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4章 空のバースデーパーティー
される訳ねぇだろ馬鹿か?
しおりを挟む俺は試合の後、さっきの自分の行動を恥じて一人でコートから離れた駐車場の隅でいじけていた。
結局青チームの戦力である二人がいなくなった後は速攻で破る事が出来て、緑チームの完全勝利で終わった。
紘夢怒ってたなぁ……
トモにはあんな事言っちまったし……
侑士と詩音は喜んでたけど……
今は赤チームと黒チームが対戦してるけど、俺は観戦する気も起きずにそこにいた。
茜、どうしたかな?
桃山もだけど心配だよな。
犬飼も元気なさそうだし。
「やっと見付けた~!」
「!!」
俺はみんなから逃げ隠れるようにここへ来たから、誰かに見つかるとは思わなくてビックリしちまった。
振り向くと、笑顔の空がいた。
「試合終わってすぐにいなくなるから探したじゃん」
「だって……」
俺は試合中にやった恥ずかしい行動、言動を思い出してふいっと顔を横にやると、空はクスクス笑って隣に座った。
「薗田さんにやれって言われたんだろ?なら仕方ないじゃん。猿野さんは本気にしてるみたいだけど~?」
「トモは誤魔化しゃ何とかなる。でも紘夢がよぉ……あいつ怒らせたのはマズイだろぉ!」
「え、一条さんなら大丈夫だろ。貴哉だし、許してくれるだろ」
「あの取り乱した紘夢見ただろ?あいつのあんな顔見た事ねぇよ。もう優勝してもパソコン貰えねぇかも……はぁ……」
「そこかよっ!!パソコンなら俺が優勝して貰ってやるって!!」
「えー?空がぁ?」
「何そのお前に出来んのかみたいな目はぁ~?」
まぁ空の紫チームには神凪もいるし、優勝出来なくはねぇだろうけどよ。
俺は空と目が合って、ふと思い出す。
そういや、こいつさっき双葉に殴られそうになってたんだよな。俺と双葉の事を気にしてたみてぇだけど、もう大丈夫なのかな?
「なぁ空?双葉恐かったか?」
「!!」
「ちゃんと言っておいたから許してやってくんねぇか?」
「……貴哉は双葉くんの事どう思ってんの?」
「可愛い弟!空も仲良くなれば分かるって♪」
「弟ね~。でも双葉くんは貴哉をお兄ちゃんとは見てないんじゃないか?」
「そんな事ねぇよ!あいつ俺の事大好きだし、ちゃんと言う事も聞くしよ~」
「出た!鈍感!」
「何だよ!俺と双葉の事分かってねぇ癖に偉そうに言いやがって!」
「分かってないのは貴哉だろ。双葉くんは貴哉の事を兄としてじゃなくて一人の男として見てる。じゃなきゃ俺に殴りかかって来たりしねぇだろ」
「見てねぇよ!あれは俺の事を好き過ぎてお前の事を悪い奴だって勘違いしただけだ!」
「じゃあもし双葉くんに告白されたら断るんだな!?」
「される訳ねぇだろ馬鹿か?」
「馬鹿だとぉ!?」
「あいつも受験とかいろいろ悩んでんだよ。テメェも年上だったらもう少し大人な態度取れよ」
「はぁ?貴哉に言われたくねぇんだけどっ?」
俺は突っかかってくる空にイライラした。
空とはいつもこうなるけど、今は他にも茜の事とかいろいろ考えてるから余計に苛ついた。
少しは空も大人になったと思ったらそうでもなかったな!俺が空の誕生日だからって甘やかしたせいか?
ふん、それなら冷たくしてやるよ!
「あっそ。ならもうお前とはこれっきりな。もう話し掛けて来んなよ」
「はぁ?何でそうなるんだよっ」
俺は空をシカトして立ち上がり、試合やってるテニスコートの方へ戻ろうとした。
何でこうなっちまうかなぁ。
まぁいい。しばらくすりゃまた元に戻ってるだろ。面倒くせぇし今はパソコン手に入れる事だけ考えよ。
「貴哉はいつもそうだっ」
「…………」
「俺が少しうるさい事言うと怒ってへそ曲げてどっか行く」
「…………」
「たまには俺の言う事も聞いてくれよ……俺の事を好きだって言うなら……頼むよ……」
「……空」
振り向かずにずっとシカトしてたけど、最後の方の弱々しい声を聞いて空の方を向く。
するとそこには座ったまま俺の方を向いてポロポロ涙を流す悲しそうな顔の空がいた。
はぁ!?何泣いてんの!?
ちょ、マジかよ!!
てかどいつもこいつも涙腺弱くね!?
さすがに焦った俺はすぐに空に駆け寄っていた。
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