25光年の侵略愛娘

楠本恵士

文字の大きさ
14 / 26

第十四話・お父さん……あたし、魔人さんから告白されちゃった

しおりを挟む
 オレが月影さんが運転するジープで第三の怪獣ミサイルが撃ち込まれた街に到着すると、広い公園の芝生の上に前の二発より、小型のミサイルが撃ち込まれていた。

 ミサイルの近くでは、家族連れがハイキングを楽しんでいた。
「緊張感ないな」
「みんな怪獣には慣れちゃったからね」
 怪獣ミサイルが左右に割れて中から、ピンク色をしたモフモフの中型怪獣が現れた。
 点目のモフモフ怪獣は、公園内をピョンピョンと飛び跳ねる。
 オレは少しほっこりした。

「あんな可愛らしい怪獣なら、退治しなくて放っておいても」
 オレがそう思った時──全長25メートルほどのピンク色をしたモフモフ怪獣は、愛らしい腕で建物の破壊をはじめた。
 一瞬にして公園は地獄絵図に変わる、逃げ惑う人々。
「見た目は可愛らしくても、怪獣は怪獣……即席命名、珍獣『モフリン』」
 オレは変身した。
 オレが巨大ヒーローになったのを見た珍獣『モフリン』は、細かいモフリンに分離して、オレの体にまとわりついてきた。
「うわぁぁぁ、やめろモフリン……くすぐったい、あはははっ」
 モフリンは、瞬時にオレの弱点を見抜いて、じゃれながらくすぐってきた。
「あははははっ、わかったモフリン、負けを認めるからもうやめてくれ、あははははっ」
 オレは、珍獣に敗北した。

  ◆◆◆◆◆◆

 等身サイズに分離した、無害なモフリンたちを公園に残してオレと月影さんはマヤのところにジープでもどった。
 マヤの姿は干上がった川原の、どこにも無かった。
「マヤ、どこに行ったんだ? ここで待っていると言っていたのに? 先に瞬間移動で帰ったのかな?」

 オレが首をかしげていると、川原に這いつくばった月影さんが、鼻をクンクンさせて匂いを嗅ぎはじめるのをオレは見た。
 月影さんが言った。
「こっちだ……こっちにマヤさまはいる」
 月影さん、あなたは猟犬か?

 月影さんの後をついていくと、山の中にある洞窟のような場所に到着した。
「なんか、特撮番組の撮影で使いそうな洞窟だな」
 奥へと進んでいくと、ほのかな明かりが見えてマヤの声が聞こえてきた。
「魔人さんは、地球侵略しないの? お父さんがノートに描いた魔人だよね」
「オレの目的は、人々に恐怖を与えて……その恐怖のエネルギーを電脳魔王さまに捧げるコトなんだ、悪いけれど地球侵略には興味は無いんだ……ごめんね」
 マヤは誰かと会話をしていた。
『電脳魔王』というフレーズに、オレは心当たりがあった。
(マヤを連れ去ったのはアイツか……月影さんにアイツの姿を見てもビビらないように先に伝えないと)

 オレが月影さんに伝える前に、魔人が岩壁の陰から顔を覗かせた。
「やっぱり、来ましたね……創造主さま、はじめまして眼球魔人の『ヒャクメダマン』です」

 眼球魔人『ヒャクメダマン』赤い長い体毛の中に、視神経と眼球が吊り下がっているような不気味な姿の魔人──『ヒャクメダマン』その目から発する光線で、人をショック状態で気絶させて、スカートの中を盗撮する悪さを働く。

 ヒャクメダマンは、オレと放心状態の白目月影さんを、洞窟奥に作られた個室に案内した。
 個室ではマヤが、お茶を飲んでいた。

 椅子に座ったオレに、熱いお茶を差し出してヒャクメダマンが言った。
「突然ですが、マヤさんが気に入りました……マヤさんと、おつき合いさせてください……お父さん」
 熱いお茶を足にこぼして火傷したオレは、即答でヒャクメダマンに言った。
「ダメだ娘との交際は認めん! あちぃぃ」
 オレの言葉を聞いたマヤがタメ息を漏らす声が聞こえた。
「だから、言ったでしょう……お父さん、魔人と娘の交際は反対するって」
 ヒャクメダマンが長毛の中にある、大小の眼球を動かしてオレに真剣な声で言った。
「では、お父さんを倒せたら交際を認めてくれますか?」
 オレが答える前にマヤが返答する。
「いいよ、お父さんを倒せたら……あたしと、交際しても」
「どうして、マヤが返答する……どうして、そうなる」

  ◇◇◇◇◇◇

 オレと魔人ヒャクメダマンが闘う場所は、ヒャクメダマンの希望で廃工場の中になった。
 ヒャクメダマンが、広い工場を見回して呟いた。
「憧れていたんですよ……こういう場所で闘うコトを、変身してください……こちらは戦闘員出しますから」
「戦闘員?」
 ヒャクメダマンが、廃工場の地面に眼球をばら撒くと芽が出て、頭部が眼球の戦闘員になった。

 放心状態が続いていて、白目の月影さんが小声で「キモっ」と、いう声が聞こえた。
 オレは等身ヒーローに変身する。
「変身!」
 変身したオレと、ヒャクメダマンの闘いがはじまった。
 軽く眼球戦闘員ザコを倒す。
「やりますね、ではこれならどうですか」
 眼球魔人特有の眼球を飛ばしてくる攻撃を避けつつ、接近したオレはヒャクメダマンをパンチで殴る。
「お父さん25トンパンチ!」
 スカッ……オレのパンチは、ヒャクメダマンの体を貫通する。
(しまった、ヒャクメダマンは長毛の中に視神経と眼球があるだけの、中身スカスカの魔人だった)

 ヒャクメダマンは、本体の眼球を攻撃しないと、意味が無いコトをオレは思い出した。
 オレの体に赤い長毛を巻きつかせて言った。
「お父さんの攻撃は、そんなものですか……では、こちらから攻撃します」
 長毛でオレの体は何度も、地面に叩きつけられる。
「ぐわぁぁ」
「負けを認めてください……オレとマヤさんの交際を認めてください、認めてくれないと眼球パンチします」
「わ、わかった認める! マヤとの交際を認めるから、やめてくれぇ」
 オレは敗北を認めた。         

  ◆◆◆◆◆◆

 オレの家に、ヒャクメダマンが出入りするようになった。
「お父さん、今日は近所の和菓子屋で、クリあんが25グラム増量した、ドラ焼きを買ってきました食べてください」
 ヒャクメダマンは、意外と律儀りちぎな魔人だった。

 さらに、我が家にペットの家族が増えた。
「モフリン、ご飯よ」
 子犬くらいの大きさで、ピンク色のモフモフした珍獣モフリンが、オレの家の庭に迷い込んできて。
 母さんが気に入ってしまって、飼うコトになった。
「モフリンは、食費ががかからなくていいわ……生ゴミを食べてくれるんだから」
 モフリンは、家庭から出た残飯を食べる、生ゴミも食べる──さらには、ゴキブリも捕獲して食べてくれる。
 そんなモノを食べていても、モフリンは無臭なのが、母さんが気に入った要因だった。

 オレは段々と賑やかになっていく家に、少しほっこりした気分になっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

処理中です...