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第4章
第55話
しおりを挟む塔を降りて最初にやってきたのはお馴染みの玉座の間であった。
しかし、弓弦にとっても馴染み深い筈のその場所は内装が以前より少々変わっており、円形状のホールの中心にある骸骨王専用席である玉座は変わらないが、その正面には以前はなかったはずの荘厳な長机とそれを囲むように八つの席が設けられていた。
見た目からしてかなり豪華な作りをしていたが、かなり使い込まれた年季の入ったものだと素人目から見ても分かるので恐らくグローゲン砦の何処かしらから運ばれてきたものだと推察出来た。
そして、そんな用意されていた席には。
「おっそーーいっ!まったく、いつまで待たせるのさ!」
「のさ~!」
席を半分ずらして振り返りながらそう問いかけてきたのは菜倉とその膝で遊んでいるミリナであった。
他にも口元を緩ませた庄吾と奥の席で安渡した表情を浮かべる結奈の姿もあり、久しぶりの再会ということもあって弓弦もまた頬を緩ませ「待たせたな」と返事をした。
「別に意図した訳じゃなかったんだが、菜倉に庄吾もよく合流出来……ん?アンタは……あぁ、そんなビビんなよ。別にとって食いやしねぇよ。んで、アンタはどこの誰なんだ?……へぇ。庄吾に?……ハハッ庄吾。お前も中々良い女捕まえたもんだな」
再会の挨拶でもするのかと思ったら、突然誰かと会話をするように喋り出し、かと思えばニヤニヤとからかうような表情を庄吾へと向けるのだが……そんな視線を向けられた庄吾はというと心底驚いたとでもいうように目を見開き口を半開きにしてしいる。
それは菜倉も同様だったようで「え?え?なんでバレ……ってか見えるの?」と困惑顔を露わにしている。
唯一結奈だけが一体何が起きてるのか分からず菜倉とは違う意味の困り顔をしていた。
「あぁ。ちょいと変わったスキルを手に入れてな、そのお陰で色々と見聞きできるようになったんだよ。つっても、対話しか出来ないし、ここまでちゃんとした会話が出来るのは今回が初めてだからな……正直俺としても、ちとびっくりしてるとこだ」
そう言って笑いながら答える弓弦に二人とも「あ、スキルなら仕方ないか」と納得し出すが。
「あ、あの?さっきから何の話をしてるの、かな?」
「ん?なんだ。お前ら結奈には話してなかったのか?」
「あ~、別に隠してた訳じゃないんだよ?ただタイミングが悪くてね。それにコレがなくちゃ見ることも話をすることも出来ないからさ」
結奈の疑問に菜倉が胸ポケットからイヤホンと片眼鏡が一体化した……分かりやすく言えばサ◯ヤ人が使っていたスカウターっぽい物を取り出して見せた。
「なんだそりゃ?」
「庄吾が作った魔道具でカウンター・アイズっていうんだけど、通信機として使う以外にも彼女と話をするにはコレがないとダメなんだけど……」
アイズの改良は庄吾が優先的に進めていたことで以前までは会話のみが可能なビー◯ム型であったが、そこに視覚でも捉えれるように追加されたのが、このカウンター・アイズであった。
ただ菜倉はそれをひらひらと見せるだけで結奈にも弓弦にも渡すつもりはないらしくすぐに閉まってしまう。その理由は。
「ここで使うとシャーリー以外のものもめちゃくちゃ見えるようになっちゃうっていうか……正直発狂レベルなんだよねぇ。
あたしも慣れてるはずなのに精神耐性レベルが2もあがっちゃうくらいだったから、たぶん結奈っちが使うと良くて床に色々ぶちまけてからの失神じゃないかな?」
「………」
アハハッと軽い口調でそう言っているが、その表情は少し引き攣っており、場を和ませようと無理矢理明るく振る舞っているのがありありとわかってしまう。
そしてその話を聞いてしまった結奈はというと、この場に実はもう一人いるというのと、それ以外にも何かが色々といるのだと察してしまい顔を青くさせてしまっていた。
「あ~……確かにそうだな。ってか、地味に気になったんだが何か、前より増えてねぇか?」
『当然であろうな。貴様が連れ込んだモノも多々あるが、それ以前にこの地には数多くの我らの同胞が眠っておったのだ。それがここまで人が増えれば自ずと目を覚ますというものだ』
弓弦の問いかけにさらりと答える骸骨王であったが、それを聞いた一同は顔を更に青くさせてしまう。
然程そういう……所謂幽霊などに恐怖心を抱いていなかった菜倉や庄吾も骸骨王の言葉を聞いて頬を引き攣らせてしまっているし、結奈に至っては最早涙目である。
今更ながら、なんだか凄いところを拠点にしてしまっているなと思いながら弓弦は骸骨王の近くの席に腰を下ろすと、その膝の上にすぐさまミリナがよじ登ってくる。
「おかえりなさいなの、パパ!」
「おう、ただいまさん。いい子にしてたか?」
「うん!オネェちゃんがね!色々遊んでくれたの!」
「オネェ……あぁ、菜倉のことか」
「うん?ねぇ、弓弦。なんであたしだって分かったのかな?かな?ちょっと教えてくんない?」
「バーカ。……言わせんなよ、死体に鞭打つ趣味はねぇんだよ」
「鞭打つどころか捕食するアホに言われたくないんだけど?!?!」
ごもっともである。
弓弦にとって死体とは鞭打つものではなく、ただの食料。もしくは自身の能力を高めるための糧でしかない。
そんなとんでもやろうに鞭打つ趣味がないとは一体どの口がほざくのやら……甚だ疑問である。
ちなみにことわざ通りの意味に捉えたとしても弓弦は必要とあれば鞭打ちどころかミンチにかけてペーストハンバーグを作るくらいの残虐性は持ってるぞ!
「さて、そんじゃ改めて……久しぶりだな、お前ら」
改まってそう告げると、それぞれ「全くだ」や「無事でよかった」等口々に呆れやら安堵やらを滲ませた返事を返してくれる。
「とりあえず情報交換をしたいとこなんだが……おっさん。こいつらには何処まで話したんだ?」
『ふむ……確か、そこの小童供には貴様と同じ所までは話した覚えがあるな。小娘に関してはまだ何も話しておらん。後で貴様がすると良いであろう」
「……あぁ。そうだな」
小娘と呼ばれた結奈の方を見ると、どうやら本当に何も聞かされていないようで小首を傾げているが、その表情からは何か良くない話であることを察しているようであった。
菜倉と庄吾に至っては苦々しい表情をしているが、その瞳からは激しい憎悪と怒りの感情が伝わってくる。
(……ふむ。菜倉と庄吾に関しては何となく分かってはいたが、ちょいと不味いな。霊達がアイツらの感情に反応して纏わりついていやがる)
スキル『怨霊対話』の副次効果からか、弓弦の視界からはこの場にいる霊の動きがハッキリとみて取れていた。
そのお陰で大多数のこの場を取り巻く霊達が菜倉と庄吾を囲むようにしていたが、シャーリーとかいう怨霊?のお陰で一定範囲内には近づけていないような雰囲気だった。
(んー、ちと気になるっちゃ気になるが、ひとまずシャーリーとかいう霊については置いとくか。今のとこは無害そうだし)
「なら先にここにいる獣人達について話を進めるとするか……知ってるだけで良い。今アイツらの様子はどうなってる?」
「あ、それは私から話した方がいいかな?」
そう言って真っ先に手を挙げたのは結奈であった。
彼女は治癒魔法を通して傷ついていた獣人達を癒しながらもカウンセリング紛いのことをしていて現状この場にいる人間種の中では最も信頼が厚い人物でもあった。
「全体の約七割は今のところ落ち着いて生活してくれてるよ。でもやっぱり精神的ダメージが大きい人が多いからちょっとしたことで発狂……というか、フラッシュバックっていうのかな?時々パニックを起こす人が多いね。
一応各種族間で別れて生活してもらってるけど、それによる弊害なんかは今のところ起きてないかな」
「ふむ……種族は違うが、獣人の団結力は健在か。残りの三割ってのは?」
「それは……肉体的・精神的にボロボロの人たちだね。私の治癒魔法でも完治は出来ないし、精神安定の魔法も効き辛いみたいで、会話なんかもまともに出来る人は殆どいない……流石の先生も失った部位欠損をノーリスクで治すのは不可能みたいだしね」
「先生?あー、おっさんのことか。そういや、魔法教えてたって言ってたもんな」
『ふん。やめよというても聞かぬのでな。好きに呼ばせることにしたまでだ』
「ふーん?まぁいいや、それで。やっぱ難しいのか?欠損部分を治すのって」
『不可能ではない。が、治癒魔法とは本来そのものが持つ回復力を魔力を加えることで急速に回復させるものだ。失ったモノを治すとなるとそれは最早“再生”となる。流石の我らであっても一朝一夕に出来るものではない。
例外としてアレをやれば可能性はなくはないが……余り賢い手段とは言えぬであろうな」
「……だろうな。そう簡単にやるべきじゃない」
骸骨王の言葉に弓弦もすぐに賛同して首を横に振ってみせるが、それに反応したのはやはりというべきか結奈であった。
「あの、その方法っていうのはなんですか?それで彼女達が治るなら……私はやるべきだと思います」
「…………」
『…………』
結奈の言葉に無言で顔を見合わせる弓弦と骸骨王であったが、どちらからともなく首を横に振って見せた。
「無理だな。仮にやったとしてもそいつらが自我を保って人として戻れる保証は何処にもない」
「ッそんなのやってみなきゃ!」
「そうだ、分からない。結奈。お前のその考えは嫌いじゃない。だから簡単に否定するつもりはこっちもねぇが、失敗したらそいつらは漏れなくただの魔物になる」
「……え?」
予想外の言葉だったのか、結奈は目を丸く見開き、話を聞いていた菜倉と特に庄吾がその言葉に反応してみせた。
「俺とおっさんの言った方法ってのはつまりは人体の魔人化なんだよ」
「「「?!」」」
「……ちょうど良いし、話しとくか。俺の持つ称号『魔に魅入られし者』ってのは詰まるところ存在の進化を促す効果があるらしい。
だが、こいつは本来人間なら仙人とか聖人とかそういう人としての格が一つ上にいけるようになる為の称号なんだが……俺の場合は魔獣を喰らったことで魔物になり、その後に魔人となって生まれ変わってきた。
んで、そんな俺の血肉と天然モノの魔人であるおっさんの血肉を分け与えて生まれ変わってきたのが、ミリナだ」
「はーい!ミーのとうじょうです!」
膝の上で両手を上げてバンザイするミリナの頭をポンポンと優しく叩いて宥めると話の続きをするが、その時点で既に結奈の表情は驚きに包まれていた。
唯一菜倉だけは頭ポンをされているミリナを羨ましがる視線を送っているが……まぁ見なかったことにする。
「ミリナの場合はかなり特殊な手段を使って、更におっさんの協力で何とか魔人になったが、それまでの人格は綺麗さっぱり消えちまったがな……」
無邪気な笑みを浮かべるミリナに少しだけかつての面影を重ねながらどこか寂しげな笑みを浮かべてグシグシと今度はやや乱暴に頭を撫でてやる。
「って訳でリターンよりもぶっちゃけリスクの方がデケェ。おまけに一時的に魔物になるにしてもそん時はえげつねぇくらいの地獄を見る上に失敗したらそのまま魔物に成り下がる。だからそいつらには悪いが、この話は無しなんだよ。分かったか?」
「……うん、そうだね」
珍しくも弓弦のどこか哀愁漂う空気を読んでか菜倉も茶化すことをやめて沈黙を守り、結奈もまた常に笑顔を振りまいていたミリナの真実を知ってそれ以上追求することはなかった。
「とりあえずその獣人達には傷が治るまではお前が付き合ってやってくれ。必要なら手を貸す。……そうだな、手始めに大浴場みたいなのを作ってやりゃいくらか落ち着く奴らもいるだろ」
「あ、それならもう作ってるよ!っていってもまだまだ建設途中だけど、庄吾の方が落ち着いたらすぐにでも完成する予定です!」
ピンッと手をあげてそう報告したのは菜倉だった。
外での情報収集がメインだった菜倉だったが、ここに来てからは基本的に手持ち無沙汰だった為、ミリナと共に修行しながらこの土地に眠っていた水源を確保していたのだ。
ただ水源といっても高濃度の魔力で汚染されている為、普通に使っては人体に悪影響を及ぼしてしまうのは火を見るよりも明らかだったのだが、魔力で汚染されているのならその原因となっている魔力を抜き出せば良いという発想から庄吾が浄化用魔道具を開発し、飲水などのあんてい供給に成功させていた。
「ほぉ~、そりゃすげぇな。この短期間でよくそんなもん作れたな……って、なんだこりゃ?イヤホン?」
菜倉の説明に感心して庄吾を見やると、何故か無言で片耳イヤホンっぽいものを差し出され不思議に思いながらもとりあえずそれをつけてみる弓弦。
『元々の構想はありましたから案外簡単に作れましたよ』
「うぉ?!庄吾か?!この声!」
突然聞こえてきた聴き慣れない声に素っ頓狂な声をあげてしまうが、それもその筈。
何せ地球にいた頃から庄吾は殆ど会話というものをしてこなかったのだ。
それは心を許した弓弦と菜倉相手でもだ。二人きりなら多少の会話は出来たが、二人が揃った間ではほぼ不可能。それがこれほどまでに流暢な言葉遣いで話してくるのだから弓弦の驚きにも納得というものである。
『はい、僕です。久しぶりですね、弓弦』
「お、おおぅ……なんつーか、今日一ってか人生最大のびっくりだわ……」
表情を引き攣らせながら狼狽えているとその横で菜倉が両腕を組んで「うんうん、わかるぞぉ~」っと感慨深げに頷いている。
ちなみに結奈も今のところ庄吾の声を聞いたことはないが、それはアイズの存在を知らせないためというよりも彼女自身を思っての配慮だったりする。
というのもある程度の通信制限をかける事が出来るとはいえ、それでも近くにシャーリーがいて話しかけるとその声をそのまま拾ってしまうのである。
原因は制作者である庄吾にも不明で、よくある『霊的存在が近くにいる時に起こる電子機器のトラブル』の一種として片付けている。
何せ本当に原因が分からないのだ。シャーリー自身も普通に話しかけているだけで特に念力っぽいものを送ったり、発生させているわけでもないのにアイズに干渉してしまうのだから原因の追求そのものが困難となっているのである。
ならばよくある、あるあるネタで片付けて時間のある時にでも研究しようと考えていたのである。
そんな訳で説明するのも面倒な上に霊的存在が苦手っぽい結奈にわざわざ教えるのも何だった為、この日までアイズの存在は彼女にも知らせていなかったのである。
「あ~、ビックリした……それで、庄吾は何やってんだ?すぐにでも取り掛かれるってんならそっちの方も優先して欲しいんだが……」
『それはちょっと難しいですね。僕が今やってるのは一言でいうならグローゲン砦の置き土産ですから』
「……あぁ、あれか。そういや、そっちの問題もあったな。今どんな状況なんだ?」
グローゲン砦の置き土産。
それは砦内で行われていた非人道的生産方法で獣人の女性を孕ませ、生まれてくる子供を成魔薬なるもので急速に肉体を成長させた後に高値で変態貴族などに売り払うという鬼畜を超えた外道の所業によって生まれてきた子供達のことである。
弓弦はその研究をしていた第一人者に子供達の肉体を安定させるよう命じ、その間は生かしてやる事を条件にしていた。
『元の肉体はダメですね。つぎはぎだらけのフランケンみたいな、辛うじて人の形を保っているような状況でしたので、脳を除いた全ての臓器と肉体をホムンクルス化させて肉体の安定を図っている状況です。ただこの場合だと魂の安定までは定着しなかったので……』
『我らが手を貸してやったのだ』
そう言って庄吾との話に割って入ってきたのは肘掛に頬杖を付いた、どこがドヤ顔っぽい雰囲気を出している骸骨王であった。
どういうわけか、骸骨王にはアイズを通さなくても会話が出来るという不思議現象が起こっているが、霊体であるシャーリーと同様に“そういうもの”として認識されている。
「手を貸したって……一体何したんだ?」
『貴様が思っている通り、魂の定着をしたまでのことよ。そこの小僧は何か勘違いしていたようだが、魂とは産まれる以前から肉体に宿っているものでな。
肉体が死んでも嘆いておった童の魂を小僧の作ったホムンクルスに定着させてやったのだ。
まぁ、多少我らの一部も取り込ませたので赤子同然で目を覚ます事はないであろう』
「おい。最後のとこだけ微妙に不穏な空気を感じたんだが?」
『それは貴様の受け取り次第だ。ただの赤子が肉体のみ成長していたらどうなるか……そう考えれば不味いこともあるまい?』
「むっ……まぁ、確かにそれもそうか……けど大丈夫なのか?一部とは言えアンタの魂を分け与えるとか元の魂とか飲み込まれるんじゃねぇのか?」
骸骨王の説明に納得しかけたが、それでも仮にも目の前にいるのは正真正銘の『魔王』なのだ。
そんな神と並ぶ存在の一部といえど、魂の欠片を只人の。それも生まれて間もない赤子の魂と同化させるのは正直不安でしかなかった。
『ふむ。貴様の懸念は分からんでもないが、それは純粋な肉体であればの話であろう?
産まれいでた肉体ならばいざ知らず、今回は素体となるのはホムンクルス故に肉体的・能力的問題は限りなく低いであろうな。強いてあげるならば……そうだな、特定の魔力適正が非常に高くなり、ホムンクルスとしての制限から縛られなくなる、といったところではないか?』
「ないかって……どうなんだ?庄吾」
『……現段階ではまだ何とも。ただ僕も王さんの言う通りになるのでは、と思っています。魂の影響が肉体にまで反応することはあっても物理的にそこまで変わる事はないと踏んでいますから……それにもし変わったとしてもホムンクルスなら生身と違いある程度の調整は可能ですから問題はないと思われます』
「そうか……ん?王さん?」
若干マッドな発言だと思えたが、ホムンクルスは人工生命体。つまりは人の手によって造られたものであるため、すぐに納得したが、それよりも骸骨王への呼び名の方が気になってしまった。
『あ……えっと、何て呼べば良いのか分からなくて……それに菜倉は王さまですし、結奈さんに至っては師匠だったりとかで……僕もそれに習った方がいいのかな、と』
「あ~、そういうことか……ちなみに獣人達は何て?」
『えーっと、確か魔王様……だったかなと」
「ぶっ!」
その答えに思わずと言った様子で吹き出してしまう弓弦。
ちなみにこれまでの会話は庄吾だけがアイズを通しているのでアイズを持っていない結奈とミリナだけが突然吹き出した弓弦を不思議そうに見やっていた。
「ダッハハハハッ!バレてんじゃん!モロバレてんじゃんかよオッサン!アハハハッ!」
ただ骸骨王の正体を知っている弓弦はそうとは知らずに呼び慕われている現状に腹を抱えて大笑いし出していた。
『ふんっ。別段隠しておるわけでもなし、矮小な奴らからしたら我らの姿形から勝手にそう呼んでおるだけだ』
「だとしてもだよ!あー、笑った。やっぱ名前くらいはいるんじゃねぇか?誰のことかは分かるが、色々と不便だしな。あ、ついでにこの場所も名称くらいは付けねぇとな。やっぱないとないで不便だ」
今更な気もするが、やはりちゃんとした名称は必要だと思っていた弓弦はちょうど良い機会だとばかりに骸骨王へとその提案をして見せると、どこか不貞腐れたような。肉があったら眉間に皺でも寄せていそうな口調『勝手にせい』とだけ告げてきた。
「ほんじゃー、庄吾。頼んだ」
『え?!ぼ、僕がですか?!』
「あ?んなの当たり前じゃん。ある意味お前が一番適任ってか、そーいうのは元から得意じゃねぇか。前に読ませてもらった……」
『全力で引き受けさせて頂きますのでそれ以上は黙って下さい!!』
「お?おぉ、よろしくな?」
いつだったか庄吾の部屋にあったノートに書かれた“設定集プロット①”とかいうのを見ていてその事を思い出しながら庄吾に話を振ってみたら凄まじい剣幕で迫ってきて僅かにたじろいでしまう。
確かに二次創作なんかは他人に読まれると凄まじく恥ずかしくなるものだというのは理解しているが、正直今更感もあるので庄吾がそれを全力阻止してくる意味が分からず「今更どうした?」と聞き返したくなったが、何となく庄吾の雰囲気が本気で嫌そうだったので辞めることにした。
「ねぇ弓弦くん?さっき言ってたバレてるってどう言う意味なの?」
とりあえず次の話題へと移行用とした時、タイミングを見計らってか結奈が話しかけてきた。
これまでの会話は殆どがアイズを通していたこともあって若干結奈だけが放置されていた状態だったのだが、どうやら突然爆笑するわ庄吾が慌てふためいてる姿を見て口を挟まずにはいられなかったのだろう。
俺はそこで一度「ふむ」と考えながらチラリと視線をオッサンへと向けると、軽く顎でしゃくってきたので話しても良いだろうと促してきた。
「……まぁどの道話さねぇといけねぇからな。結奈、ここにいるオッサンは魔王の一柱なんだよ」
「………はい?」
その一言に結奈は何を言われたのか理解できず、表情が抜け落ちたかのような能面になってしまう。
それはそうだろう、魔王とは自分たちが召喚されてきた理由であり、倒すべき標的であり、元の世界へと帰る為の手段なのだから、それが目の前で。しかもこれまで普通に一緒に生活してきたというのだから驚くを通り越して言葉にならなかったのだろう。
再び再起動するまでの間僅かに時間があったが、その後は“魔王”についての説明と骸骨王の生い立ち、そしてこの世界の一部の歴史について話をした。
菜倉と庄吾はある程度は既に聞かされていた事らしく反応は薄かったが、それでも所々は知らなかった部分もあったらしく終始無言で集中して話を聞いていた。
ちなみに勇者召喚については、まだ話していない。
というか、与えられた情報量が多すぎてしまいそこに行き着く前に完全にショートしてしまったからだ。
「……まぁ時間もいい頃だし、とりあえず今日は一時解散にすっかね。菜倉、悪いが外での事はまた明日ここで話し合うから今日は休め。庄吾も名前と名称については急ぎじゃねぇから無茶すんなよ」
「うん、そーするね……あ、結奈っちはどうする?」
「俺が部屋まで運んどくわ。お前らはもう知ってんだろ?」
「……はぁ。あんまイジメちゃダメだからね?」
「わかってんよ」
最後にそれだけ返事を返すと菜倉と庄吾はそのまま部屋を出て行き、残された俺と結奈。それから骸骨王とミリナだが、ミリナは途中から眠ってしまったらしく今は骸骨王の膝の上で船を漕いでいた。
『さっさと行け。今宵はミリナも小娘に譲ると言っておったからな』
「悪いな。サンキューなミリナ」
「んん~……?も~まんたぃ……」
声をかけられ若干意識が覚醒したようだったが、ミリナはそのまま眠りへと落ちて行ってしまった。
その様子がどうにも可愛いらしく俺はミリナの頭を優しく数度撫でると結奈を連れて部屋を後にしていった。
☆
グローゲン砦から運び込まれたものは随分と充実していたらしく結奈の部屋にはそれなりに家具が揃っており、棚には飲みもしないのにワインやウイスキーなどの酒類まで完備されていた。
ただ全く飲まないわけではないらしく甘い系の果実酒や蜂蜜酒なんかな栓は開いていたので結奈をベッドに腰掛けさせると空いていたカップに蜂蜜酒を注いで持たせてやった。
ついでに俺も良さげなウイスキーボトルを見つけたのでそれを持って結奈とは対面になるように椅子に腰を下ろした。
「……なんて言うか、なんだか本当。凄い世界にきちゃったんだね。私たちって」
「無理矢理にだがな」
「ふふ。確かにそーだね」
どうやら気持ち的にはだいぶ落ち着いてきたらしくその口調は穏やかなものに思えたが、それはすぐに違うと気づかされた。
「あーぁ……ごめん、弓弦くん。私強くなろうって努力してきたつもりだけど、なんか気持ちが折れてきちゃった」
「誰だってそーだろ。結局のところ、この世界の人間が身勝手過ぎたのが原因なんだからな」
「……そーなんだよね。“魔王を倒してその核を使えば元の世界に帰れる”なーんて全部信じてたわけじゃないけど、可能性としては有りなのかなとは思ってたんだ。
でも、その魔王が暴れる原因が人間達が招いた事だって思うとどうしても、ね?」
悲壮感、とは少し違うが今の結奈を端的に表現するとするなら正しくそれであり、燃え尽きたとも言っていい状況だった。
「知りたくなかったか?」
「……どうだろ。正直、自分でもよく分かってないっていうのが本音かな。
この世界の人とは元からズレ……みたいな、自分たちとは何となく違うなぁって思ってたけど、まさかここまでとは流石に考えても見なかったから……少なくとももうこの世界の人とは関わりたくないって気持ちの方が強いかな」
「そうか……」
俺はそこで言葉を区切ると持っていたボトルを直接一口飲むと、結奈もそれに倣うようにカップに口をつける。
「……」
「……」
無言の空気が流れ、アルコールが全身に巡っていくのを感じながら俺は迷っていた。
今の結奈に必要なものは何か。真実を知り、燃え尽きてしまったように思える彼女に与えれる言葉は何か。
元気つけたいのであれば言いようはあるだろう。
例えば帰還するだけなら骸骨王と協力する事で可能かもしれない、というあやふやで曖昧な言葉をやれば良い。
けれどそれは本当に一時的なもので優しさでもなければ慰めでもない。
寧ろすぐにバレてしまう嘘な上に残酷な真実だけが彼女を待ち構えている。
だがその一方で真実のみを伝えた場合はどうなるのか。間違いなく彼女は俺たちと同じ復讐の鬼となる。
燃え尽きた感情を昂らせ、憎悪と怒りに燃えて俺たちの戦列に加わることだろう。
それが結奈にとって良い事なのか悪い事なのか……それは分からない、だがどうせバレるなら。
「チッ……何を今更ヘタレてんだか」
「? 弓弦くん?」
「なぁ結奈。前にも聞いたかもしんねぇけど、お前はどうして俺なんかを探してきたんだ?」
「え?」
突然の質問に一瞬呆気に取られた結奈だったが、その表情はすぐに赤くなりあわあわと両手で顔を覆い隠すが、やがて落ち着いたのか深く深呼吸をして真っ直ぐ目を合わせて告げてきた。
「あなたが……弓弦くんの事が好きだからだよ」
その瞳は何処までも真っ直ぐで、酒と羞恥心で白い肌を赤くしながら発した言葉はシンプルでとても分かりやすく俺の心に何処までも響いていくようだった。
だからきっとこの問答に意味はないのだろう。
「お前のことは素直に良い女だと思ってる。だから好きかどうかでいえば俺も結奈の事は好きだ。だが俺の“好き”とお前の“好き”は違うんだよ……それでも俺に付いてくる気か?」
答えの決まってる問答などそれは問答ではない。
「うん、付いてくよ。惚れる惚れないとかじゃなくて、振り向いてほしいとか振り向かせるとかでもなくて、弓弦くんは私のことを見てくれるし、愛してくれるでしょ?なら私は付いてくよ」
ただの答え合わせにしか過ぎず、互いの気持ちを確認し合うだけの儀式。
「お前を放って他の女と寝てるとは思わねぇのか?」
「思わない。弓弦くんなら"わざわざ別けるなんてめんどくせぇ"とか言いながら一緒に愛してくれそうだし、蔑ろにするなんてもっと無い」
「嫉妬とかしねぇのかよ」
「するよ。でもそれ以上に幸せにしてくれるなら文句もない」
「……そーかい。それなら何の問題もねぇな」
「うん、問題なんてないよ」
俺はボトルを机に置くと結奈の方と近づいていき、視線を同じ高さになるように屈んでそっと彼女の右頬へと手をやり、結奈もまた触れられてる手を重ねるように置いて頬を擦り寄せてくる。
「だったら付いて来い。何処までも連れ回して護ってやる」
「うん、何処までも付いてくから置いてかないでね?」
そう言って触れるだけの、重なり合うだけの優しい口付けが二人の間で交わされた。
閑話休題
「……じゃあ、お父さんもお母さんも……私の家族はもう皆いないんだね」
「あぁ……血縁関係者は全員な。それの証拠が」
「私たちの初期ステータス……か」
事が終わった後、俺は結奈に全てを話した。
勇者召喚の儀式に関係する犠牲者と生贄、そしてその代償の全てを包み隠さず話し終えた。
結奈は俺の腕を枕に首から下げていたステータスプレートをぼんやりとした眼差しで見つめていた。
その表情は悲嘆にくれるわけでも、嘆き悲しむでもなく本当にただぼんやりとしており、思考と理解が追いついていない。もっと言えば、実感が湧かないと言った様子だった。
「結奈?」
「……最近ね。地球にいた頃の記憶があんまり思い出せなくなってたんだ。帰りたいって気持ちはあるのに、それ以外のことに必死になり過ぎてたのか、その気持ちも記憶と一緒にだんだんと薄れてく……そんな感じがしてたの」
「……ひょっとして」
「どうだろ?でも弓弦くんからこの話を聞いた時、何かが胸の奥に収まった気がしたの。たぶん、心の……ううん。もっと別の感覚でわかってたんだと思う」
結奈の言葉にまさか気づいていたのかと勘繰ってしったが、よくよく考えれば分からない事でもなかった。
家族との繋がり、その繋がりが断ち切られた事で結奈は記憶と共に元の世界へと帰りたいという欲求すらも薄れていっていたことを自覚していた。
少々ファンタジーが過ぎるのではと思えなくも無いが、繋がりの消失というのはそれだけ影響力が大きいのだろう。
「でも、そっか……皆いなくなっちゃったんだね。私だけじゃなくて召喚された人皆んなの……それなのに、皆んなはその事も知らずになんて……こんな、こんなのって……それじゃ、私たちは……っうぅぁああああっ!!」
「…………」
言っていてじわりじわりと実感し出したのか、結奈は子供のように泣き出した。
ただただ嗚咽を漏らし、内に溜まったものを全て吐き出すかのように声を上げて涙を溢し、弓弦はそれをただただ受け止め彼女の体を抱き寄せるしかなかった。
真実を告げる前に弓弦が告白紛いのことをしたのはこうなることを見越しての事だった。
ただ真実を告げるだけでは彼女には何も無くなってしまう。その後にフォローすれば良いだけとも思えたが、それでは彼女の心に何かしらのシコリを残してそれはいずれ負い目や禍根のようなものになってしまうと思ったからだ。
そうなれば結奈のその後の選択は自分たちと同じ復讐鬼となるか、自ら命を絶とうとするだろう。
前者ならまだしも、後者となると流石の弓弦でも動かざる終えなかった。
自ら命を絶つというのも見方によっては立派な選択肢の一つだろう。何せそれだけの絶望なのだ。
絶望は安易に人を殺せる。それだけで百万の死を連想させる程に凶悪なものだ。
そんなものを彼女に味合わせるというのは余りにも酷と言うものだ。だから弓弦は先に話をして彼女を安心させる道を選んだ。その為なら自分の安い信条などどうでもよかった。
『基本的に抱くのはプロか惚れた相手のみ』
これを破るのはミリナを含めて二人目になるが、それでもこんな安い信条で彼女の心を守れるならとこんな打算ありきでの考えの元動いた結果なのだが。
自分でも思っていた以上の憤りを弓弦は感じていた。
こんな下衆な考えをしていた自分に対してもだが、それ以上にこんなことをしでかしてくれたこの世界への人間に対しての憎悪が自分で予想していたよりも強かった。
その理由は自分でも分かっていた。
俺はもう結奈(コイツ)をとっくに家族として迎え入れていたのだと。改めてそう自覚したからだ。
(俺は俺の家族と認めた奴らを傷つける事を許さない。それが一体誰であっても、それが一体何であっても絶対に許さない)
そう心の中で怒りを滾らせながら今は胸の中で泣く少女の肩を強く抱き寄せてやった。
★
久しぶりの投稿で申し訳ありませんでした!
感想・レビューを下さった方々、本当にありがとうございます!!
私ごとではありますが、最近本当に忙しくて若干スランプ気味ということもあり不定期更新が続いておりますが、何とか冬休みに入ったと言う事でその間に後2~3話分投稿出来たらなっと思っていますので、応援のほどよろしくお願いしますorz
そして感想コメント下さった読者の方!
本当にありがとうございます!正直自分なんかのって思っていますが、心の底から熱い涙が溢れてきて……もうありがとうございます!
最後に弓弦×結奈のベッドシーンは正直めちゃくちゃ細かく書きたかったですが、それだとシリアスブレイクどころじゃ無いと思い断念しました泣
楽しみにしてくださった方々には申し訳ありませんが、どうか今後にご期待ください!
ながながと申し訳ありませんでしたが、次回投稿は恐らく28日の夜になると思います!それではまたのお楽しみを!
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そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
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