頭にきたから異世界潰す

ネルノスキー

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第4章

第56話ーー会議の終了ーー

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 翌日の昼下がり、昨日の話し合いの続きをする為に俺たちは再び玉座の間へと集まっていた……のだが。

「……あー、話を進めたいんだがそろそろいいか?」
「どーぞー、ご勝手に~」
「…………」

 俺と結奈が遅れてやって来てから早くも十分少々。
俺は菜倉とミリナから白けたような凄まじいジト目を贈られ続けていた。
 最初こそこれは仕方のないものだと受け入れてはいたが、菜倉はともかくミリナからの無言ジト目が地味にキツい。
 怒っているわけではないのだが、恨みがましいというか、妬んでいるというか。まるで信じてたのに裏切られたかのような熱視線を送って来るのだ。

 しかもそれが普段の明るい感じなど一切ない、能面のような無表情でただただ見つめてくるだけなのだからタチが悪い。
 普段なら頭の一つも撫でて膝の上に乗せてやれば機嫌を直すのに、今回は骸骨王の膝で陣取っているせいか微妙に距離がある為、何の手出しも出来なかったし、こちらから呼びかけにも一切応じてくれなかった。

 他に助けを求めようにも庄吾は全力で見向きもせず、結奈も当事者故に顔を俯かせて赤くなっている。
 骸骨王に至っては心底どうでもよさそうにしているが、その何もないはずの眼孔からは『貴様がどうにかしろ』と雄弁に物語っていた。

 しかしだからといって当事者どころか張本人である俺が言ったところでどうにか出来るわけもなく。
 仕方ないので菜倉の言った通り、このまま推し進める事にした。

「はぁ……とりあえず、今の外での状況について簡単でいい。ざっと誰か説明してくれねぇか?あぁ、出来れば王都……いや、勇者どもの動きが分かってたらそっちを優先的に頼む」

 その言葉に一瞬ピクリと反応を見せたのは結奈だったが、それはどちらかというと自分も知りたい情報だったらしく俯かせていた姿勢を正して視線を菜倉の方へと任せていた。

「むぅ、はいはい。あんまり気が進まないけど、とりあえず今掴んでる情報は全部開示しますよ~だ」

 そう言ってふくれっつらのまま菜倉は手元にあった大きめの地図をデスクの中央に置いて説明を始めた。

 菜倉の話では現在魔王軍は北の境界山脈の向こう側にあるブラガドル王国に侵攻しており、ブラガドル王国はスルグベルト公国に救援要請を願うも、ブラガドル王国へと続くダイラス迷宮にはかつてないほどに凶悪な魔物や魔獣達が生息しており、救援を断念。
 代わりに魔王軍がこれ以上戦力を増加させない為に北のダイラス迷宮にいる魔なるモノを全力で討伐しているとのこと。

 ただ勇者一行もその討伐に参加してレベリングを測る計画があったが、現在はそれよりも先に対魔族用訓練……所謂対人戦闘訓練を行なっているらしい。

 理由は三つ。
一つ。魔族は強力な魔法や高い身体能力を持ち、更には魔なるモノを従えるというチート級の戦闘能力を持っているが、それ以前に人間と同じ姿形をしているため、戦闘になった時にまだ若い勇者達ではが生まれてしまう可能性が高いのでそれを緩和させる事。
二つ。魔王軍の侵攻といえど、ブラガドル王国は小国だが国民の一人ひとりが地球でいうスパルタ人のような根っからの戦闘民族らしく魔王軍が境界山脈を超えてくるまでに時間があるらしい。
三つ。国民への安心感を与える為の宣伝。ある意味でこの三つ目の理由の方が菜倉としては最もな理由だと考えている。

 魔王軍の侵攻は情報規制がされてるとはいえ、耳聡い連中には既に噂になってるらしくそれを払拭する為に地味だが治安維持に努める事で勇者達の強さをアピールしつつ『魔王軍が来ても彼らがいるから安心だ』とイメージを印象付けているようだ。

「……ちっ。めんどくせぇことしやがるな。国の連中共は」
「? どう言う事?菜倉くんの目論見通りなら国としては分からなくもない話だと思うけど……」

 俺のぼやきにすぐに反応した結奈が不思議そうな顔をしてこちらを見つめてくるが、それは言葉の意味が分からずというよりも何故そう思うのかが分かっていないようで、小首を傾げていた。
 一応菜倉と庄吾の方にも視線を飛ばすが、流石と言うべきか二人はこの状況に気づいているらしく俺は結奈にだけ視線を向けて説明を始めた。

「そっちじゃねぇよ。俺がめんどくせぇって言ったのは国のとらせたその方針そのものだ」
「どういうこと?」
「いいか?国民への大々的なアピールやら治安維持なんてもんはぶっちゃけどーでもいいんだよ国としては。重要なのは勇者共の心理状況……要は心の持ち様、気の持ち様ってやつだ」
「心の、持ち様………」

 ここまで言ったが、結奈は未だ気づいていない様子だったので、俺は菜倉に確認の為の質問を投げかける事にした。

「こいつぁ俺の勝手な予想なんだが、対人戦闘の訓練には自発的に手を挙げた奴らしか参加してねぇんじゃねぇか?まぁその内の半分以上は流れに流されてって感じだろうがな」
「ん。さっすがぁ、正解もせーかい、大正解!一応自分たちの意思で動いてたらしいけど、やっぱアレだね。日本人特有の流され体質?みたいな感じで決まったってかんじだよねぇ~」
「だよな。よーやく自分の立場を理解しちまった勇者(笑)くんが責任逃れの為の苦肉の策を打ったってとこだろーが……遅ぇっての。アホが」
「およ??珍しく心配してあげてんの?マジで?」
「あー、そうだな。自分が何で何なのかも理解してない哀れな道化ってのは、ホント見てるだけで可哀想ってもんだかんな」
「アッハハハ!それ心配じゃないじゃん!寧ろ哀れんでんじゃん!」
「どーでもいいかんな。んで、そろそろ気づいたか?」

 俺と菜倉で会話をしている間も先ほどの言葉の意味を考えていた結奈だったが、ようやく答えに行き着いたのかゆっくりとその口を開いていく。

「国は皆んなに……ううん、自分たちが大勢の国民達に期待されてるって自覚を植え付けようとしてるんだね?」
「正解……って言いたいが、それだと七十五点だな。植え付けようとじゃねぇ。植え付けてんだよ。“この人たちの笑顔を、平和を、明るい未来を、その全てを守ろう”そう自然と思わせようとしてんだ……全くタチが悪いったらありゃしねぇ」
「そう……だね。でも、流石に考えすぎって線はないかな?解釈の仕方にもよるかもだけど、偶然噛み合っちゃった、みたいな?」

 結奈からのその口ぶりはまるでそうあって欲しいと、どこか懇願するようなものいいだったが、俺はそれに対して首を横に振って否定した。

「残念だがそりゃねぇな。もしそうなら二つ目の理由の方が怪し過ぎる。
 いくらそのブラガドル王国ってのが強かろうが、国民全員が戦闘民族だろうが、兵站が限られた上に救援もこない孤立された状況で戦争が長期化するなんてのはありえねぇんだよ。
 必ずどっかで綻びが生まれて後は一瞬で飲み込まれてくのがオチだ。それなのに自国の強化……勇者共の戦力アップよりも国民への安心安全アピールを進めた理由は何か、もう答えは決まったようなもんだろ?」
「……皆んなの心にくさびを打ち込む為」
「そうだ。誰かを守る人間は強くなる、なんてのは漫画やアニメだけの話じゃねぇ。その心には“誇り”が生まれ、それは“矜持”となって浮かれて脆かった心を強くする……連中の狙いは勇者共の傀儡化。それも無意識に自分たちの意思で動いてると思わせる忠実な手駒を作り上げることなんだよ」

 その答えを聞いて強く唇を噛み締める結奈は、どこか悔しそうに。そして怒りを滲ませた瞳をして俯く。

「全く、一体どこのどいつなんだ?こんなろくでもねぇ事考える奴ぁ……分かってんのか?」
「とーぜん!って言いたいとこなんだけど、正直まだ確定したわけじゃなくて、今はまだ限りなく黒に近いグレー止まりってとこだね」
「随分と釈然としねぇ言い方だな?」

 何か引っ掛かりを覚えるような菜倉の言い方に問い返すが、悩むようなそして何故か苦虫でも噛み潰しているような渋い面になって返事をする。

「まぁねぇ~、いくら優秀な密偵を送ってるって言ってもあたしの仕事は断片的に送られてくる情報を整理して分析しながら推測を重ねて真実に導いてるたけだから、どーしても抜けちゃうとこがあるんだよねぇ」
「アホ、俺が聞きてぇのはそれを踏まえてお前がどう思ってんのかってことだよ」
「……端的に言うと“気持ち悪い”この一言に尽きるかな。
 指示を出してるのは国王であるグラドール・アバン・デル・スルグベルト本人で、民衆からは絶大な支持を受け政治に関してもかなり弁の立つキレものとして有名な所謂完璧超人……何だけど、どーもクサくて叶わないんだよね」
「っていうと?」
「うーん、それがわかんないのよ。送られてくる情報だけじゃなくて独自に調べてきたりもしたんだけど、なんていうか……大好きなハンバーガーが、昔食べた時の味と微妙に違った~みたいな?そんな感じの違和感」
「……ふむ。お前がそういうってことは、なんかあんだろーが、とりあえずその考察については保留にしとくしかねぇだろ。他にはなんかねぇのか?」

 菜倉の言う違和感、これについては正直無視できないというのが本音だ。
 菜倉は地球にいた頃から情報戦。特に対人関係による心理眼は誰よりも優れており、その中でも人の悪意に関してはズバ抜けて敏感だった。
 そんな奴が曖昧ながらもハッキリと分からないというのはコイツの事をよく知る俺と庄吾の間では無視してはならない程に危険極まりない状況だと考えていた。

 だが、現状では確かにどうすることも出来ないというのもまた事実なので、とりあえずこの話は一旦置いておいて話を進めようとしたのである。

……若干結奈の方の瞳から光が無くなり、何というか闇堕ち?っぽい感じになって入るが、とりあえず無視する事にした。
 不平不満は後で聞けば良いし、はらわたが煮えくりかえる気持ちはこの場の全員が思ってる事なので特別優先することでもないからだ。

「あるよ。っていうか、あたし的にはこっちのが本命かな」
「うわ……何かすげぇ面倒ごとの予感がするんだが」

 ふざける感じでも苛立ちの籠った感情もなく真面目な雰囲気を出した菜倉に対して俺はこれから聞かされるめんどくさそうな予感をひしひしと感じながら話を聞く体制に入るが、菜倉はそれに対して苦笑いを浮かべて答えた。

「まぁまぁ。確かに面倒ごとだけど、今回はそれほどじゃないよ、どっちかっていうとその後の方が面倒ってだけだからさ」
「ふん?そりゃお膳立てはもう済んでるってことで良いのか?」
「イエス!流石弓弦、話が早くて助かるよ♪
 端的に言うと、クラスの中から離脱者が出てきたの」
「……へぇ?」

 この世界に来てから一年と少し経つが、ようやく動き出した連中がいたらしい。
 それはある意味朗報とも言えることだが、話の内容によっては警戒しなければならない案件でもあった。

「離脱者はカナちゃん率いる岡田くん富田くん天音ちゃんの所謂居残り組もしくは非戦闘要員ってとこかな」
「カナちゃんって……もしかしなくても先生のことだよな?マジで?」

 菜倉から告げられた名前に流石に驚きが隠さず、思わず聞き返してしまう。
 何せ俺はあの人がどれだけ『先生』なのかを理解しているつもりだったからだ。

 理由はどうあれ遠藤夏菜子はかつて誰よりも弱かった俺を戦争から遠ざける為に国の連中と協力して俺を排斥した。
 その結果は正直お粗末もいいところ、俺はただの厄介払いされたわけだが……それでも遠藤夏菜子は誰よりも憎まれ、疎まれていた弱い俺を守る為に行動した人だ。

 そんな人が生徒を見捨てて一部の生徒共に国を離れようとする。正直俄には信じ難い話ではあるが……。

「結局、あの人も一人の人間ってことか……」
「あや?なんだか落胆してるね?」
「まぁな。これでもそれなりにあの人のことは買ってたからな」
「だろうね。でも、こればかりは仕方ないと思うよ。カナちゃんはあくまでも『先生』であって『聖人』じゃない。流石に“人殺し”まで許容出来ないよ」
「人殺しね……そりゃそーか。確かにそこまでいったら聖人だわな」

 その言葉に自分が心のどこかであの人に期待し過ぎていたのだと実感した。
 思うところがないかと問われればそんなことはない。
だが、彼女はただの教師であり地球じゃどこにでもいる普通の大人だ。
 そんな人間に何を望んでいたと言うのか……寧ろこれまで十分にやったと思うべきだ。
 無意識とはいえ、自分の不甲斐なさに呆れて言葉もでない。

「はぁ……それで、俺たちはどうすりゃ良いんだ?」
「ん、切り替えが早くて助かる助かる♪ ぶっちゃけ言うとその四人の確保をしてほしいなって話!」
「…………は?」





 菜倉の話をまとめると、これまで勇者達の行動方針はその殆どが勇者であるアキラと騎士団長のオルグド。そして宰相が決めていたらしく夏菜子にはその事後報告のみが送られていたらしい。

 当然その事に不満を覚えていたが、オルグドが嗜めることにより一応の溜飲を下げていたようだ。
 しかし募り積もった不満は確実に彼女の心を蝕み続け、その上生徒達のメンタルケアは欠かさず行っていたのだ。

 そしてとうとう魔王軍との戦争に向けての話し合いをする場で彼女の中で溜まっていた負の感情が爆発し、これ以上城にはいられないと判断して逃げ出す事を決意したと言う。

「はぁ~……そりゃ抜け出したくもなるわ。寧ろよく今まで持ち堪えたもんだわ」
「ホントにね。しかもカナちゃんは調合師なんていうポーション作りには打って付けのジョブでさ、毎日毎日皆んなのために大量のポーションを作り続けてたんだって。でも」
「どーせ横流しされてたんだろ?天職持ちの作ったポーション……さぞ品質も良くて高値で売れてたんじゃねぇか?」
「うん……一応クラスメイト全員には支給されてたみたいだけど、余った分は殆ど流れてたよ。それこそ金貨が数百枚単位でね」
「……どんだけ作ってんだか」

 次々明かされる真実に俺も菜倉も頭が痛くなってくる思いが込み上げてくるが、この話を聞いて酷く落ち込む者が一人。

「結奈っち、大丈夫?」
「…………うん、私は……大丈夫だよ。それよりも先生に、そんな事が……」

 菜倉の呼びかけに応じるも、その声は酷く辿々しく後悔して泣き出しそうであった。
 俺たちと違い、結奈は向こうでの暮らしが長かった分夏菜子との接点も多く使っていたポーション類も彼女がどう言う思いで渡してくれていたのかを考えてしまったようでその様子は酷く落ち込んでいた。

「抜け出そうとする理由は……まぁ分かった。それで、手引きした連中についての情報はあんのか?」
「あー……うん、あるっていうか、手引きしてたのは岡田くん達なんだけど」
「ん?アイツらがやってたのか?なんつーか、意外だな」
「いやぁ~……それが全然そーでもないんだよね」

 菜倉の話によると彼らは所謂天然物と言って良いくらいに自身の生存本能に忠実で、警戒心が異常に高い癖に対人関係には非常に柔軟でありながらも利用できるものは何でも利用する狡猾なタイプだという。
 その上戦闘技術もかなりの高水準のようで三人揃えば勇者の一撃すら防いで組み伏せるらしい。

「……何か。そいつらだけおかしくね?ってか俺の記憶が確かならそいつらって生産系ジョブだったはずだよな?暗殺者とかお前と同じ忍者とかじゃないよな?」
「あはは~、あたしも随分自信がなくなってるけど全員生産職なのは間違いないよ。
 ちなみに岡田くんが農作師で富田くんが料理人。天音ちゃんは薬師っていう先生とはまた違う天職持ちだね」
「…………なんつーか、コイツらだけ別次元飛んでね?それともアレか?この世界にとっちゃ農作師やらは暗殺者の派生系みたいなもんなのか?」
「流石にそんな殺伐とした世界は嫌過ぎるかなぁ~」

 ツッコミ慣れしていないせいで自分でもアホな事言ってるなと自覚しつつ事の経緯を聞く事にした。
 するとどうだろうか、正直俺はこの三人のことを端的に言って舐めていた。
 いくら菜倉が顔を引き攣らせるほどに評価していたとはいえ、そこまでではないだろうと。だが実際は。

「……………マジなんなん?コイツら」
「うんうん、その気持ちめっちゃ分かるぞ~」
「分かるぞじゃねぇよ!なんだよただの料理で貴族を薬中にするとか怖すぎるわ!しかも逆に薬師の天音は薬じゃなくて催眠作用のある蝋燭で洗脳するとか流石に引くわ!下手なヤクザよりもよっぽど怖いわコイツら!!」

 三人の手口を聞いてからの全力のツッコミ。
 普段寧ろ突っ込まれる側なので微妙に新鮮な気持ちになるが、それ以上に三人のぶっ飛び具合の方が上回ってそれどこじゃなくなってしまう。

「流石の弓弦でもやっぱツッコんだか~、まぁ気持ちは分かる。あたしも散々ツッコんだからね!報告書読んでてガチで悩んだもんだよ」

 うんうん、と感慨深そうに頷く菜倉に何か物申したくなる気持ちになるが、こればかりは仕方がないかと割り切り話の続きを促した。

「まぁ長々話しちゃったんだけど、要はあの子らウチで保護して面倒見ない?って話なわけよ。そうしなきゃガチで隠れられたら流石のあたしでも探し出すのに相当時間が掛かっちゃうからさ」
「……そうするしかねぇだろ。アイツらの手口聞いた後じゃ尚更な。そんで、最初に言ってたお膳立てってのは?」
「ん。それはもう気づいてると思うけど、あの子達の手引きする相手って実はあたしなんだよね♪」
「だよな。手口聞いてる段階で知ってた。そんで、どう言う手筈になってんだ?」
「それは簡単だよ♪当日あの子達には城への補給馬車がくる厩舎まで来てもらって、そこでミリナちゃんに回収してもらうの」
「んじゃ菜倉とミリナの二人だけいればいいのか」
「まぁそーなるね。弓弦からは連れてきてもいいかって許可がほしかっただけだからね♪」
「ふむ……いや、王都には俺も行こう。ついでに野暮用も済ませたいしな」
「野暮用?……王城に乗り込んでケンカ売るってのは無しだよ?」
「お、いいなそれ」
「な・し・だ・よっ!!」

 菜倉から素晴らしい提案が聞けたと思たのに何故か怒られた。解せぬ。

「何か企んでんのか?」
「……人聞きわるいなぁ。単純に城で暴れられるとせっかく仕込んだ密偵が無駄になっちゃうし、最初にも話した通り連中の企みが分からなくなっちゃうじゃん」

 ぷんすこっとでも言った様子で頬を膨らませて抗議する菜倉の言い分も分からなくもない話なので、とりあえずその話には納得する他なかった。

「あ、あの」
「どうした?」

 タイミングを見計らってか、恐る恐るといった具合で結奈が声をかけてきた。

「ちょっと思ったんですけど、他のみんなも一緒にってわけには……」

 その問いかけに俺と菜倉は目を合わせて小さく頷くとキッパリと「「無理だな(だね)」」と否定した。

「理由は三つ。一つは俺へのヘイトが高すぎること」

 これは地球にいた頃からそうだが、俺は周りからどうも疎まれる体質のようで、よく嫌悪の対象になっていた。
 理由は知らん。単純に見た目が気に入らなかったり、言動が気に障ったり、どうせそんなつまらない理由だろうが、そんなもんは知らん。
 いちいちそんなものを気にしては文字通り拉致があかんからな。だから俺はこれまで好き勝手に生きてきた。

(これはそんな身勝手な俺のツケが巻き起こしたことかもしれんが、どうせ考えても仕方のないことだな)

「二つ、あたし達の言葉を聞いても彼らはそれを受け入れない。国の方を信用しきっちゃってるからね」

 国は俺たちを召喚してからも俺以外の連中には手厚い援助を続けてきた。
 その結果、クラスの連中は完全に籠絡され今更俺たちの話なんぞ聞いたところで聞く耳すら持たないだろう。

「三つ、仮に連中を連れてきてもここにいる連中は奴らを受け入れない。というよりも受け入れられない」

 今現在、この地下都市にいるのはグローゲン砦にいた獣人族三十二名。魔獣人十五名と俺たちを含めた総勢五十三名が暮らしている。
 獣人族の中には元の里へ帰る事も出来る者もいるだろうが、現実問題としてそれは難しい。

 獣人族の中には人間と交わった者を忌避する習性があるらしく彼女達が同族だからと元の里へ帰ることはできない。そうでない者でも身寄りのない者を受け入れてくれる者は稀と言っていいだろう。

 何れにせよ、ここにいる連中は揃いも揃って人間に対して強い敵対心を抱いた者ばかりだ。
 菜倉達が受け入れられているのは一重に俺との繋がりが深いからというただそれだけで表立って感情を面に出さないだけで腹の中では憎悪を抱えてる者ばかりだ。

 それなのに一度に何十人も……それもこの世界の価値観に染まりつつある人間を連れてきたとあっては暴動が起きかねない。

 力で黙らせるのは簡単だが、それだと砦でやられてた事と同じだ。だからそれをする気は一切ない。寧ろ力を振るうのなら人間に向けてだ。

 俺にとってクラスの連中は同じ被害者であり、同郷の吉見程度の存在なので優先的に助けたり、逆に殺しに行ったりはするつもりがない。

(せいぜい機会があれば揺さぶりをかけて公国を裏切らせてお礼参りの一端を担ってもらおうとは思ってるがな)

「まぁそんなわけで連中を引き込むのは不可能なわけだ。理解したか?」
「……だよね、うん。無理を言ってごめんなさい」

 素直に謝罪する結奈に何となくだが、理解はしてるし納得はしてるが、飲み込めない。そんな様子がまた取れたが……まぁそれは時間が解消してくれるだろう。
 今は与えられた情報量が多すぎてパンク気味になってるだけだろうからな。
 
「よし。そんじゃ次の話だが……」

 その後、今後の方針と街のインフラ整備の話し合いを進めてこの日は終わりを迎える事となった。


 



ーーカポーン

「あぁ~~……いい湯だ」

 一通りの話し合いは無事終わり、一週間後に公国へ向かう事が決まった後はその後解散となり、俺は久しぶりの風呂を堪能していた。

「アハハッ弓弦オッサンみたいだぞ♪」
「だぞ~♪」
「うっせ、誰がオッサンだ。ミリナも変な言葉覚えるんじゃねぇよ」

 久しぶりという事もあって一人で湯船を堪能しようとしたのだが、残念ながらそうもいかず菜倉とミリナ。それから半ば強制的に庄吾も連行されてきたのである。
 ちなみに一応シャーリーもこの場にいるのだが、何故か隅っこで耳を塞いで膝に顔を埋める体勢のまま三角座りをしている。
 何故か小さな声で「私は健全、私は健全、庄吾以外は見たくない……」とぶつぶつと呪詛染みた自己暗示?っぽいものを呟いて動こうとしないので、とりあえず無視している。

「ったく、風呂くらいゆっくりさせてくれよな」
「女の子をいじめるよーな酷い人の言うことなんてしりませーん」
「ませーん!」
「…………」
「おやおや?黙まりですか?女ったらしに定評のあるお兄さんは生意気にも黙秘権を行使してるつもりですか?」


 突然の追求にシラを切ろうと画策するも、それが不可能なのは重々承知してるので言及されないように黙りを決め込むが、それをいい事にグイグイと煽ってくる菜倉。
 そのすぐ横には頬を膨らませたまま物理的に俺の頬をグイグイ押してくるミリナ。

 なんというか、仲良過ぎないかこの二人?とも思わなくもない光景だが、何となくこの二人は波長が合いそうだと前々から思っていたことなので仕方ないと諦める事にした。

「だーっ!分かった分かった!ほったらかして悪かったよ!だから頬を突くのやめろ!」

 しばらく黙っていたが、ミリナのグイグイが執拗なまでに強かったので折れて謝る事にした。

「むぅ~、ならパパは今日ミーと一緒に寝るの!」
「はいはい、今日は一緒に寝てやるから風呂では大人しくしような」
「ん!ならいいの♪」
「あっミーちゃんズルい!あたしも弓弦と一緒に寝る!」
「ダメに決まってんだろアホ!誰が男と一緒に寝るか!」

 即効で機嫌を直したミリナと違い菜倉は更に反発してきたが、緊急時とか止む負えない状況でもないのに誰が好き好んで男と一緒に寝るものかと押し返してやると。

「ってことは女ならいいんだよね?なれるよ!……ほら!」
「は?!」
『ッ………!」

 思わぬ切り返しに菜倉の身体を見ると、瞬く間に胸は膨らみ、薄ら割れていた腹筋は余分な筋肉が抜け落ちたかのようにスッキリとなり見事なくびれが出来上がると同時に腰回りも女性特有の丸みを帯びた感じに出来上がっていく。
 そして最も驚いたのは股座にぶら下がっていたイチモツは消えそこにはれっきとした割れ目が出来上がっていた。

 余りにも突然な光景に驚き言葉を失っていると、視界の端で庄吾が即座に湯船から上がって、恐らく見えていないにも関わらずシャーリーのすぐそばで同じように三角座りしている光景が見え、何故か冷静さを取り戻せた。

「ふっふー♪どーよ、これなら問題解決でしょ!」
「寧ろ悪化だわ!何かのスキルか?」

 俺から一本取ったのがそんなに嬉しいのか凄まじいドヤ顔を披露してくる菜倉に苛立ちながら考えられる可能性を口にするとVサインを堂々と掲げながら宣言してきた。

「イッエーッス!変装スキルがカンストしてから新たに手に入れた変身スキル……更にその上位互換ともいえるスキルをあたしはとうとう手に入れる事が出来たのである!その名も『変態』!」
「そのまんまじゃねぇかっ!!」
「痛い?!」

 これぞ究極!これぞ至高!とでも言わんばかりの堂々たるに俺は全力のツッコミを入れつつ脳天にチョップをかましてしまう。

「何だよ変態って!そのまんま名実共に変態になっただけじゃねぇか!」
「仕方ないじゃん!スキル名が実際そーなってるんだし、これならどんな体にだってなれる超最高なスキルなんだよ?!」

 そう、これまでのスキルでは肉体の外見のみを偽る事が出来たが、変態スキルはその名の通り肉体を『変態』させる事ができるようになったスキルなのだ。

 間際らしいかもしれないが、この場合の変態とは変質者的な意味ではなく形態変化を齎す方の意味である。
 ただ普通の変態でも流石に性別まで変える事は出来ないのだが、このスキルの凄い所はそれすらも可能とさせる所なので生物学上では今の菜倉は女性を名乗っても何ら問題ないのである。

「ほらほら見てみて!結奈っち~♪っていだい?!」

 しかもこのスキル。変身の上位互換というだけあって見たもの、触れたものには一瞬で姿形を変える事が出来るのである。

 それを利用して間宮結奈の姿に変わって弓弦にしなだれかかろうとしたが、ノータイムで顔面チョップを見舞われている。

「アホな事やっとらんでさっさと戻れ!」
「ぼ、ぼーりょくはんたぃ」

 ぶくぶくとそのまま湯船に沈んでいったが、次の瞬間には何もなかったかのようにザバッと起き上がると同時に元の菜倉の姿へと戻って見せた。

「あーもー、痛いなぁ。乙女に暴力とか紳士のやることじゃないぞ!」
「誰が乙女だ、あと紳士でもねぇから自業自得だ」
「ぶー」

 不満げに頬を膨らませてはいるが、ちゃっかり擦り寄ってくる辺り抜かりねぇなと思いつつ間にミリナを挟む事でこの程度は多めに見る事にした。

「んで、各地を巡ってきたお前らからしてこの世界。どう見る?」
「うわ、相変わらずのド直球。もーちょっと懐かしさに浸るとかないの?」
「そう思うならさり気なく伸ばしてくるその手を引っ込めろ、このド変態が」
「あん♪いいじゃん、このくらいのスキンシップさ~」
「仕事でもねぇのに男の相手なんぞするか。それで?どーなんだ?」

 こっそりと俺の下半身に伸ばしていた手を振り払いながら改めてそう問い返すと流石にこれ以上はないかと諦めたのか素直に話を始めた。

「程度にもよるけど、正直のところ同族以外にはこの世界はあまりにも排他的過ぎる気がするってのがこの一年ちょいで感じたあたしと庄吾の共通認識だね」
「やっぱりか……」
「地球でもそういう文化とか価値観の違いによって相手を嫌う傾向があるってのは、分からなくはない話だけど、ぶっちゃけこの世界のそれは異常過ぎる。
 いくらそういう風に教育されてきたとは言え、まだ幼い子供までもが見たこともない筈の獣人や魔族を毛嫌いするのはおかし過ぎるよ」

 価値観の相違。それは俺も感じていたことだしグローゲン砦で理解したことの一つではあったが、菜倉の話を聞いてそれが半分ほど間違ったものだと理解できた。

 俺はそういう価値観の違いというのは人が生きてきた経験から相手を忌避するものだと思っていたが、菜倉の話ではまるで最初からそうなるように植え付けられてきたかのようなものだという。

 つまり煽り文句ではないが、遺伝子レベルで人間は多種族を嫌うようプログラムされてたのではということだ。だがそれだとおかしな事もあった。

「ただ都心から離れた小さな村の集落や町なんかじゃそう言った排他的考えは都心ほどじゃないにせよ、かなり薄いみたいで、例えば息倒れていた亜人がいたら水や食料を分け与えるくらいは友好的みたい。逆に都心だったら行き倒れてようとのたれ死んでいようと石を投げたり蹴り転がしてドブに捨てるのが一般的なのよ」
「すげぇ落差だな……都心から離れたってのは具体的にどの程度なんだ?」
「んー、大まかな目安でしかないんだけど、馬車を使って三、四日くらいの距離が離れたとこらが現状調べた結果のなかで一番の最短距離だね。
 まぁそれでも基本的にはやっぱ同族以外は毛嫌いする傾向にあるんだけど、ちょっと面白いのは嫌う理由が伝承で伝え聞いてるからってだけみたい」
「……つまりあれか。一種の怪談話を信じてるってことか」
「イエス。否定する根拠はないけど、肯定する根拠もない。だから怖い、近づきたくないって感じだね。でも都心の方だと見たこともないのに絶対悪だと決めつける狂信者みたいになってるんだよ」
「厄介だな……理屈も理論も抜きにして、支離滅裂なことを言ってると理解してても捻じ曲げない。そんなのばっ……ん?おい、ちょっと待て」
「あ、気づいちゃった?」

 言っていてピンッと頭の中を過った言葉に引っ掛かりを覚えて菜倉を見やるとまるでそれが正解だと言わんばかりの表情を浮かべてコクリと頷いてくる。


「弓弦の思ってる通り、人の集まる場所。そこには必ず聖王教会があるんだよね」


 その言葉を聞いて、俺の中で眠っていた怨嗟達が微かに産声のような唸り声を上げた気がした。





 



あけましておめでとうございます!
そして新年早々ごめんなさいorz
年明け前、何ならいうと2020/12/28に投稿予定だったのですが執筆が進まず遅れに遅れて新年迎えた二日目になってしまいました、本当に申し訳ありません。

気を取り直して2021年では昨年とは違い、安定して投稿が出来る様に努めていきたいと思いますので、楽しみにしてくださっている方々にはこれからも本作品をどうぞよろしくお願いします!

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