である貴哉を引き離さないくちゃならなくなる。そんな事をしたら貴哉が嫌な思いをするだろ。
「貴哉には幸せになってもらいたいんだ」
「すっかり名前で呼んでるし~♪俺も貴哉の事は好きだから幸せになってもらいたいと思ってるよ。でも俺も伊織さんと幸せになりたいもん」
当然のように言う類。
そりゃ俺だって類にも幸せになってもらいたい。
ただ、人の幸せを奪ってまでなるのは間違ってるんだ。そこはどうにもならないのかな。
「だからさ~、貴哉の事は双葉が幸せにしてやりゃいいんじゃねぇのって話♪」
「俺が?」
「だって好きなんだろ?貴哉の事」
「好きだけど……俺じゃ赤い髪の男の代わりにはなれないだろ」
「どーして?もう振られたのか?」
「俺と貴哉はそういう仲じゃない。友達だ」
「あ、そーなの?双葉は貴哉をそういう対象で見てねぇの?なら無理か~」
実際悩んだ事はある。
貴哉に好きなのかって聞かれて答えに迷って、結局出した答えは友達として好きと言う事。
じゃないと貴哉が離れて行っちゃう気がしたから。
「でもさー!俺もう伊織さんが欲しくて堪らないんだよね!双葉の気持ちは分かったけど、俺の気持ちも分かってよ」
「分かるよ。だからこれからは俺を使わずに正々堂々好きになってもらえばいいだろ」
「でもなー、伊織さんってガード固いんだよなぁ」
「悪いけど、俺は貴哉とこれからも仲良くしたいから協力は出来ない」
「うん。いいよそれで。なぁ、四人で遊んだりするのはー?それぐらいはいいだろ?」
「……いいけど、協力は出来ない」
「分かってるって!多分あの伊織さんの感じだと、俺一人じゃ警戒されて会ってくれなそうだから双葉もいてくれると助かる♪双葉は貴哉と楽しんでくれればいいからさ♪」
「俺は類には本当に幸せになってもらいたいと思ってるよ」
「サンキュー♪なぁ、双葉は今まで嫌々俺の言う事聞いてたのか?」
「半々かな。初めはお前が喜ぶならって思ってたけど、段々意味が分からなくなって来たんだ。好きでもない奴と電話やメッセージしたり、休みの日に会ったり。何やってんだろって思ってた」
「そうなんだ。てっきり双葉も楽しんでるのかと思った。今まで悪かったな」
「…………」
いきなりの類からの謝罪に、俺は驚いた。
あの類が俺に謝るなんて……
やっぱり類は良い奴だ。
俺の知ってる類だ。
ただ良い悪いの境目が自分寄りの考えになってしまうだけ。欲しいものは欲しい。まるで子供。
でもそこだけなんだ。
本当の類は明るくて優しくてとても暖かい男なんだ。
「でさ~、また学校でも話し掛けていい?お前いないとつまんない!」
「いいよ。俺も類がいないと教科書が無くなって困る」
「それなー!絶対犯人見つけてやるよ!誰だよ双葉の教科書パクった奴!あと怪我させた奴も!」
「教科書は新しいの買うからいいよ。足もすぐに良くなりそうだし、今回は見逃す事にした」
これは相棒である類を裏切ろうとした罰だと思っている。
今まで俺がハッキリ言っていれば良かったんだ。
相棒として、いけない事を教えてやるべきだったんだ。
遅くなってごめんな類。
これからもよろしく類。
10
あなたにおすすめの小説
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
説明は初めの方に詰め込んでます。
えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
聞いてた話と何か違う!
きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。
生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!?
聞いてた話と何か違うんですけど!
※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。
他のサイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる