ゴッドギャンブラー

コブシ

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ゴッド降臨

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スクリーンに白黒で映し出された写真。


微妙な鼻の上げ下げの写真が拡大されると・・・な、な、な、な、なんと!お誕生日ジョッキーの馬が1着!


そして2着には、これまた、な、な、な、な、なんと!4番人気の馬が!


どよめく場内。


「おい、おい、これスゴい配当つくで!」


「どえらい万馬券やで!」


あちらこちらから聞こえる声。


震える手で、持っている馬券を見た。表示されている着順の馬連を確かに500円買っていた。


“レース結果をお知らせ致します”


なんの感情も感じとれない無機質なアナウンスの後、配当金が表示された。


“馬連6万数千円”


「おおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


一際どよめく場内。


正確な配当金は思い出せないけれど、なんせとんでもない万馬券だった。


その瞬間。


「よっしゃーーー!パッション!!」


「きたでーー!パッション!!」


私、バイト君たちは口々に店の名前を絶叫していた。


周りの人たちは「パッション?そんな馬居ったか?」と訝しげな顔をしていた。


なんという事でしょう・・先程までの死んだような表情の地獄からのgo to heaven・・


大改造ビフォーアフターみたいなナレーションで言いたくなるくらいの変わりよう。


「さすが!コブシさん!」


「俺たち信じてました!」


こんなドラマチックな勝利、盛ってるんちゃうん?


いえいえ、この思い出は昨日の事のように鮮明に思い出せます。嘘偽りなし、正真正銘本当の話です。


にしても我ながら神がかっていたなぉと思う。正にゴッドギャンブラー・・ちと言い過ぎか。(笑)


早速、換金へ。


震える手で差し出した紙切れが、なんと!30数万円になって返ってきた。


あの2000円が・・たまにこん事があるからギャンブルはやめられないのだろう。ま、今は子供の学費が必要なのでしてませんけど。


「よっしゃ!また今日もパッション行くかっ!」


「行くぞーー!」


「やったーーー!」


バイト君たちも大喜び!


そりゃそうだ。


さっきまで使える金がない状態からの~30数万円なんだから。


そして、私には是非とも恩返しをしたい方がいた。


同じ寮で生活していた先輩のMさん。


私はこの方のお陰で私は今の妻と出会えた。


私の信条・・・“刻石流水”


受けた恩は石に刻むように絶対に忘れるな。かけた情けは水に流せ。


妻の勤めていたたっかいクラブ代全て奢って頂いた。


早速、Mさんに連絡。


「Mさん!競馬でアホみたいに勝ちました!今からキャバクラ行くんすけど、今までMさんに奢ってもらってばっかりだったので、今日は僕の奢りで飲みに行かないっすかっ!」


元来、Mさんも遊びが好きな方。


「コブシ、エエんか?大丈夫なんか?」


「モチロンですよ!今までMさんにはお世話になりっぱなしでしたから、せめてもの恩返しです!」


さぁ~今晩は楽しむぞ~!


昔から、宵越しの金は持たない主義。この時点で有り金全て使い切るつもりだった。


私には娘がいるけれど、こんな男とは結婚して欲しくない。(笑)


皆で楽しい夜にするため、私にはあるアイデアが思い浮かんだ。


それは・・・
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