頭にきたから異世界潰す

ネルノスキー

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第2章

第20話ーー別れ道ーー

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*:今回多少ですがグロテスクな表現がされている部分が一部ございます。
 苦手な方は控えて頂けたら幸いです。



★★★★★★★★★





「それでカルッサオってのはどんな攻撃をしてくるんだ?」

 集落を飛び出るように走りながらミリナに問いかける。

「風魔法を使いますが、攻撃手段としては使ってきません」
「じゃあ何に使ってんだ?」
「主に飛行に使ってるのではと言われています。攻撃手段としては主に奇襲が多く、動きは見た目以上に素早いです。あと外皮が非常に硬いと聞いています」
「…………」

 風魔法が使えるのに攻撃にも防御にも使わず移動手段として使うだけ?そんな事あるのか?

「どうしました?」
「……いや、何でもない。止まれ」

 疑問に思いながらも一先ず考えるのをやめて指示を出すとピタリと走っていた足を止めてミリナは武器を構える。
 それと同時に耳をしきりにピクピクと動かして周辺の警戒へと移る。

 俺は視界を熱源感知と望遠を駆使して数百メートル先の光景を眺めるとそこには複数の人影と巨大な熱源が一つ見えた。

(襲われてんのは……人間だな。格好を見る限り冒険者っぽいが、それにしては動きが素人臭いな)

「何か見えましたか?」
「あぁ……少し先に行ったとこで人間の集団が襲われてる。アレがカルッサオか。凄いな、熱源感知が出来なかったら殆ど風景と同化してやがる」

 視界を熱源感知から通常に戻すとダンプカー並みの巨大のはずなのにそこには何もいないのではと勘違いしそうなくらい上手く風景に溶け込んでいる。
 あれじゃもう擬態というより光学迷彩の域だな。

 そんな感想を胸に秘めながらも熱源感知のお陰でカルッサオの大体の全容が分かった。
 地球でいうところの馬鹿でかいカメレオンといった感じだ。
ちゃんとした姿ははっきりとは見えないが概ねそんな感じだ。

 さて、どうやって殺そうかと考えているとミリナから少しだけ戸惑いの篭った声で「どうしますか?」と問われた。
 一瞬何言ってんのか分からなかったが、すぐに襲われてる集団を助けるかを聞かれているのだと分かった。

「んー、クソ野郎なら死んでくれて構わないが、お前はどうしたい?」
「私は……」

 同じ人間ではあるが、正直同族だろうと何だろうと別にどうでも良い。
知り合いでもなければ友達でもないのだし、わざわざ助けてやる義理もねぇからな。
 例えそれが聖人君子みたいなバカみてぇに善良な人間であっても、何百人も殺してきた極悪人であろうと関係ない。

 ましてやここは人間以外が住む亜人の土地だ。
奴隷狩りにきた賊の可能性が高いというだけで未だ確定したわけじゃないが、それならダイラス迷宮を出たらエリセンに向かえば良いものをわざわざ安全な街のある方向とは別のこんなところまで来た連中だ。
 それだけで十分後ろ暗い事をする連中だと分かりきってる。

 だからわざわざここで助けに行くような真似はしたくないというのが本音なんだが……あ。

「早くしろよ、今また一人喰われたぞ」

 黙考してる時間が長かったのか、それとも連中の忍耐力が弱かったのか、逃げ出した一人の上半身がパックリと喰われてしまった。
 うん、中々のスプラッタだな。エクソシストも真っ青だ。

「ッ!……行きましょう」
「いいのか?奴隷狩りなんぞをやろうとしたクソかもしれねぇぞ?」
「だったら後でまた始末すれば良いだけです。今はカルッサオをどうにかしないとコボルトの集落まで危険が行くかもです」
「ん、そりゃ困るな。あのマテ……じゃなくてコボル茶は上手かったからな。なくなるのは惜しい」
「そんなに気に入ったんですか?」
「まぁな。よし、それじゃトカゲ狩り第二弾と行くとすっかね」
「トカゲ?」

……言ってみて思ったが、カメレオンとトカゲって違うもんなんかな。まぁ見た目そんな対して変わんねぇしどーでいっか。

 そんな事を思いながら走っていくとあっという間に襲われてる馬車の周辺まで辿り着いた。
 生きている人間は全部で九人。そいつらは手に武器を携えてはいるが、姿が見えず、突然襲いかかってくる敵を前にその場を動けず青い顔をしていた。

  馬車を背にして死角を作らないようにしているが……生憎と俺の眼に映る光景からは背にしている馬車の上に姿を消したカルッサオが次はどれにしようかと吟味しているという何ともマヌケな光景だった。

 あれじゃ頑張って周囲警戒していても上に気づかなければ意味ないな。
 
「お前は援護に回れ。連中を退避させたらすぐに戻ってこい」
「分かりました。お気をつけて」
「さーて、そんじゃいっちょ暴れるか」

 地面を蹴り上げるように加速すると、一気に跳躍して馬車の上にいるカルッサオへと殴りかかった。

「シャオラァッ!」
「ギュルゥッ?!」

 ドゴンッと重鈍な音を響かせながら殴り付けると、それまで油断しきっていたカルッサオが独特な悲鳴をあげて吹き飛んでいった。

「え?」
「な、なんだ?何が起きた?」
「か~ら~の~……」

 困惑する声が挙げられる中、俺は馬車の上に着地すると直ぐに吹き飛ばしたカルッサオ目掛けて追撃のドロップキックをかました。

「死んどけっゴラァッ!!」
「ギュギュッ?!?!」

 カルッサオから「えっ?何でわかんの?!」とでも言うような困惑と悲鳴に彩られた鳴き声が挙げられるが、そんな事は知らんとばかりに炸裂した蹴りはカルッサオの顔面にヒットしゴロゴロと更に吹き飛んでいった。

「おー、流石に意外と頑丈だな。大抵の奴ならこれで終いなんだが……これならいくつかスキルの検証も出来るか」

 これまでスキルの検証は何度かしてきた。けれど基礎となるステータスが高すぎるせいか殆どがワンパンないしは牽制のみで死んでしまうので何をやったらどの程度のダメージが与えられるのかが分かっていなかったのだ。
 
 分かった事があるとしたら、スキルを発動すると身体が自分の意思とは関係なく動くという奇妙な感覚だけだ。
 ただ完全に自動で動いてる訳じゃなく意識して止めようとするとスキルを発動中でもそれをキャンセルすることができる。勿論力の強弱も可能だ。
 意識して力を抜けば威力は弱まり、逆に殺意を込めて振るえばグロウウルフ程度なら爆散するように消し飛ぶ。流石に襲ってきたとはいえ、リアルスプラッシュを素手で実行した時は自分で自分に引いたものだ。
 せめてもの救いはその時ミリナは水浴びをしていて見ていなかったという事か。

 それは兎も角として、チラリと視線を後ろに向けるとミリナは言われた通り冒険者風の男たちを集落のある方へと避難させている。
 男たちの方はというと、突然の登場に驚きながらも助けが来た事により安堵の顔色を浮かべているが……何人かは怪訝そうな顔をしているのが見て取れた。
 まるでゴミ箱に集る害虫でも見るかのようなその視線は少なくとも俺のよく知るものだった。

「チッ。やっぱ殺しとくか。胸糞りぃ……オラッさっさと来いや!なに面白可笑しく虹色カラーで遊んでんだ?!」

 八つ当たり気味に怒鳴り散らした先には何とか起き上がったカルッサオが身体の色素をカラフルに彩らせ威嚇するように呻り声を上げて来ている。

……本人的にはかなり怒っているようだが、パレード並みに目まぐるしく変わる体表は馬鹿にしているようにも見える。そのせいで苛立ちが加速してしまうのは、仕方のないことだった。

「オーケー、オーケー……死ね」
「ギュオオォォッ!!」

 俺が動き出すのとカルッサオが動き出したのはほぼ同時だった。
大口を開けて突っ込んで来るカルッサオに俺は左右に避けるでもなくスライディングして腹の下に潜り込むと、無防備にもガラ空きのボディに渾身の蹴りを炸裂させた。

 その瞬間、万を超えた筋力によって例え体重を載せていないただの蹴り上げであっても、見た目数百キロはありそうなカルッサオの身体を宙に浮かせる事など訳はない。

ーーだが。

「ギュルゥッーー」
「チッ。クソ生意気な奴だな」

 舌打ちと共にポーンッと空中に飛んだカルッサオは蹴られる瞬間に自分からジャンプして威力を緩和させやがった。

 だがそれだけじゃない。
カルッサオは四肢を大の字にすると、薄い膜のようなものが展開されてスィーッとムササビのように気流に乗って何事もなかったかのように地面へと着地したのだ。

「うっぜ!風魔法を移動手段に使うってそう言うことかよ?!」
「ギュルゥッギュルゥッ」

「騙されてやんの~バーカ、バーカ」と小馬鹿にするように声を上げるカルッサオに。

ーープチッーー

 短い堪忍袋の尾が切れた。
……たぶん当人的には全くそんな事など思っていないにも関わらず。

「上等だっゴラァ!」

 割とアッサリ切れた俺は殴りかかるように瞬時に間合いを詰めるが、カルッサオもそれに対抗するように後ろ足と尾で立ち上がると乱舞するように両腕を振り回してきた。

 ただでさえダンプカー並みの巨体で振るわれる腕は正しく嵐といっていいだろう。
 動きが若干重鈍なお陰で早めに回避すればギリギリ間に合うかが、逆に言えば攻撃が遅いのにギリギリでしか回避が間に合わないというのはかなりマズイ。

 ならば遠距離からならどうだと、手のひら大の石を拾って投石するが、殴った感触から分かってはいたが殆どダメージは通っていないようだ。

「硬いってのは聞いてたが、ちと硬すぎじゃねぇの?何で出来てんだよっ」

 悪態を吐きながら一旦距離をとって乱れた呼吸を戻すと次の手を考えていると、ミリナが直ぐそばにやってきた。

「お待たせしました」
「連中は?」
「途中まで来ていたコボルトの方に引き渡しました。十人程の戦士に捕縛されているので問題ないとかと」
「ならいい。悪いがちと時間稼いでくれ。スキル使うから三十秒たったら全力で逃げろ」
「……地形は変えないで下さいね」
「そりゃ無理な相談だ」
「はぁ、後で怒られても知りませんよ。征きます」
「応」

 前傾姿勢になるとミリナは並みの動体視力じゃ目で追うのも大変な速度でカルッサオに駆けていった。
 流石は敏捷特化の山猫族。木々を駆使しながら手玉にとるように撹乱していってくれてる。

 俺はその間に発動するスキルを念じていった。

(スキル剛力・剛脚発動)

 ーービギンッビギンッーー

 剛力と剛脚はその名の通りのスキルで腕力と脚力が爆発的に上昇するスキルだ。
 ただ通常の人体ではまず耐えられない程の痛みと筋肉が膨張する苦痛に耐えなきゃならん。

 腕はさっきまでの二倍以上に膨れ上がり、脚も見違える程に太くなる。最早丸太を通り越してドラム缶の域に達するほど太く頑強な物へと。

 脈打つ鼓動と共に身体中のあちこちにから軋むような悲鳴が聞こえて来るが、苦痛耐性スキルのお陰で失神する程ではない。
 せいぜい筋肉が攣ってる感じが全身に来てるくらいだ。
つまり誰もいなければのたうちまわって転げ回りたい気分だ。

 それだけは何としても避けたい、男の矜持にかけて!
根性で耐え忍ぶこと二十秒。リアル肉体改造を終えると大きく息を吸ってそれまで溜め込んでいたものを一気に吐き出すように息を吐いて、カルッサオを睨みつける。

 そこではジリ貧ながらもミリナがカルッサオの猛攻に耐えていた。

 大振りの右フックを屈んで躱すと次に来る左フックは屈伸運動を使って背面跳びで回避し、大口を開けて噛み付いて来るのを跳躍して頭を踏みつけながら飛んでいく。

 その姿は差し詰め曲芸でもしているかのように自在に飛び回ってカルッサオの攻撃を尽く回避していく様は優雅さすら感じられる。
 何より一撃でも貰ったら即アウトなのにも関わらず、ミリナの表情はどこか楽しげで冷や汗をかきながらも笑みを浮かべていた。

「おーおー、楽しんじゃってまぁ……けどそろそろ交代だな」

 鑑定などのスキルは持ち合わせていなくとも、ミリナの表情や動きを見たらそろそろ体力の限界が来てるのが分かる。

 ここに来るまでの間殆ど走りっぱなしだった上に一撃でも食らえば即死する恐怖の中で自分よりも遥か格上の相手をするのは、たった数十秒防戦であっても精神に多大な負担をかけていたようだ。

 何よりミリナ。というより、山猫族は優れた動体視力と瞬発力を誇る種族なようで戦闘でのそのアドバンテージはかなり高いが、同時にスタミナの消費も激しい種族なようだ。

 考察した限り、そのスタミナも回復するのは常人よりよっぽど早いようだが、神経が擦り切れる中での防戦では限度がある。

 俺はミリナの限界を悟ると頭の中でスキルの発動を念じた。

ーースキル発動『浸透』

 その瞬間。両手と両足に水が波紋を起こすような僅かな振動を感じてカルッサオの方を見るとミリナとも目が合い、こっちに引き連れて来る形で離脱していった。

「よくやった」
「ありがとうございます」

 すれ違いざまに労いの言葉を送るとミリナは嬉しそうに微笑んでからそのまま後方へと下がっていった。

「さて、この形態維持すんのも疲れっから……さっさと死ね」
「ギュアアァアッ!」

 体当たりをして来るように突撃を敢行してくるカルッサオに俺は右足を半歩下げ、構えを取る。
 拳は直前まで脱力し、全身に力を入れ過ぎないよう気をつけ、脚は大地に根を生やすように踏ん張り利かしたその刹那ーー。


ーーーー大地に爆音が鳴り響いた。

 視線の先にはそれまでなかった十メートルを超えるクレーターが出来上がり、中心に上半身は無傷に等しいが下半身は内から全ての内臓が吐き出されたかのように流血するカルッサオの死体が残っていた。

「ふぅー……やっぱオーバーキルになったか」

 スキルを解除して元の体型に戻ると辺りを見回して呟く。
『浸透』スキルは拳闘士ジョブが最初に覚えるスキルで、それは単純に殴った時の衝撃を全身へと伝わらせるだけのスキルだ。

 拳闘士なりたての者がやれば対象の全身にビリビリとした衝撃が伝わるくらいだが、熟練者。特に拳闘士の上位ジョブとなる魔闘士にまでなった者が使うとカンフー映画でもあるように内臓へと直接ダメージを与える事が出来る有用なスキルだ。

 ただいくら魔闘士が弓弦と同じように浸透スキルを使ってカルッサオを殴りにいってもクレーターが出来上がり、あまつさえケツから全ての内臓が飛び出したような杜撰な光景にはまずならない。
 あくまでも弓弦がおかしいだけだ。

 それを可能にしたのが肉体そのものを作り変えてしまう剛力と剛脚の二つのスキルだ。
  常人が使えば膨大な力を得られるが、その代償として使用後は数週間から数ヶ月に渡って動けなくなってしまう上に以前と変わらない動きが出来る保証が全くないという危険極まりないスキルのお陰だ。

 確かに二つのスキルを行使した変貌を間近で見た者がいたら仕方のないことかもしれないが、それでも代償が大きすぎる為そこを死地へと決めた者しか滅多に使わられない。

 にも関わらず弓弦があっさり使ってしまえるのは負傷した際に自動で発動する再生スキルが原因である。
 大量の魔力を消費する代わりに瞬時に再生させてしまうので平然としてられるのだ。

 ただ問題があるとしたら弓弦の魔力はそこまで高くない。
一般人からしたら魔力が500というのは多い方だが、銀クラスの魔法職だと平均が1000はあるので弓弦の全体のステータスからしたら少な過ぎるといってもいいだろう。

 ならばどうやって少ない魔力で再生を可能にしているのかというとーー。

「いただきます」

 動かぬ死体となったカルッサオに両手を合わせると、無造作にそれを食べ始めた。

 固有スキル。悪食プラス魔吸収を無意識に発動していたからだ。

 悪食の能力は言ってしまえば何でも栄養源として食べれてしまう能力だ。
 それは生肉などの有機物から道端にある石ころなどの無機物であっても口に入ってしまえばそれはただの栄養源となり傷や体力の回復へと繋がる。

 魔吸収はその名の通り魔力を吸収する能力だ。
通常なら武器などに付与される能力だが、人の身でこの能力を固有スキルとして保持するのは極僅かにしかいない。

 そしてこの能力の優れた点は口にして食らった物の魔力をほぼ百パーセントの状態で還元される事だ。
 魔力吸収が付与された武器だと還元率はどれ程高くともせいぜい二十パーセントしかない。

 それに対して魔吸収は食ったら食った分をそのまま自分の魔力として扱う事が出来る為自身が保有する魔力など減ったら補充すれば良いくらいにしか考えていなかった。

 ちなみにこれらの事は弓弦自身は知らず、単純に『疲れたから飯を食おう。腹が減った気がするから飯を食おう』程度にしか考えていなかった。

 再生も悪食も魔吸収でさえ自覚が一切ない状態でスキルを発動しながら食事を続けているだけだ。

 バリバリと硬い筈のカルッサオの外皮から肉を貪り喰い続けていく弓弦に近づく姿があった。

「……何て言うか、本当目を疑いたくなる光景ですね」
「んぐ、んぐ……ぷはぁ。おう、お疲れさん」
「お疲れ様です」

 やってきたミリナを見ると顔色が少し悪く足取りもどこか覚束ない感じでふらふらとしていた。

「どうした?疲れたのか?」
「いえ……たぶんレベルアップ酔いですね」
「なんだそれ?」

 かつて弓弦本人が体験したレベルアップ酔い。
弓弦自身はその酔いを通り越して飢餓状態にまで陥ってしまったが、その前段階のものをミリナが体験しているらしい。

「戦闘後に時折起こる現象でレベルが上がった時に出る症状のことです。恐らくさっきの短い戦闘でレベルが上がったのでしょう」
「ふ~ん。なら良かったじゃねぇか。これ食い終わったら集落に戻るからそれまで休んどけ」
「はい。あ、でもカルッサオの外皮や甲殻は出来るだけ残しておいて下さいね」
「なんかあんのか?」
「鍛冶屋に持っていけば武器や防具に出来ますし、ギルドへ渡せばお金になります」
「なるほど。んじゃ肉以外は全部残しとくか」
「そうして下さい。それじゃ少し休みますね」
「おう」

 そう言ってミリナは少し離れた場所で猫のように身体を丸めて横になった。
  本人曰くこれが一番楽な姿勢なようだが、側から見たらデカイ猫が丸くなってるようにしか見えない光景に何となく癒されながら食事を続けた。

 余談だが、途中で人間の手足っぽいものがあったが、気にせず食ったら地味に美味かった。
 魔獣や魔物ははっきり言って不味い。エグ味というか苦味というか、クセが強すぎて激マズなんだがそれなのに何故かやめられないという不思議現象に陥る。

 対して人間の手足はクセがなく。どことなく鶏肉を彷彿させる旨味すら感じた。
 これは流石にまずい……自重する事にしようと心に決めた。

 







 二時間ほど休憩して集落に戻る頃にはすっかり日も暮れ始めていた。
 ダンプカーサイズの肉の塊をその時間で平らげたと考えれば驚くべき速さかもしれないが、もう少し早く戻ってきても良かったかもしれない。

 捕らえられた賊の存在をすっかり忘れて夢中になって食ってたのが原因なんだが。
 その賊は今集落の中心で縄を括られ木で作られた檻に閉じ込められていた。よく見ると彼らの足元には魔法陣らしきものが刻まれているが、それが何なのかはよく分からん。

 とりあえず長に話を聞くのが先だな。

「何か分かった事はあるか?」
「いや、獣風情に話すことなどないと全員口を閉じておる」
「ふーん。んじゃサクッと殺しちまうか」
「シロさん……それは流石にマズイです」
「あ?なんだそりゃ」
「例え人間風情であっても無抵抗の相手を殺したとなれば汚名を着る事になりますし、冒険者ギルドとしても容認するわけにはいきませんから……」

 言い聞かせるようにミリナが説明してくれたが、連中の馬車や荷物を見た限りコイツらが奴隷狩りをしようとしたクソ野郎だってのは分かりきっていた。
 それなのに殺すのは容認できないとか……分からんわけじゃねぇが、助ける理由も同じくらい見つけられんぞ。
 
 若干だがイラつき始めた頃に次の言葉で諦める事となった。

「兎も角分かりきってるとはいえ連中の目的を聞く方が先じゃないですか?殺す殺さないの前に」
「……はぁ、それもそうか」

 確かにその通りだ。
連中がどこの誰で何が目的なのかは心底どうでも良いが、他にも似たような連中がいないとも限らない。
 素直に話すとは思わないが、懇切丁寧に話してもらう必要なんてないからな。
 やりようはいくらでもある。

 俺は他のコボルトに近づかないよう声をかけるとミリナと共に檻へと近づいていった。

「よぉ。早速だが、知ってること洗いざらい全部吐け。そしたら助けてやる」

 声をかけたのは口元に髭をたっぷりと蓄えた如何にも山賊風の男だ。
 纏う雰囲気からしてコイツがこの集団のリーダーだろうと当たりをつけてみた。

 男はジロリとこちらを見ると不機嫌そうに鼻を鳴らして口を開いた。

「獣如きが話しかけんじゃねぇ。獣臭くてかなわんわ」

 よし、やっぱ殺そう。
 そう思って手を伸ばしかけたが、後ろからミリナが手を置いてそれを制止し代わりに今度はミリナが口を開いた。

「長はここにきた目的さえ話せばどんな理由であろうと見なかった事にすると告げています。それとも何も話さずここで餓死するまで死にますか?」
「ケッ。冒険者がルールを破るのかぁ?ハッ!やっぱ所詮は獣だ、ぎゃああああっ?!!」

 あ、やっちまった。まぁいっか。

 男が最後まで言い切る前に俺は男の足首の腱を肉毎抉り取っていた。

「あぁああっ!!くそッ!て、テメェ何しやがる?!」
「うん?行儀のなってねぇクソにはこれくらいするだろ、普通」
「シロさん……まぁいいです」
「それで、話してくれる気になったか?」

 ミリナからジト目の視線を向けてきたが、このままじゃ話が進まなかったのも事実なので目を伏せて黙認してくれた。

「クソックソックソがぁっ!誰が話すかっ!この気持ち悪い獣風情がっ!人間のフリして仮面なんてつけやがって、あがぁあぁああっ!??!」
「凝りねぇなぁ。さっさと知ってること吐けやいい加減。それと誰が人間のフリだ。俺は立派な人間だ」

 そういって仮面を少しズラして顔を見せると男達は驚愕したように目を見開いた。

「テメッ同じ人間が、どうして?!」
「質問してんのはこっちだバカ野郎。いいから答えろ。それともまだ抉られ足りねぇか?」

 手をわきわきさせながら恐怖を煽るようにするが、それでも男は強情……というよりここまでくると感心するくらい罵倒してきた。

「この裏切り者がっ!テメェみてぇな獣に味方するような変態野郎に話すことなんて何一つねぇ!さっさとそこのメスとヨロシクしてろ!」

 一体誰が誰を裏切ったというのかとか、何の味方だとか、そんな事など至極どうでもいい事だが、その瞬間。

ーープチッーー

 俺の中で短い堪忍袋が再びキレた。

 ブワッと俺を中心に風が吹くとそれまでギャーギャーと騒いでいた取り巻きも、やたら威勢のいい男も、ミリナもコボルトもその場にいた全てが沈黙し顔を青ざめた。

「……コボルトの、女子供は全員ここを離れろ。男も見たくない、聞きたくない者は去れ。残るのは長だけでいい。
……お前も離れてていいぞ」

 そう、背後にいたミリナに告げるとしばらくして答えが返ってきた。

「いえ、私は残ります。シロさん、やり過ぎそうですから」
「……後悔するぞ」
「それでも……それでも側にいます」
「……好きにしろ」

 十分後。 
静まり返った集落には長の他に十人ほどの男のコボルトが残るだけだった。

 中心には先ほどと打って変わって青ざめた表情の男たちが悲鳴を上げるように口々に命乞いの言葉をあげていた。

「や、やめろっ!来るなっ、こっちに来んじゃねぇ!」
「た、たすけ、助けてくれっ!俺は関係ないんだ!」
「何でも話すっ!何だって!俺の知ってる事なら全て話すから助けてくれっ!」

 先程、俺から漏れ出るように風が吹いたのは単純に魔力が原因だった。
 カルッサオを食った事で許容量を超えて蓄積されていた魔力の一部が漏れ出ただけなのだと後になって分かったが、それには怒りや殺意などがたっぷりと含まれていた為にその矛先を向けられた連中がこぞって恐怖に怯え出したのだ。

 ーーけれど、そんな事はどうで良い。

「……俺はもうお前らが何処の誰で、何が目的かなんてのは心底どうでも良い。
 女をバカにするようなクソは苦しみながら死ね」

 檻へと近づき、ゆっくりとした動作で威勢のいい男に狙いを定める。

「や……やめろ、やめろ、やめろやめろやめろっ!くるんじゃ、来るんじゃなああああっ!!!」

ーー男の右足に触れた。

ーーゴキュリュッーー右足の親指を捩じ取った。

「ぎゃああああああぁっ!!」

ーーブツンッーー右足の人差し指を引きちぎった。

「うあぁあっ!や、やめっもうやめっ!」

ーーバキッブチュッーー右足の中指を折り潰した。

「あぁ……やめで、もう、やべでくだ……」

ーーゴリュッーー右足の薬指を捩じ込んだ。

「いやだぁ、もっやだあぁ、うあああっ!」

ーープチッーー右足の小指を押し潰した。
 
「ひっひひっゆ、ゆび……俺のっ指どこおぉ?」

 最初の威勢は何処へやら。
男は子供のように泣きじゃくり、声を上げて涙とヨダレと鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながらぐしゃぐしゃになっていく自分の足を、手を、見ながらただひたすらに泣き続けた。


 どのくらいの時間がたったのか分からない。
威勢の良かった男の姿は見るに堪えない姿となり、肉塊と評した方が良いくらいにまで変わり果てた頃。

 次の男へ手を伸ばした頃に誰かの手が、その手を止めた。

 黒っぽい灰色をした艶やかな毛並みのその手を見ると微かに震えていたが、それでもこれ以上はやらせまいと精一杯引き止めているように感じた。

「何だ?まだ後八人もいるんだぞ」
「……これ以上は、いけません」
「あ?」

 苛立ちを込めてその手の主。ミリナを見ると恐怖に怯えながらも確固たる意志を感じさせる瞳で睨み返してきた。

「これ以上は必要ありません。それでもやるなら……私は全力でシロさんを止めます」
「お前に何が出来る?お前を……お前らをバカにした奴らだぞ?ただの家畜と見定め、侮り蔑んだクソだぞ?生かす理由なんざ微塵もねぇ」
「……それでもです!人間は確かに私達をただの畜生としか見ていません。でもそれは私達獣人もそうです!
 だけど私達にも誇りがあります!守るべき矜持があります!
シロさんが怒ってくれたのは素直に嬉しいです。ですが、そんな家畜如きに誇りも矜持も捨てて嬲るだけのシロさんなんて私は見たくありません!」

 言いながら瞳に涙を溜めて、それでも必死に流すまいと顔を険しくしていくミリナの姿を見て、俺は次の相手をと彷徨わせていた手を止めた。

 その答えに満足したわけじゃない。怒りが収まったわけじゃない。それでも止めたのは納得したからだ。

 止めに来た理由が単なる恐怖心とこれ以上見ていたくないという忌避感からなら俺はミリナの意識を奪ってから作業を続けただろう。

 だがその理由が全く別の……自分のためではなく俺なんざの誇りや矜持を守らせる為に全力で止めようと宣言したのだ。
 
 俺には胸を張れるような誇りはない。
下らないプライドなんてのはとうの昔に捨てた。
 矜持も一緒だ。譲れないものは確かにある。守りたいものもある。
 けれどそれらは俺にとって友であり仲間に向けるものだ。
アイツらが傷つくような事があれば俺は化物にもなれるだろう。

 ミリナとはまだ短い付き合いとはいえ、俺たちの仲間になる素質は十分にある。
 何より俺自身も彼女のことは気に入っている。
そいつが傷つく理由が俺にあるなら、俺のちっぽけな誇りや矜持にかけてこれ以上何かをするわけにはいかないというものだ。

 立ち上がって振り返るとそこには青ざめた顔の人間とコボルトがいた。
 種族は違えど、今ここにいる全員が感じている感情は同じものだというのがはっきりと分かる。
 
 これなら俺がここにこれ以上いる理由はないだろう。
人間からしたら俺は自分にも拷問をしに来る恐怖の象徴となり、コボルトからしたら絶対に敵に回してはならない恐怖の対象となるわけだからな。

 元々は連中がこの地に来た目的を聞き出すのが目的だったので今俺がここを離れても問題ないだろうが、その前に念のため釘を刺して置こう。

「……もう一度だけチャンスをやる。知ってる事を全て洗いざらい吐け。ただし言葉には気をつけろ。
 失言だろうが後で俺が聞いた時に気にくわない単語があれば言葉の数だけお前らの身体の骨を折り砕き、捻じ曲げてやるからな」
「「「は、はいっ」」」
「長。後は頼んだ。しばらく休む。後で詳細を教えてくれ」
「あ、あぁ……あいわかった」

 返事を聞くと俺は踵を返して予め長から借りたテントへと戻っていった。





 テントの中はそれほど広くはないが、地面には絨毯のような厚手の毛布が敷かれている為、横になっても身体は痛くならないし少しだけ余裕がある。
 
 そこに座り込むとミリナもすぐ隣に座ってきた。
表情は暗く、先程から俯いてしまっている。
 元気つけようにも原因が俺であるため何もできず、何とも言えない空気が漂ってしまうのは無理からぬ事だった。

 沈黙が痛いくらいに流れていたが、それを破ったのはミリナの方からだった。

「シロさん……」
「なんだ」
「もう、あんなのはしないで下さい」
「……そりゃ無理な相談だ」

 先程の事を言われているのは直ぐに理解した。
だから俺も予め用意していた答えを口にする。

「なんで、ですか」
「俺は俺の守りたいものがあれば何度でも繰り返す。それが本人の望まない事だったとしてもだ。
 俺の大切なものを傷つける奴は何であろうとその一切合切を押し潰すと決めてる」
「……それで大切な人が離れていってもですか」
「あぁ。そうだ」

 これは俺の我儘だ。だが決して曲げることのない誓いでもある。
だからそれが原因でミリナが離れていったとしても止める気は毛頭ない。

 それはきっと仕方のない事だろうから。
 自分という存在のせいで、俺という嵐が全てを無に帰すのを止められないと理解してしまうのだから。

 誰だって恐ろしいと思うだろう。
押し寄せる災害を見て、大勢の人が消えていく様をみていくのは、そしてその原因が自分にあると解ってしまったら。

 だからだろうか、彼女がこの場でもう付いていけないと離れていっても仕方がないと諦めてしまったのは無理からぬ事なんだろう。

ーーけれど、その予想は裏切られた。

 グイッと肩を掴まれると、先ほどまで俯いていた暗い顔が嘘のように真剣な眼をして覚悟を決めたように言葉を放ってきた。

「なら私が止めます。私がシロさんが過ちを繰り返そうとするなら私が必ず止めてみせます」
「ッ!」

  驚いた。素直に驚いた。
 まさかこれほど早く答えを出してその事を決意するとは思ってもみなかったからだ。

 嬉しい気持ちが湧き出てくる反面、それで本当にいいのかと思う気持ちもあったが……ミリナの眼を見ると俺のよく知る覚悟を決めた者がする色合いが見て取れた。

 その瞬間、もうこの問答も意味がないと悟り俺はそれまで硬くしていた表情を和らげてグリグリとミリナは頭に置いた手で撫でてやった。

「わっし、シロさん?」

 覚悟を決めた奴には何を言っても無駄だ。
こっちが何を言った所で曲げやしねぇ。精神面から攻めても話なんて聞きゃしねぇ。
 だから俺はもう答えるしかなくなった。

「好きにしろ、俺は俺の守りてぇもんなら何でもする。
 それが気にくわねぇってんならその都度止めに来い。話くらいは聞いてやる」
「……本当口ぶりだけは偉そうですね。でも、はい。そうさせてもらいます」

 苦笑いを浮かべているが、俺の答えに満足したのか一つ息を吐くと膝に頭を載せる感じでゴロンと横になってきた。

「今日は色々疲れました……労って下さい」
「図々しい奴だな」
「シロさんよりはマシだと思いますよ」
「……それもそうか」
「はい」

 結局その日はミリナの毛並みを優しく手櫛で撫でながら眠りに落ちていった。
 今度雑貨屋に行ったら毛繕い用の櫛でも買ってこようと思いながら。









カルッサオのイメージキャラクターです。
元ネタがわかる方もいらっしゃると思いますが、懐かしのゲームキャラクターに出てきた中ボスをどうしても使いたくて今回登場させることにしました。

 ちなみにヒントはプレイステーション4で来年の2019年1月25日に発売されるゲームが関連しているとだけ言っておきます。



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