【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino

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4章 空のバースデーパーティー

俺とお前も今まで通り仲良くすんだよ

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 俺を真っ直ぐに見てる双葉は、真剣な顔で話を続けた。


「はい。知ってました。類から聞いていました。でも、声を掛けた時は貴哉本人だとは知らなかったんです。名前を聞いて気付きました」

「……何で俺と伊織を見に来たんだ?」

「それは……類が桐原さんを狙っているからです」

「あいつ……ふーん。なるほどな。そんでお前は付き添いって訳か」

「いえ、俺は貴哉を不幸にしようとしていました」

「……はい?何て?」

「俺は類が誰かを狙うってなった時にいつも協力していたんです。類は何故だか相手がいる人ばかりを好きになるので、俺がそのカップルを別れさせていました」

「なっ……」

「俺が別れさせたら類は狙っていた人に近付いて自分のものにするんです。いつもそのやり方で俺は人を不幸にして来ました。そして今回は貴哉と桐原さんでした」


 あー、何となく分かったぞ。
 類は双葉を使って欲しい奴を手に入れてたって訳か。そんで、今は伊織が欲しいから邪魔な俺を消す為に双葉を近付けさせたのか。
 本当にクソ野郎だなあいつは。

 俺はだんだんイライラして来て、何も言わずに足を組んで横を向いていた。


「貴哉、本当にごめんなさい。でも信じて欲しいんです。俺は貴哉を不幸になんてしたくありません。貴哉本人だと知らずに声を掛けた時から貴方に惹かれていて、今では失いたく無いと思う程好きになりました。類にも話して俺は協力しないと決めました。これは本当です」

「んー、信じてない訳じゃねぇけどさ」

「貴哉……お願いです。嫌いにならないで下さいっ」


 初めに俺と話した時に言えなくても、もっと早く言えるタイミングあったんじゃねぇの?って思う。一回類の話し出た時あったし、そん時でも良かったじゃん。
 双葉の事は信じたいけど、類が絡んでるから心からそっくり丸ごと信じられるかは分からなかった。
 
 それだけ俺は石原類と言う男が苦手なんだ。
 名前を聞くだけでも機嫌が悪くなる程に。

 変わらない俺の態度に双葉は泣きそうな顔をし出した。
 それを見て俺は何も言えずにいた。

 もし双葉がまた嘘を付いていて、類とグルだったら?そう考えたら双葉に笑い掛けるなんて出来なかった。


「貴哉が言うなら類とは縁を切ります。俺にとって貴哉はそれだけ大切な人なんです。だからどうか、許して下さいっ」

「友達と縁を切るなんて言うんじゃねぇよ。悪い。双葉の事は嫌いじゃねぇけど、信じられるかは分からねぇわ」

「…………」

「で?協力しないって言ってあいつは何て?」

「あ、多分分かってくれたと思います。でも協力はしなくても四人で遊んだりしたいと言ってました」

「ぜってぇ遊ばねぇ」

「……はい。あの、俺が類に桐原さんを諦めるように言えば許してくれますか?」

「あ?んな事出来んのかよ?」

「自信はありませんけど、やるだけやります!」


 泣きそうな面しながら一生懸命に誠意を見せようとする双葉。
 どこまでが本当でどこまでが嘘かもう分からねぇや。

 でも、今目の前にいる双葉は俺が知ってる双葉なんだ。
 もし類と連んで俺を騙してたとしても、双葉は友達の為に動いてるって事だ。
 俺の敵にはなるけど、友達を大切にする奴は悪い奴じゃねぇと思う。

 いや、俺が双葉を悪い奴じゃねぇって思いたいだけなのかもな……


「あーもういいや!お前も類とは今まで通り仲良くしてろよ。俺は何も聞かなかった事にするわ。何か全部面倒くせぇ」

「そんな……それじゃ俺と貴哉は?」

「だから何も聞かなかった事にするって言ってんだろ?俺とお前も今まで通り仲良くすんだよ。嫌か?」

「な、仲良くしてくれるんですか!?」

「してやるよ~。パソコンくれたしな~。そうだ、お前ら知らないみてぇだけど、俺と伊織はもう付き合ってねぇぞ」

「え!?別れちゃったんですか!?それは類から聞いてませんでした!てか類も知らないと思います」

「俺は別れたつもりなんだけど、伊織は保留とか言ってんだ。だから付き合ってはいない。類も好きにすれば?てかあいつを落とせるもんならやってみろってんだ」


 これは正直思ってた。
 あの伊織をモノに出来たら大したもんだって褒めてやりてぇぐらいだ。
 それに、類如きに落とされたら伊織もそれまでの男だったって事だろ。
 これ以上類に俺の周りをウロチョロされたくねぇからな。良い機会だ、双葉に言っといてもらおう。


「伊織を狙うんなら狙うで勝手にしろ。でも俺に関わるんじゃねぇ。これはお前から類に言っておけ。もし類が俺を巻き込んで伊織を落とそうとでもしたら双葉、お前とも口聞かねぇよ」

「それは嫌です!絶対に類を貴哉に関わらせません!約束します!」

「そうか。なら良いんじゃん♪さてと、着替えてくっかな~」


 俺は立ち上がって屋敷の方へ向かう。
 双葉はそのまま黙って座っていた。
 俺があまり良い反応しなかったからか?
 いつもみたいに懐いて来ない双葉に、俺は近寄って腕を掴む。


「ほらお前も行くぞ!着替えてラーメン食うんだろ?あ、それと空にも謝りに行くぞ~。俺の友達やるなら空とも仲良くしてもらいてぇからな」

「え、あっはい!」


 双葉は立ち上がり、俺に引かれながら歩いた。
 しばらくすりゃまたいつもの双葉に戻るか?
 あと双葉の事は紘夢にも紹介してやんねぇとな!
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