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第1章 同棲生活始まります!?
ご招待。
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「…大丈夫?」
振り払われると思ったけど、そっと手を差し伸べてみると、彼は案外素直に僕の手を取って立ち上がった。
「中川先生…」
…しゃ、喋った!!
普段からあまり喋らないタイプみたいで、僕はあまり長月君の声を聞いたことがなかった。
僕の授業は、ほとんど当てないし。
しかしいざ聞いてみると、少し低めの、綺麗な声だなと思った。
「あ、あの…。俺、その。」
その綺麗な声が、戸惑いを隠すようにかすれ、震えている。
何か嫌なことでもあったんだろうか?
なるべく優しくしたい、そう思って彼の目を覗き込む。
やはり自分の生徒には、そんな辛そうな顔して欲しくはない。
「どうしたの?何か困ってるの?」
そういうと、長月君はこくりと頷いた。
しかしすぐにはっとして、顔を赤くして首を左右にぶんぶん振った。
「い、いや。そんな、困ってるっていうか。その…、あ。」
僕が距離を詰めると、長月君は、やばい、とでも言いたそうな顔をした。
顔が赤い…もしや好きな人でもいるな?
「ふーん、そうかそうか。高校生だもんねー。可愛い女の子とか、気になっちゃうよねー!」
普段はクールな長月君が見せる照れた幼げな顔に、思わずにやけてしまった。
まあ、しっかり頑張りたまえー、青春青春!
と言おうとした。そんな風におどけて言ってみれば、長月君も笑ってくれると思ったのだ。
しかし、長月君は少し傷ついたような顔をした。
冷や汗が出た。
これは…外した?
もしや、傷つけた…!?
「え、な、長月君…?ご、ごめん!そんな、からかうつもりは毛頭なか」
そして、長月君は、ため息をついてその場にへたり込んだ。
「どーせ俺は…変なやつですよ…」
小さな呟きは、最初の方だけしか耳に届いてこなかった。
きき返そうにも、あまりに長月君が沈んでいるので声もかけられない。
「…あの、ごめんね。ホントに傷つけるつもりはなかったんだ…。」
僕は彼のすぐ横に座り込んだ。
自動販売機で買ったばかりのカフェオレを彼に渡した。
彼はそれを3口程で飲み干した。
どれだけの時間、こうして二人で座り込んでいたんだろう。
お互いほとんど話しもせずに、ただひっそりと、暗さの増していく空を眺めながら。
そして、とうとう僕はきりだした。
「…長月君。おうち、帰らなくていいの?」
あの時のあの顔は、今でも忘れられない。
彼は、ふ、と寂しそうに笑ったのだ。
その垂れた眉に、細められた目尻に、ほのかに上がっただけの頰に、僕の中の何かが掻き立てられるのを感じた。
なんというか、寂しさというか、悲しさ、というか。
情、というか。
彼の持つ痛みに、少し触れたような気がした。
「俺、帰る家ないんすよ。ここで野宿です。」
そして、僕がこう答えるのに時間はかからなかった。
「なら、今晩だけでも僕の家…来る?」
長月君は目を見開いていた。
だって、どんな事情であれ、こんな寂しそうに笑う子をほっといて帰れるわけがない。
そして、長月君は赤い頰を隠して、だいぶとためらった後、小さく、本当に小さく、「お願いします。」と言ってくれた。
独り身なので、大きな家に住む理由もない。学校からそこまで遠くない、小さなアパートの一部屋でひっそりと暮らしてる。
「だから、そんなに綺麗でも大きくもない部屋だよ。期待しないでね。」
そう苦笑いしながら闇の中を歩き出した。長月君は、どことなく嬉しそうに見えて、僕はほっとした。
途中長月君が羨ましそうに屋台の唐揚げ屋さんを見てたので、買ってあげると顔をほころばせた。
犬みたいだなと思った。
尻尾や耳がぶんぶん振られているのが見えるようだ。
長月君が最後の唐揚げを食べ終わった頃、僕らはアパートについた。
なぜか立ち止まってる長月君の体を半ば強引に押しながら僕は部屋に滑り込み、
二人分のカップラーメンを棚から出した。
「遠慮なんていいから!入って入って~」
振り払われると思ったけど、そっと手を差し伸べてみると、彼は案外素直に僕の手を取って立ち上がった。
「中川先生…」
…しゃ、喋った!!
普段からあまり喋らないタイプみたいで、僕はあまり長月君の声を聞いたことがなかった。
僕の授業は、ほとんど当てないし。
しかしいざ聞いてみると、少し低めの、綺麗な声だなと思った。
「あ、あの…。俺、その。」
その綺麗な声が、戸惑いを隠すようにかすれ、震えている。
何か嫌なことでもあったんだろうか?
なるべく優しくしたい、そう思って彼の目を覗き込む。
やはり自分の生徒には、そんな辛そうな顔して欲しくはない。
「どうしたの?何か困ってるの?」
そういうと、長月君はこくりと頷いた。
しかしすぐにはっとして、顔を赤くして首を左右にぶんぶん振った。
「い、いや。そんな、困ってるっていうか。その…、あ。」
僕が距離を詰めると、長月君は、やばい、とでも言いたそうな顔をした。
顔が赤い…もしや好きな人でもいるな?
「ふーん、そうかそうか。高校生だもんねー。可愛い女の子とか、気になっちゃうよねー!」
普段はクールな長月君が見せる照れた幼げな顔に、思わずにやけてしまった。
まあ、しっかり頑張りたまえー、青春青春!
と言おうとした。そんな風におどけて言ってみれば、長月君も笑ってくれると思ったのだ。
しかし、長月君は少し傷ついたような顔をした。
冷や汗が出た。
これは…外した?
もしや、傷つけた…!?
「え、な、長月君…?ご、ごめん!そんな、からかうつもりは毛頭なか」
そして、長月君は、ため息をついてその場にへたり込んだ。
「どーせ俺は…変なやつですよ…」
小さな呟きは、最初の方だけしか耳に届いてこなかった。
きき返そうにも、あまりに長月君が沈んでいるので声もかけられない。
「…あの、ごめんね。ホントに傷つけるつもりはなかったんだ…。」
僕は彼のすぐ横に座り込んだ。
自動販売機で買ったばかりのカフェオレを彼に渡した。
彼はそれを3口程で飲み干した。
どれだけの時間、こうして二人で座り込んでいたんだろう。
お互いほとんど話しもせずに、ただひっそりと、暗さの増していく空を眺めながら。
そして、とうとう僕はきりだした。
「…長月君。おうち、帰らなくていいの?」
あの時のあの顔は、今でも忘れられない。
彼は、ふ、と寂しそうに笑ったのだ。
その垂れた眉に、細められた目尻に、ほのかに上がっただけの頰に、僕の中の何かが掻き立てられるのを感じた。
なんというか、寂しさというか、悲しさ、というか。
情、というか。
彼の持つ痛みに、少し触れたような気がした。
「俺、帰る家ないんすよ。ここで野宿です。」
そして、僕がこう答えるのに時間はかからなかった。
「なら、今晩だけでも僕の家…来る?」
長月君は目を見開いていた。
だって、どんな事情であれ、こんな寂しそうに笑う子をほっといて帰れるわけがない。
そして、長月君は赤い頰を隠して、だいぶとためらった後、小さく、本当に小さく、「お願いします。」と言ってくれた。
独り身なので、大きな家に住む理由もない。学校からそこまで遠くない、小さなアパートの一部屋でひっそりと暮らしてる。
「だから、そんなに綺麗でも大きくもない部屋だよ。期待しないでね。」
そう苦笑いしながら闇の中を歩き出した。長月君は、どことなく嬉しそうに見えて、僕はほっとした。
途中長月君が羨ましそうに屋台の唐揚げ屋さんを見てたので、買ってあげると顔をほころばせた。
犬みたいだなと思った。
尻尾や耳がぶんぶん振られているのが見えるようだ。
長月君が最後の唐揚げを食べ終わった頃、僕らはアパートについた。
なぜか立ち止まってる長月君の体を半ば強引に押しながら僕は部屋に滑り込み、
二人分のカップラーメンを棚から出した。
「遠慮なんていいから!入って入って~」
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