25光年の侵略愛娘

楠本恵士

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第十六話・お父さん大変!電脳二・五次元アニメ怪獣少女『ウチキリ』登場だよ!黒いマイクロビキニだよ!

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 オレの部屋で、オレが描いた絵にペン入れをしていたヒャクメダマンがペン入れをした絵を見せて聞いてきた。
「お父さん、こんな感じでどうでしょうか?」
「いいんじゃないか……巨大ロボット群もだいぶ描けたな、人型とか異形型とか怪獣型のロボットとか」
「お父さんの発想はスゴいですね……尊敬します」
「そんなコトは……あるさ」

 テンションが上がったオレは、二十七体目の巨大ロボットを描きながら、ヒャクメダマンに質問してみた。
「ところで、ヒャクメダマンにはショック光線で気絶させた女性のスカートの中を盗撮するって設定あったはずだけれど……アレ、どうなったんだ?」
「その設定は、双子の兄の設定です」
「そうか」
 オレはそれ以上は聞かなかった。

  ◇◇◇◇◇◇

 オレが怪獣の絵を描いていると、いつものように勝手に家に入ってきた月影さんが、ノックも無しに部屋のドアを開けた。
「サルいるぅ、来る途中で変なのに会って、創造主の家を聞かれたから連れてきた」
「変なの?」
「入って、狭くて汚い部屋だけれど」
 余計なお世話だ。

 月影さんの後方から、黒いマイクロビキニ姿で額に一本角を生やした、気弱そうな少女が部屋に入ってきた。
 オレはその少女を見た途端に、腰を抜かした。
 その少女はアニメ顔をしていた……と、言うよりも完全なアニメだった。
 横を向いた少女には、紙のように厚みが無かった。
 爬虫類のウロコのようなニーソックスを穿いていて、怪獣の尻尾を生やしている。
(オレ、こんなの描いたっけ?)

 怪獣少女が、ペコリと頭を下げてオレに自己紹介をした。
「はじめまして創造主さま……あたし、電脳2・5次元アニメ怪獣少女『ウチキリ』です……想像していたよりも創造主さまって地味ですね」
「ウチキリ? そんな怪獣……オレは、ハッ⁉」
 気づいたオレは、ヒャクメダマンを見た。
 ヒャクメダマンの眼球がオレから視線をそらす。
(そうか、ヒャクメダマンが趣味で勝手に描いてマヤに渡したのか……生まれてしまったからには仕方がない、2・5次元でも命は命だ)

 オレは黒いマイクロビキニ姿で座る、ウチキリに聞いてみた。
「で、オレに何か用かな?」
「実はあたし、打ち切りになりそうなんです……せめて25話の放送クールまでは、あたし存在したんです」
「なに、言っているんだ?」
「あたしのグッズがアニメショップで販売されたり、コンビニのクジにあたしの景品が登場するまで、あたし諦めたくないんです」 
 言っている意味は不明だったが、ウチキリが真剣なのはオレにも伝わってきた。

 どうしたらいいのか考えていると、いつものようにマヤ・マンコが瞬間移動でオレの前に現れた。
「お父さん、変身だ! 拳で語って! ウチキリの実力を見れば番組延長になるかも知れないから、マンコぅ」
「おまえ、そればかりだな」

  ◇◇◇◇◇◇

 家の中で巨大ヒーローに変身すると、家が崩壊するので……マヤの力で樹海に移動した。
 少し遠方に、山頂に雪をかぶった名所の例の山が見える。
 オレはマヤに聞いてみた。
「なんで樹海に?」
「だってココは、怪獣大進撃の聖地だよ……バトルするならココか、都庁が一番目立つから」
 電脳2・5次元アニメ怪獣少女が、腕を胸の前で交差させて言った。
「それでは、巨大化します」

 ウチキリが巨大怪獣少女に変わる。
 オレも巨大ヒーローに変身する。
 ウチキリの先制攻撃、お尻を振った強力な尻尾攻撃がオレの体を吹っ飛ばす。
 樹木を倒して転がるオレ……樹海の中で行方不明になった人間の白骨が、空中に飛び散る。
 さらにウチキリは、口から吐く熱線をオレに浴びせた。
「うわぁぁぁ、強い」

 立ち上がったオレが放った渾身の光線技は、ウチキリが片目で吸収して、反対側の目から威力を倍増して撃ち返してきた。
「そんなのありか? 脳ミソどうなっているんだ?」
「それは、乙女の秘密です」
 とにかく、怪獣少女ウチキリは強かった。
 さらにはウチキリは、バリアーまで持っていた。
(ヒャクメダマン……いくらなんでも、気持ち入れ過ぎだよ……強すぎるぞ、この怪獣少女)

 闘いは決着がつかず、25分前にオレの方から降参した。
 地面に座り込んだウチキリが、スッキリした顔で微笑む。
「思いっきり闘ったら、3クールくらいいけそうな気がします……ありがとうございました」
「おお、頑張れよ」

 変身を解いたオレは、いったい誰が打ち切りの決定をしているのか。
 そもそも怪獣少女のアニメがどこで放送されているのかも知らないまま、股を開いて座り込んだ、電脳2・5次元アニメ怪獣少女ウチキリの黒いマイクロビキニの股間を眺めた。

 その時──オレは樹海の中に立っている、母さんの姿を視界の隅に見たような気がした。
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