【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino

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4章 空のバースデーパーティー

まぁもう少し耐えてくれや

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 空が泣いてる。
 俺と言い合って、シカトして突き離したら泣いた。
 勘弁してくれよぉ!
 こんなとこ誰かに見られたら俺が今日の主役を泣かした悪い奴になるじゃん!

 俺は焦って空の肩を掴んでどうにか泣き止んでもらおうとする事にした。


「空!何泣いてんだ!今のは冗談じゃねぇか!」

「ううっ俺いっぱい我慢してるのに貴哉が冷たくする!もうやだ!」

「駄々こねるなって!ほらもうすぐで試合だぞ!?」

「泣き顔のまま出る!」

「やめろって!ダセェだろ!」

「ダサくてもいい!貴哉のせいだ!」


 その後もポロポロと涙を流し続ける空。
 あーあ、そんなに泣いたら目腫れるだろうが。
 
 でも、空の言う通り、我慢させてるのは分かってた。空は俺と付き合いたがってるのに、好きだとか言っても付き合わずにそのままにしてるし、俺と伊織が付き合ってた時だって、途中でおかしくなっちまった事もあったけど、それでも持ち堪えてずっと俺の事を好きだと言って側にいてくれんだ。
 空にはいつも辛い思いさせてるのは俺が良く知ってるんだ。

 今目の前で泣きじゃくる空は、ずっと箱にしまってた物が、中で暴れてしまいきれずに飛び出しているかのようで、俺はいたたまれなくなった。

 何だろう。俺が悪いのに、空を泣かせてるのに……
 すげぇ愛おしい……

 俺は流れる涙を指で拭ってやって、それから空を抱きしめてキスをしてやった。
 空は大人しくなって、俺の背中に腕を回して来た。

 顔を離して空の顔を覗き込むと、涙は止まったけど、まだ悲しそうな顔をしてたからもう一度チュッとキスをしてやる。
 それから唇以外にも、瞼やほっぺにもキスしてやった。


「空、ごめん。俺が悪かったよ。だから泣くな」

「ん……」

「謝るからもうやだって言うな」

「貴哉……」

「空、好きだ」

「……俺もっ!好きっ!」


 今度は空からキスをしてきた。
 舌を入れたりする激しいやつ。
 久しぶりにするし、場所も人んちだったからちょっと緊張したけど、俺は黙って空とのキスを続けた。

 キスが終わって離れたら空はもう悲しそうな顔してねぇかな?
 元に戻ってるかな?

 もしまだダメならもう押し倒すしかねぇか?


「貴哉ぁ♡」

「おっ♪」


 キスに満足したのか、空から離れてギューって深く抱き締めて来た。
 良かった。戻ってくれたみてぇだな。
 周りに人はいねぇけど、さすがにここで押し倒すのは勇気がいるからな。


「好き♡ちょー好き♡」

「はは、俺も大好きだ♡」

「嬉しい……俺もごめんな?」

「ん。じゃあお互い様って事にしようぜ?そんで仲直り♪」

「うん♡あのさ、貴哉は俺の事が一番なんだよな?」

「ん?そうだけど?」

「信じていいんだよな?」

「おう。いいけど、何で?」

「何でって、貴哉が他の男と仲良くしてるから不安になるんだよっ!貴哉は好きって言ってくれてるけど、付き合ってる訳じゃないから取られるんじゃないかって」

「それって双葉の事か?」

「今は双葉くんが大半だね!他にも一条さんとかトモさんとかもいるけどさ~」

「待て待て。トモは何となく分かるけど、紘夢は無いだろ」

「えー、あんなとこで堂々と抱き付かれててそれ言う~?」

「あんなとこで堂々と?……あ!さっきのか!」


 確かにさっき空達の試合を見てる時に紘夢と話してたら抱き付かれたな!
 空の奴、試合中なのに見てやがったのか。


「見てたのは俺だけじゃないよ。桐原さんも睨んでたし、双葉くんなんて神凪さんに当たってたからね」

「もしかして、双葉が神凪をやったのって……」

「そうだよ。貴哉と一条さんがイチャイチャしてたからブチ切れてたんだよ。やっぱりあの子ヤバいって」

「確かにあん時の双葉の顔はスイッチ入ってたわ……」

「だから言っただろー?双葉くんは貴哉の事が好きだって。俺の気持ち分かったぁ?」

「でも双葉には俺の事好きなのか聞いた事あるんだって。もしそうだったとしたら応えられねぇって教えたんだ。そしたら友達としてだって言ってたぞ」

「えっマジで?嘘だー!でも双葉くんは絶対貴哉の事好きだってー!」

「マジだって。だからその好きは一緒に遊んでくれる楽しいお兄さんって意味での好きだろ。だからこれ以上変なやきもち焼くな!分かったか?」

「うー、分かったよ」

「よし!そんじゃ戻るか~。試合始まるからな」

「待って!あと一個聞きたい!」

「何だ?」

「さっき貴哉とキスして抱き合ったらさぁ?……ねぇ?今日貴哉んち寄っていい?」


 そう言って手を繋いでくる空。
 つまりセックスしてぇのか。
 俺もさっきは少しムラっとしたけど、一応俺と空は付き合ってねぇからな。伊織とも中途半端なままだし、気は進まなかった。


「悪ぃ。それはやめとくわ」

「えー!どうして!?」

「付き合ってねぇのにヤッたら変だろ?セフレってやつになっちまうじゃん」

「俺と貴哉ならセフレになんねぇよ!もう付き合ってるようなもんだしいいだろ!」

「んー、お前の事は誰よりも好きだけどさ~。なんか違うんだよな~?まだ付き合いたい!俺のものにしたいっ!ってレベルじゃねぇんだわ」

「酷い!俺弄ばれてる!」

「人聞きの悪い事言ってんじゃねぇよ。でも大丈夫だろ。次付き合うとしたらお前とだし。まぁもう少し耐えてくれや」

「人の気も知らないで!もう分かったよ!こうなったらどこまでも耐えてやるよ!でも他の奴とイチャイチャしたら浮気だからな!」

「はいはい。ほら行くぞ~」


 いつもの空に戻ったから俺は楽しくなり、空の手を握って二人でドッヂボール会場に戻る事にした。


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