68 / 75
第5章 Grasp all , Lose all.3 1995年 亘編 夏2
落花流水の情2 The love that flows with the current.
しおりを挟む
ああ、日が沈んでいくなぁ。
なんか淋しくなって、隣の崇直と肩を組む。
今度は崇直も僕の腰に腕を回し、寄り添ってくれた。
「あそこ、小さな星見える?」
顔を寄せて、崇直の視線を誘導する。
「うん」
「あれ、見えるか?」
崇直は覚えてるかな、屋上で一緒に星見たこと。
アークトゥルスを指してみた。
「ああ、あのオレンジ色の」
「そうそう」
覚えてた!
「牛飼い座のアルファ星アークトゥルスで」
それからな、この星も覚えてるかな。
「あの星」
頬を寄せて、視線を合わせて星を指さす。
「スピカ……」
「おとめ座のね」
やっぱり。
「覚えてたんだ」
やっぱり、お前が友達で良かったよ。
嬉しくて、崇直の肩に頭を押し付けてしまった。
「崇直が居てくれてよかった」
「ああ」
崇直の手が一瞬、強く僕の腰を掴んだ気がした。
「僕、やっぱり紅緒を諦めたくない」
「知ってたよ」
バレてたか、そうだよな。
「うん。だと思った」
崇直は何でもお見通しだ……
「辛いなぁ」
あーあ。マジ、辛ぇ。すぐそこに居るんだよ。
何話してんだか、笑い声だけ聞こえるよ。
そう思って崇直を見たら、なんでそんな顔なんだよ。
「何? 怒ったような顔すんなよ」
「うるさい、アホのくせに」
「またアホって言った! たまには、優しくしてくれよ」
何で、いつもそうなんだよ。
あームカつく!
肩でどついたら、どつき返された。
「知るか、この野郎っ」
くそう、崇直の奴両手をぽっけに突っ込んだ状態で、どついて来やがった。
「転んだって知らねーからな」
「アホ亘と違って転びませーん、だ」
お返ししようとしたら、避けられた。
僕に向かって舌を出し、走っていく。
その先に、もう駅が見えていた。
駅で切符を買っていたら、崇直と田中が同じリクルートスーツを着た、多分同じ司法修習生と思われる集団と何か話をしている。
先に行け、と言うように崇直が僕に手で合図を送ってきた。
紅緒と二人、改札を抜けその先で待っていたら、その集団に交じって崇直たちがやってきた。
田中がこっちに走ってくる。
「ごめんね。同じ班の人間なんだ。来週から本庁へ出頭でさ。挨拶だけだからちょっと待ってて」
そう言って、また戻っていく。
「崇ちゃんたち、大変そうだね」
「本庁って、何だ?」
「さあ……」
紅緒も頭を捻る。
ごめんごめんと、田中が謝りながらまたやってきた。
「崇直はまだ離してもらえそうにないから、先に行こうか」
何してんだろう? と見たら、紙に何か書いて渡していた。
地下のホームに降り、電車を待っていたらうんざりした顔で崇直がやってきた。
「連絡網って、必要なのか?」
「まーね。お前連絡先誰とも交換してないから」
うわー、崇直君ってばそりゃまずいでしょ。同じ班なんだから。
「なんだよ、ちゃんと交換してきたよ。だったら文句ないだろ」
「偉い、偉い」
紅緒が背伸びして、崇直の頭に手を伸ばす。
「だろ?」
そう言って崇直が頭を下げ撫でてもらい、嬉しそうに笑った。
「なんだよ、それ」
田中がそれを見て、大げさにふてくされる。
「わかったよ。ほら、お前はもっと偉いぞ」
とおざなりに、崇直が田中の頭を撫でる。
「いらねーよ、おまえのなんか」
あはは。仲いいよなぁ。その中に僕は入ってるのかな。
「わーちゃん、電車来たよ」
紅緒が、そう言って僕の腕を取った。
「座れそうにないね」
そのまま、僕を引っ張って電車に乗り込む。
それから、ぞろぞろと人が乗ってきて僕らは追いやられ、崇直たちとは少し離れてしまった。
なんか淋しくなって、隣の崇直と肩を組む。
今度は崇直も僕の腰に腕を回し、寄り添ってくれた。
「あそこ、小さな星見える?」
顔を寄せて、崇直の視線を誘導する。
「うん」
「あれ、見えるか?」
崇直は覚えてるかな、屋上で一緒に星見たこと。
アークトゥルスを指してみた。
「ああ、あのオレンジ色の」
「そうそう」
覚えてた!
「牛飼い座のアルファ星アークトゥルスで」
それからな、この星も覚えてるかな。
「あの星」
頬を寄せて、視線を合わせて星を指さす。
「スピカ……」
「おとめ座のね」
やっぱり。
「覚えてたんだ」
やっぱり、お前が友達で良かったよ。
嬉しくて、崇直の肩に頭を押し付けてしまった。
「崇直が居てくれてよかった」
「ああ」
崇直の手が一瞬、強く僕の腰を掴んだ気がした。
「僕、やっぱり紅緒を諦めたくない」
「知ってたよ」
バレてたか、そうだよな。
「うん。だと思った」
崇直は何でもお見通しだ……
「辛いなぁ」
あーあ。マジ、辛ぇ。すぐそこに居るんだよ。
何話してんだか、笑い声だけ聞こえるよ。
そう思って崇直を見たら、なんでそんな顔なんだよ。
「何? 怒ったような顔すんなよ」
「うるさい、アホのくせに」
「またアホって言った! たまには、優しくしてくれよ」
何で、いつもそうなんだよ。
あームカつく!
肩でどついたら、どつき返された。
「知るか、この野郎っ」
くそう、崇直の奴両手をぽっけに突っ込んだ状態で、どついて来やがった。
「転んだって知らねーからな」
「アホ亘と違って転びませーん、だ」
お返ししようとしたら、避けられた。
僕に向かって舌を出し、走っていく。
その先に、もう駅が見えていた。
駅で切符を買っていたら、崇直と田中が同じリクルートスーツを着た、多分同じ司法修習生と思われる集団と何か話をしている。
先に行け、と言うように崇直が僕に手で合図を送ってきた。
紅緒と二人、改札を抜けその先で待っていたら、その集団に交じって崇直たちがやってきた。
田中がこっちに走ってくる。
「ごめんね。同じ班の人間なんだ。来週から本庁へ出頭でさ。挨拶だけだからちょっと待ってて」
そう言って、また戻っていく。
「崇ちゃんたち、大変そうだね」
「本庁って、何だ?」
「さあ……」
紅緒も頭を捻る。
ごめんごめんと、田中が謝りながらまたやってきた。
「崇直はまだ離してもらえそうにないから、先に行こうか」
何してんだろう? と見たら、紙に何か書いて渡していた。
地下のホームに降り、電車を待っていたらうんざりした顔で崇直がやってきた。
「連絡網って、必要なのか?」
「まーね。お前連絡先誰とも交換してないから」
うわー、崇直君ってばそりゃまずいでしょ。同じ班なんだから。
「なんだよ、ちゃんと交換してきたよ。だったら文句ないだろ」
「偉い、偉い」
紅緒が背伸びして、崇直の頭に手を伸ばす。
「だろ?」
そう言って崇直が頭を下げ撫でてもらい、嬉しそうに笑った。
「なんだよ、それ」
田中がそれを見て、大げさにふてくされる。
「わかったよ。ほら、お前はもっと偉いぞ」
とおざなりに、崇直が田中の頭を撫でる。
「いらねーよ、おまえのなんか」
あはは。仲いいよなぁ。その中に僕は入ってるのかな。
「わーちゃん、電車来たよ」
紅緒が、そう言って僕の腕を取った。
「座れそうにないね」
そのまま、僕を引っ張って電車に乗り込む。
それから、ぞろぞろと人が乗ってきて僕らは追いやられ、崇直たちとは少し離れてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる