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第2章 Fall between two stools.1 1995年 崇直編 春
落花情あれども流水意なし2 The love to no avail.
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「ちょっと失礼」
PHSを取り出し、受信のボタンを押す。
「もしもし、……」
「あ! 崇ちゃん」
まー爺だ。
オレは内心小躍りしながら徒手空拳で拳を握り、壁と人の間を抜けパーティションの外に出た。
予想外のまー爺からの電話。
大喜びで出たが、電波の調子が悪いなぁここ。
まぁ、PHSだからしょうがないっちゃしょうがないか。
それにしても騒がしすぎる。
「ゴメンまー爺、外に出るからちょっと待って」
話しながら店の外に出る。
「まー爺?」
「崇ちゃん食事中だった? ゴメンよ。今夜こっちに帰ってくるんだよね」
「うん。ここが終わったら帰るよ」
「良かった。今大丈夫かい?」
「研修仲間と呑んでるだけだから、全然大丈夫。何?」
急用かな。急用じゃなくても急用にするから、何でも言ってくれ。
玄関の電気でも切れたか? 卵買って帰ろうか?
「それがさぁ」
どんなくだらない話でもいいぞまー爺、さあこい。
「亘くんがうちの店に来てね」
なっにーーっ。亘が店に? 何で、まさか紅緒に会いにか。
いや、それは考えられん。
亘が何かやらかしたのか。
「それで紅緒ちゃんが喜んじゃって、亘くんに飛びついたらそのままひっくり返って寝ちゃったんだよ。全く起きなくて」
まー爺それ、間違いなく亘のやつ潰れてる。
頭がショートしたんだ。
あー、オレが出るまでもなく自滅しやがったか。
約束忘れてバチが当たったんだな。
ははっ、ざまーみろだ。
「アイツ酒で寝たらまず起きないから、今から行くよ。そうだな、1時間もかからないと思う」
「崇ちゃん、助かるぅ。樹じゃあのでかいのは運べんからなぁ」
こっちこそ、まー爺サンキュウ。地獄に仏、まー爺様様だ。
これで抜け出せる♫~
思わず鼻歌がでちゃうね。
酒なんか飲まなくたって、あそこに何ヶ月も缶詰されてりゃいやでも仲良くなるだろうに。
グループ研究だって、何日も膝突き合わせてんだ、すっかり気心は知れてると思うんだが。
あれじゃ足りないのか。ただ騒ぎたいのか。
まぁ、オレは免罪符もらったからね。
スキップしたい気分を抑えて、残念そうな顔を作り呑み会へ戻った。
幹事の田中に適当にでまかせを言い、途中抜けに成功だ。
「申し訳ない。急用で都内まで行かなきゃいけない」
隣の子にそう言うと、腕を掴まれた。今、急用だって言ったよね。
日本語、通じてますか?
「えーっ、笠神くん帰っちゃうの」
「うそっ。笠神くんが来るって言うから……」
左隣からも、腕を掴まれる。
貴方誰ですか。
「実家に帰るんですかぁ。私も今日は家に帰るんですよ。途中までご一緒……」
絶対に嫌です。知らない人について行きません。
「帰っちゃうの? せっかく……」
「失礼、急ぐので」
気安く触んな。勝手に腕組むな。
やんわり腕を解く。
何と陰口叩かれようが君たちとつるむ気は全く無いんだ、いい加減気づけ。
会費を田中に渡し、残りの時間を楽しんでくれと取りあえずの頭を下げ、笑顔と愛嬌を振りまいて外に出た。
はーーーっ。
いやー、店の外の空気がこんなに美味いとは。
オレは群れるのが、やっぱり苦手だ。
そんじゃ、気ぃ入れ替えて亘を救いにでも行きますか。
PHSを取り出し、受信のボタンを押す。
「もしもし、……」
「あ! 崇ちゃん」
まー爺だ。
オレは内心小躍りしながら徒手空拳で拳を握り、壁と人の間を抜けパーティションの外に出た。
予想外のまー爺からの電話。
大喜びで出たが、電波の調子が悪いなぁここ。
まぁ、PHSだからしょうがないっちゃしょうがないか。
それにしても騒がしすぎる。
「ゴメンまー爺、外に出るからちょっと待って」
話しながら店の外に出る。
「まー爺?」
「崇ちゃん食事中だった? ゴメンよ。今夜こっちに帰ってくるんだよね」
「うん。ここが終わったら帰るよ」
「良かった。今大丈夫かい?」
「研修仲間と呑んでるだけだから、全然大丈夫。何?」
急用かな。急用じゃなくても急用にするから、何でも言ってくれ。
玄関の電気でも切れたか? 卵買って帰ろうか?
「それがさぁ」
どんなくだらない話でもいいぞまー爺、さあこい。
「亘くんがうちの店に来てね」
なっにーーっ。亘が店に? 何で、まさか紅緒に会いにか。
いや、それは考えられん。
亘が何かやらかしたのか。
「それで紅緒ちゃんが喜んじゃって、亘くんに飛びついたらそのままひっくり返って寝ちゃったんだよ。全く起きなくて」
まー爺それ、間違いなく亘のやつ潰れてる。
頭がショートしたんだ。
あー、オレが出るまでもなく自滅しやがったか。
約束忘れてバチが当たったんだな。
ははっ、ざまーみろだ。
「アイツ酒で寝たらまず起きないから、今から行くよ。そうだな、1時間もかからないと思う」
「崇ちゃん、助かるぅ。樹じゃあのでかいのは運べんからなぁ」
こっちこそ、まー爺サンキュウ。地獄に仏、まー爺様様だ。
これで抜け出せる♫~
思わず鼻歌がでちゃうね。
酒なんか飲まなくたって、あそこに何ヶ月も缶詰されてりゃいやでも仲良くなるだろうに。
グループ研究だって、何日も膝突き合わせてんだ、すっかり気心は知れてると思うんだが。
あれじゃ足りないのか。ただ騒ぎたいのか。
まぁ、オレは免罪符もらったからね。
スキップしたい気分を抑えて、残念そうな顔を作り呑み会へ戻った。
幹事の田中に適当にでまかせを言い、途中抜けに成功だ。
「申し訳ない。急用で都内まで行かなきゃいけない」
隣の子にそう言うと、腕を掴まれた。今、急用だって言ったよね。
日本語、通じてますか?
「えーっ、笠神くん帰っちゃうの」
「うそっ。笠神くんが来るって言うから……」
左隣からも、腕を掴まれる。
貴方誰ですか。
「実家に帰るんですかぁ。私も今日は家に帰るんですよ。途中までご一緒……」
絶対に嫌です。知らない人について行きません。
「帰っちゃうの? せっかく……」
「失礼、急ぐので」
気安く触んな。勝手に腕組むな。
やんわり腕を解く。
何と陰口叩かれようが君たちとつるむ気は全く無いんだ、いい加減気づけ。
会費を田中に渡し、残りの時間を楽しんでくれと取りあえずの頭を下げ、笑顔と愛嬌を振りまいて外に出た。
はーーーっ。
いやー、店の外の空気がこんなに美味いとは。
オレは群れるのが、やっぱり苦手だ。
そんじゃ、気ぃ入れ替えて亘を救いにでも行きますか。
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