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第2章 Fall between two stools.1 1995年 崇直編 春
入り日良ければ明日天気2 Red sky at night saillor's delight.
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オレたちは一卵性双生児だった。
子供の頃は、同じ格好をしたらまず見分けは付かないくらい似ていたんだよな。
その気で誤魔化せば親でも騙せてた。
だから学校なんて、チョロかったよ。
だけど、紅緒だけは騙せなかったんだよな。
まぁ直樹が紅緒の事が大好きだったから、それもあって、紅緒はオレと直樹を区別できたのかもしれんが。
同じ顔で同じ遺伝子を持ちながら、オレと直樹は徹底的に違ってたから。
ここから13年前、1982年の夏
忘れもしない、あれは小学4年の夏休みだった。
あの日は夜になっても蒸し暑くて、なかなか寝付けなかったんだよな。
それでもようやくうとうとしかけた時。
2階の電話の音で起こされたんだ。
母さんが出て、そのまま階下に駆け下りる音がして。
続いて輝じいの声とバタバタとした足音が響き、しばらくしてすぐ隣の紅緒の家の方からまー爺の声が聞こえて来たんだ。
輝じいとまー爺の声。
慌ただしくドアの閉まる音がし、車のエンジン音が響いた。
なんとも言えない、ゾワゾワした気分になってすっかり頭が冴えてしまった。
家の婆ちゃんが亡くなった夜のことを思い出し、増々嫌な気分が強くなっていって。
それからどれくらい経ったのか、再び2階の電話が鳴ったんだ。
しばらくして両親の話し声が聞こえ、父さんが階下へ、そして母さんの足音が部屋に近づいてきた。
咄嗟に反対を向きオレは寝たフリをしたんだ。
ドアが開き、電気が点く。
さっきの騒ぎで目を覚ましていた直樹に、母さんが言った。
「直ちゃん、二人を起こして。着替えたら、車に乗って、今から病院へ行くから……」
母が部屋から出ていくと直樹が話しかけてきた。
「起きてんだろ。なんだかヤバそうだ。母さんの様子がおかしい」
オレが二段ベッドから降りると、直樹が樹を起こしている。
オレは自分の着替えと一緒に二人の分も適当に引っ張り出して放り投げた。
「ほらよ樹。ベーが大変らしい、急げ」
そういうと、樹も分かったと着替える程度には目を覚ました。
Tシャツと短パンに着替えて外に出たら、早く乗れと父さんに急かされた。
ドアを締めると直ぐにワゴンは走り出した。
夏休みに入ってすぐ、紅緒は父親の実家へ遊びに行っていた。
事故はその帰り道で起こったんだ。
道中、親父が簡単に事故の話をしてくれた。
信号待ちをしている紅緒たちの車に、居眠りのトラックが突っ込んできたと。
「ふーん。帰りはべーと後の席が良いなぁ」
親父のその話を事故で車が動かなくなったから迎えに行くと、樹は単純にそう思った様だった。
寝ぼけて都合のいい様に解釈したのか、おっとりとした性格だから、悪い事は考えられなかったのか。
それで、母さんを怒らせてしまったんだ。
「事故にあったって言ったでしょ。べーちゃん、今手術してるの! 危ないのよ!」
めったに声を荒げない母さんが大声で叫び、一瞬で車内の空気を凍りつかせた。
その時対向車のライトが振り向いた母の顔を照らし、泣いているのが分かったんだ。
その顔を見てようやく事の重大さが分かり、オレは心底ゾッとしたんだよ。
子供の頃は、同じ格好をしたらまず見分けは付かないくらい似ていたんだよな。
その気で誤魔化せば親でも騙せてた。
だから学校なんて、チョロかったよ。
だけど、紅緒だけは騙せなかったんだよな。
まぁ直樹が紅緒の事が大好きだったから、それもあって、紅緒はオレと直樹を区別できたのかもしれんが。
同じ顔で同じ遺伝子を持ちながら、オレと直樹は徹底的に違ってたから。
ここから13年前、1982年の夏
忘れもしない、あれは小学4年の夏休みだった。
あの日は夜になっても蒸し暑くて、なかなか寝付けなかったんだよな。
それでもようやくうとうとしかけた時。
2階の電話の音で起こされたんだ。
母さんが出て、そのまま階下に駆け下りる音がして。
続いて輝じいの声とバタバタとした足音が響き、しばらくしてすぐ隣の紅緒の家の方からまー爺の声が聞こえて来たんだ。
輝じいとまー爺の声。
慌ただしくドアの閉まる音がし、車のエンジン音が響いた。
なんとも言えない、ゾワゾワした気分になってすっかり頭が冴えてしまった。
家の婆ちゃんが亡くなった夜のことを思い出し、増々嫌な気分が強くなっていって。
それからどれくらい経ったのか、再び2階の電話が鳴ったんだ。
しばらくして両親の話し声が聞こえ、父さんが階下へ、そして母さんの足音が部屋に近づいてきた。
咄嗟に反対を向きオレは寝たフリをしたんだ。
ドアが開き、電気が点く。
さっきの騒ぎで目を覚ましていた直樹に、母さんが言った。
「直ちゃん、二人を起こして。着替えたら、車に乗って、今から病院へ行くから……」
母が部屋から出ていくと直樹が話しかけてきた。
「起きてんだろ。なんだかヤバそうだ。母さんの様子がおかしい」
オレが二段ベッドから降りると、直樹が樹を起こしている。
オレは自分の着替えと一緒に二人の分も適当に引っ張り出して放り投げた。
「ほらよ樹。ベーが大変らしい、急げ」
そういうと、樹も分かったと着替える程度には目を覚ました。
Tシャツと短パンに着替えて外に出たら、早く乗れと父さんに急かされた。
ドアを締めると直ぐにワゴンは走り出した。
夏休みに入ってすぐ、紅緒は父親の実家へ遊びに行っていた。
事故はその帰り道で起こったんだ。
道中、親父が簡単に事故の話をしてくれた。
信号待ちをしている紅緒たちの車に、居眠りのトラックが突っ込んできたと。
「ふーん。帰りはべーと後の席が良いなぁ」
親父のその話を事故で車が動かなくなったから迎えに行くと、樹は単純にそう思った様だった。
寝ぼけて都合のいい様に解釈したのか、おっとりとした性格だから、悪い事は考えられなかったのか。
それで、母さんを怒らせてしまったんだ。
「事故にあったって言ったでしょ。べーちゃん、今手術してるの! 危ないのよ!」
めったに声を荒げない母さんが大声で叫び、一瞬で車内の空気を凍りつかせた。
その時対向車のライトが振り向いた母の顔を照らし、泣いているのが分かったんだ。
その顔を見てようやく事の重大さが分かり、オレは心底ゾッとしたんだよ。
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