僕と先生は、終わった。

Mind

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第1章 同棲生活始まります!?

新たなる敵

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兄さんがいきなり大きな声をあげた。
さっき一つ前の通りの小屋のたい焼き屋と間違えられてたい焼きをせまられていて機嫌が悪かったのに、もうあんなに腹を抱えて笑っている。
俺は扉で何か言い合っている騒ぎを無視して、部屋の隅で座り込んだままだった。
「まあ、入ってけよ。昨日の敵は今日の友ってな。」
待てよ兄さん、誰を入れるつもりだ?
この兄はなかなか警戒心が足りないから、困る。
俺は嫌々ながらも立ち上がり、侵入者を追い出すべく兄の背を押しのけた。
しかし、でてけと言うはずの口は、動かなくなった。
「お、お前ら!」
まさか俺たちの隠れ家を暴き出してしまうとは。
こいつら只者じゃないな…。
それに、昨日のことで俺たちを警察に突き出したりしかねない。これは結構やばい状況に立たされているのでは、俺がそう思ってなんとか次の策を考えようとしているのに、兄さんは旧友にあったみたいに笑っている。
どこまで無神経なんだとこいつらが帰ったら一言言ってやる。
そんなことを考えてだまりこくっていると、 小さい方の男が、大きい方からぴょこんとのぞいて言った。
「あーあの、スイカのヒーローのストラップとか知らない?」
「…え?」
スイカの…ヒーロー?
「あっ!あれあんたのか!」
兄はゴソゴソとズボンのポケットをまさぐった。
待て、待てよ兄さん。そんなの渡したら、俺たちがこいつらを襲いましたって言ってるようなもんじゃないか?
なんでこいつのストラップを持ってたんだって裁判とかになった時に聞かれたらおしまいじゃないか?
「ま、待て!にいさ…」
俺は兄さんに囁いたが、その声は届かない。
そして、兄さんがはいと笑顔で小さい男に手渡そうとした…その時。
「はい、じゃないだろ。」
大きい方の男が兄さんの襟元をぐっと掴んだ。
鋭い眼光が、兄さんの瞳を貫いたのが見えた。
「昨日お前が先生にしようとしてたこと、忘れたのか?」
まあ、そりゃそうなるわな。
小さい男は、おろおろして青い顔をしていた。
「な、長月君…。気持ちは嬉しいけどもういいんだよ。結局なにもされなかったしさ!」
すると大きい男の空気が少しだけ緩まったが、まだまだ気が立っているのがわかった。
「…それは俺が助けれたからでしょう。
…まあいいですよ、この話は帰ったらたっぷりするとしましょう。」
後半の言葉がやけに艶っぽく耳に響いた。それと同時に、先生と呼ばれた男が小さく息を呑んだような気がした。

そこで俺はふと違和感を感じて、問わずにはいられなくなった。
「長月…とか言ったか?お前ら話からするに、一緒に住んでんの?マジ?」
これは、いい脅迫要素になるかも知れない。先生と生徒が同棲してるなんて、完全になにか面白いことがあるじゃな…
「なんかあんのか!あんたら!」
…ニーサン…。

兄さんのこりもせず長月にキラキラした目をよせる姿…もはや俺は尊敬した。
途端、長月の顔がバッと赤く染まった。
「べ、別に!なにも…」
ないと長月が言いかけてすぐ先生の方が
「ないよ~、あるわけないじゃない。事情があって少しだけ保護してるんだよ。」
と笑いながら言った。
保護て…。
長月は先生にバレないようにがっくりとうなだれた。
報われないな長月…。
俺は、椅子もソファも一つしかない狭い小屋の中だが、適当に座ってくれと言ってコーヒーか何かテキトーにみつくろい始めた。
決して仲良くしたかったわけではない。
ここで邪険に扱って、機嫌を損ねて警察に通報されても困る。まあ、軽く言えばご機嫌取りのようなものだ。
出せるものがないと気づいた時、兄さんが話し始めた。
「自己紹介してなかったよな。俺は夏樹で、あっちが弟の暁人(あきと)。え?苗字?んなもんねえよ、両親とかいたことねえし。」
その話はあまりしないで欲しいんだけどな。
向こうの自己紹介で、長月の名前が一馬、先生と呼ばれた男が中川裕太というのがわかった。
ほうじ茶しかみつからなかったので仕方なく湯を沸かして4つ分持って行った。
その時だった。
奴が、長月一馬が一番触れて欲しくないところに触れてきたのだ。

「そうだ、お前。中井となんかあるのか?」

「…誰だよ、それ。」

泥棒の神様、どうか、ばれませんように。
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