【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ5th season

pino

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3章 文化祭まで一週間

※ 一条さん……もし裏切るような事をしたらどうなるんですか?

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 ※空side

 貴哉との楽しい時間はあっという間で、再び戻って来た学校に到着して気を引き締める。

 俺と貴哉はみんなには言えないようなしてはいけない事をしてしまった。
 世の中では「浮気」になるだろう。

 でも俺からしたら好きな人と愛し合っただけ。
 何がいけないんだ?
 合意の上だし、お互い愛し合ってるのに、どうして隠さなくちゃいけない?

 その答えは今目の前にいる桐原さんだった。
 貴哉の今の恋人。だから俺と貴哉が愛し合う事は浮気になるんだ。
 貴哉はお願いしても俺の所に戻って来てはくれない。頑なに桐原さんとは別れようとはしなかった。

 きっと貴哉にとって桐原さんは何よりも大切な存在なんだろうなって思っている。
 俺は少し悲しい気持ちだけど、貴哉がそうしたいならと一歩引いて二人を見ているんだ。


「伊織……」


 俺の隣で言葉を失ってる貴哉。
 外から戻って来た貴哉はこれから演劇部の方へ行くから体育館用のシューズが必要だった。それを玄関まで取りに来た時に桐原さんとバッタリ会ってしまったんだ。
 正確には一条さんもいた。二人で椅子を二つずつ持って、それを運んでいる途中らしかった。

 俺と貴哉を見つけた桐原さんは初めは真顔だったけど、すぐにニコッといつものいーくんスマイルを見せて近寄って来た。


「よう貴哉。電話したんだぞー?」

「わ、悪い……音切ってて気付かなかったんだ」

「ダメだろ。今日ぐらいは音出しとかなきゃ。二之宮が怒ってるぞ」

「……伊織」


 優しく叱る桐原さんに、貴哉は今にも本当の事を言ってしまいそうな顔をしていた。
 それはまずいと俺は間に入る事にした。


「桐原さん、俺も迂闊でした。貴哉とランチ出来るって浮かれて少し遠くまで出掛けてしまったんです。本当にすみませんでした。その椅子ボラ部で使うんですよね?ここからは俺が運びますんで、貴哉と一緒に体育館へ行って下さい」

「いや、俺も早川と一緒だと思ってたし安心し切ってたのも悪かったわ。これからは貴哉が時間守れるようにちゃんとするから早川は気にするなよ」

「…………」


 俺に椅子を渡しながら笑顔で桐原さんは言った。
 そして貴哉の肩を抱いて引き寄せた。


「マジ心配したんだぞ?何かあったのかって。これからは勝手にいなくなるなよ?」

「っ……い、伊織、周り見てるからっ」


 貴哉のおでこにキスをしながら甘い声で言い聞かせていた。

 まるで周りにこいつは俺のものだと言うかのように。
 貴哉は照れながらも離れようとはしなかった。

   
「じゃあ俺ら行くわ。一条、早川。後は頼んだぞ~。こっち終わったら顔出すから」

「はい」

「はーい。行ってらっしゃーい」


 貴哉を抱えるようにして歩き出した。
 去り際に一瞬だけ貴哉と目が合ったけど、すぐに逸らされてしまった。もう貴哉は桐原さんの所に戻っちゃったんだ……

 さっきまでの夢のようなひと時を切なく思った。


「空くん、貴ちゃんとどこ行ってたの?」

「あ、隣街に出来たカフェです。そこ前から気になってたんですよ」

「ほんとーに?」

「本当ですよ?」


 疑うように念を押して聞いてくる一条さん。
 正直この人には見透かされてる気がする。
 下手に嘘はつかない方がいい人間だ。
 だけど、俺は貴哉の為にも嘘を突き通す事にした。


「証拠って言われたら困るんですけどね。あ、食べたランチ写メれば良かったな~。そうすれば電話にも気付いたかも知れない」

「どうして二人揃って音消してたの?午前中は普通に電話出てたよね?」

「二人きりの時間を楽しみたかったからですよ。貴哉を独り占め出来るなんて滅多にないですから」

「ふーん。空くんさ、俺には嘘付かないでよな。俺、空くんの事は気に入ってるんだ。だからいーくんと揉めたとしても空くんを助けてあげるつもりだし、貴ちゃんとの事も応援してるんだ。それを裏切るような事したら、分かってるよね?」


 一条さんはいつになく真剣な表情を見せて言った。少し怖いぐらいに。


「一条さん……もし裏切るような事をしたらどうなるんですか?」

「えー?とりあえず夕飯だけじゃなくて朝食も昼食も作ってもらおうかなぁ?」


 ここで一条さんはパァッといつものように笑った。
 はぁ、やっぱりこの人には敵わないや……

 もしさっき一条さんが言った事が本当なら、話した方がいいのかも知れない。
 でももし嘘だったら……

 そう思うと怖くて今は本当の事が言えなかった。


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