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オナニ様陣営

プリマのもとにイコー!

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「もしかして、オナニ様、そのサトウ・ヒロシともう先に? こちらへ?」
「いいや、おくったのはカズシで初めて」
「初体験?」
 急にヲレ氏はオナニ様に筆を見せた。
 ヲレ氏はオナニ様の綺麗な頭を筆で擦る癖がある。虫眼鏡で凝視して、細かいとこまでチェックして大興奮も。
「なんだ、急に筆を見せて。もう私にとっての筆始めもしただろ」
「あはは♡」
「フレンチェという先程の女も抱きついてみたいんだろ」
「でも、ヲレ氏にはオナニ様が」
「いいんだ、私はカズシがなにかを愛したり恋したりするそのエネルギーをよろこべる神であるから。そのカズシの心の解放をさせるのも私の仕事だと感じてる」
「なるほど。それじゃあ」
「カズシにベタ惚れ。それはもういきなり抱きついてやるぐらいのが丁度いいかもしれないな」
「あはは♡」
「しっかりと攻略してこいよ」
「フヒヒ、はい♡」
 ヲレ氏はフレンチェが部屋から出るのを待ちぶせ。
 後ろから抱きついてみたいんだ。
「だ~れだ、って後ろから抱きついてやれ」
「……ん。やっぱりやめます」
「べつにいいが。ガマンしてるとまた汁が出るぞ、汗」
「もう出てます。ヲレ氏、オナニ様がすでにあるからってのもあるんでしょうけど、あえて、向こうから迫ってくるのを、愉しむよ。フレンチェを操ろうとせず操りたい」
「おお、成長したな!」
「成長なんですかね」と、ヲレ氏は笑っていった。
「でも、私は、そんな地味なやり方より、もっとガツガツと食いついてほしいんだよ、がっつかれたいんだ」
「そうですか……」
「フレンチェだって、そうだよ」
 フレンチェが部屋から出た。
 フレンチェがヲレ氏のほうを見た。
「なにをやっているのですか?」
「いえ、特に何も。フレンチェ様が、今後どうされるのかを、期待していまして」
「私は……サトウ・ヒロシ様に会いにいきます」
「え? それじゃあ、敵側につくと?」
「そんな、そもそもサトウ・ヒロシ様のテリトリーは私たちと協力関係ですよ。ゴッド=ヤマダ・カズシがサトウ・ヒロシ様と争うか否かというところが問題視されているだけですよ。だから私たちはどちらを味方にするのか、ということでいま議論をさまざまなところでしているところ。私はゴッド=ヤマダ・カズシもサトウ・ヒロシ様も守りたい、ふたりの妻になりたい」
「あはは♡」
「どうですか? 私のこと、好き?」
「はい、大好きですよ。オナニ様の輝きに満ちた金の髪も大好きですが、フレンチェ様の白髪よりも白い綺麗な髪も大好きですし。ヲレ氏、髪の毛手入れしてるからわかるんだけど、その長髪のセット具合は、相当のお手入れがいるんだとわかりますし。それにしても、法皇のお孫娘さん、でしたっけ? お孫おメスめっていうべきなのかな? ごめん、かんじゃった、お孫お娘っていうべきかな? そのような立派な立場で、そこまでオスを求めてもいいのでしょうか?」
「べつに問題ない。ただ私はたくさんのオトコトモダチとかをつくってなかよくやりたいっていっているだけですから」
「あーなるほど!」
「この毛は地毛で、このタイプの毛は滅多にいません」
「私のこの金髪も地毛だが、ヒトの金髪とはわけが違う。神特有の髪というものだ」
「素晴らしい、さすがオナニ様。ヲレ氏の命の恩人以上の存在」
「髪特有の髪? まあそれはさておき、サトウ・ヒロシ様のいる国に、一緒にいきませんか? 安全な船を出します。向こうについて、城で宿泊できます。プリマ姫はよきオンナトモダチになるはずです」
「オンナトモダチ?」
「ようするに、ゴッド=ヤマダ・カズシが愛し、恋をする存在、と。恋敵とは見れません、どのみち、ゴッド=ヤマダ・カズシはプリマを目にして一目惚れするはずです。実は、私もプリマと会うのは初めてになります、今回。仲よくやれるかはまだわからないんですが、やれますよ」
「え?」
「サトウ・ヒロシ様は、大のゲテモノ好きだと世界中で話題にされていましたからね、今でもどこかでその話題はあがっているでしょう。恐らく、ゴッド=ヤマダ・カズシも、そういう好み持ちなのでは、と、推測がされています。それでは中に入ってください、一緒にいきましょう」
 船が窓から見えた。
「あーなるほど」
「いい船でしょ」
「そうですね、創作に使いたい」
 ヲレ氏、オナニ様、フレンチェ、南方聖堂自由党メイスン騎士団員は船に乗る。
「いい旅にしましょう。夜もたくさん愉しもうねっ♡」
「あっ! はい♡」と、ヲレ氏はいった。
「できれば、カズシ、フレンチェ様、私用の部屋で過ごしたい」
「もうはじめからそのつもりです」
「はっはっ、すげえ男だ」
「ナイトホース元騎士団長」と、フレンチェは言った。
「俺はもう騎士団員ではねえ、でもさあ、こういう旅もしてえから、酒のんで、参加さ」
「ナイトホース師匠は現役時代いろいろとやりまくりでしたからね、モテモテで。まあ、ゴッド=ヤマダ・カズシほどではありませんけど」と、ダ・メル騎士団長は言った。
「本来なら怒ってたけど、ゴッド=ヤマダ・カズシくんと比較されるとくると怒れねえや、わははっ」
「ゴッド=ヤマダ・カズシを護衛できる、これだけでも、我々騎士団員には最高に名誉ある仕事だと感じています」
「ダ・メル、おまえはバカだが、戦う姿はかっこいいからそこを依りどころにして修行して、ある日俺から買われ、おまえの今がある。そう思うと騎士団もあんま大したことねえや」
「外の世界の軍人もそんなもんだよ」
「そうなんですね、オナニ様」
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