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3章 文化祭まで一週間
※ もし、貴ちゃんが空くんを選んだらどうする?
しおりを挟む※伊織side
二人が戻って来るとしたらまずここだろうから、俺はそのままボラ部の出店の椅子に座って待つ事にした。たまに電話を掛けるけど、やっぱり二人共出ない。
時間はもう13時半になろうとしていた。
二之宮が言ってた予定の時間だ。
「えー、本当二人共どこまで行っちゃったんだろー?」
「てか空くん椅子も借りて来てってお願いしたのに机しか借りて来てないじゃん!もう無いかもしれないじゃんね!」
「それなら俺が借りて来るよ~。葵くんに言えば予備のやつ出してくれると思うしー。何個必要?」
「とりあえずここに置けるだけ欲しいです。あと4個ぐらい?」
中西が騒いでるけど、ここには椅子が2個しかないからだろう。今は準備とかで俺一人しか使ってないからいいけど、もっと人が増えたりしたら必要だと思ったみたいだな。
「オーケー。借りてくるよ~」
「一条、俺も行く」
「え、いーくん演劇部はいいの?」
「貴哉探して連れて行くから少し遅れるってメッセージしといた」
「そっか~。じゃあ一緒に行こう~♪」
一条と一緒に校舎の中に入って廊下を歩く。
道中で一条は葵くんに電話をして椅子を4個確保していた。
「葵くんは今いないみたいだけど、生徒会室にあるの持って行っていいって~」
「借りられて良かったな」
「……ねぇいーくん?」
「んー?」
「さっき二人の事を信じてるって言ってたけど、本当なの?」
一条がいつもの笑顔のまま聞いて来た。
嘘に聞こえたってのか?
「本当だよ。何で?」
「だっていーくんて貴ちゃん大好きじゃん。特に空くんとは関わらせたくないだろうに、我慢してるのかなーって」
「はは、我慢ね。少しはしてるよ。一条だから話すけど、本当は貴哉を誰とも関わらせたくないんだ」
「わお~。いーくんて独占欲強そうだもんね~。俺とも?」
「ああ。でも貴哉に誰とも関わるなって言っても聞かねぇだろうし、そこは目を瞑ってる。友達として接する分には仕方ねぇからな」
「へー、いーくんも大変だね。貴ちゃんの周りには大勢人が集まるからね」
「そうなんだよなー。あいつ気付いてねぇけど、モテ過ぎなんだよ。あの天然何とかなんねぇかな」
俺だけに発動すればいいのに。何度も思った事だ。
貴哉は無意識のうちに周りを惹きつけて魅了している。恋愛感情だけじゃなくて、友達としても同様だ。好きになる奴の気持ちは分かる。
だけど、あまりモテないで欲しいんだ。
「ならないでしょー!てか無くなったら貴ちゃんじゃなくない?俺は今の貴ちゃんのままでいて欲しいな」
「はは、恋って難しいね~」
「さすがのいーくんでも手こずる事もあるんだね。これはあまり聞かない方がいいかもだけど、どうしても気になるんだ。聞いてもいいかな?」
「いいよ」
「もし、貴ちゃんが空くんを選んだらどうする?」
「…………」
一条は至っていつも通りだった。いや、そう見えた。正直一条は何を考えてるのか分からない所があるから微妙だけど、俺はそう思いたかった。
じゃなきゃ一条が言うと、何かあるのかと勘繰りたくなってしまう。
俺は一条からの質問に、少し考えてから答えた。
「まず選んだ理由聞く。どんな理由でも貴哉を早川に渡すつもりはねぇけどな」
「じゃあその理由がいーくんにはない物で、空くんにはある物だったら?何て言って引き止めるの?」
「はっ!そんな物あるなら知りたいね~。早川には負ける気がしねぇ」
「そうだよね~♪いーくんに勝てる人なんてそうそういないよね。変な事聞いてごめんね!気を悪くしないでね」
「それぐらい気にしねぇよ」
いや、実際は常に考えている事だったから、一条に質問されてドキッとしたんだ。
貴哉が早川を選ぶなんて常日頃から恐れている事だ。貴哉は俺を失いたくないって言って一緒にいてくれるけど、本当は早川の事が好きで仕方ない筈だ。
多分早川と別れてからより一層その想いは強くなってるだろう。
考えたくないから考えないようにしていた。
考えても貴哉が早川を選んだらどうしたら良いのかなんて分からないからだ。
もう何でも出来るスーパー高校生なんていない。
俺は好きな奴を失わない為に必死にしがみ付くただの男子高校生だ。
貴哉を失わない為に好きにさせる。
俺にとって辛い事でも、貴哉の恋人でいられるなら笑顔で「行って来い」と言う。
また貴哉が「ただいま」って俺のとこに戻って来てくれるように祈って……
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