プラヴィテル・ヴレーメニ〜異世界召喚された俺は時を支配して神を超える〜

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第一章一部〜異世界へ〜

第四話 チュートリアル

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 翌朝。

 俺達は使用人が届けてくれた朝食を食べ、身支度を済ませると、昨夜案内された第二訓練場へ集まった。

「よぉぅ、神谷。無能のくせによくこんな所まで来れたなぁ?」

 俺が一人でいると、上島がゲラゲラと俺に皮肉を言いながらやってくる。

 コイツは本当に俺が嫌いなのか、それとも構って欲しいのかよくわからないレベルで絡んでくるな

「たっちゃん、そんな奴ほっといて行こうぜ」

「そうだよ。無能に関わってるとロクなことなくなるぜ」

「はっ、それそうだな」

 上島一行の一連の流れを一切表情を変えずに見た俺はその記憶を焼却炉に持っていくことにした。

「神谷君、すみません。昨晩、みんなにも伝えたんですが彼のようにバカにしてくる人もいるかもしれないので心構えはしておいてください」

 そう言って委員長は頭を下げる。

「いや、大丈夫だよ。元々クラスの連中によく思われていない俺が悪いんだから委員長が気に病むようなことじゃないよ」

「はい。そう言っていただけるとありがたいです。それと昨日、王国側と話し合ったのですが、神谷君は一応訓練に参加する方向になりました。なので頑張ってください。それから神谷君のステータスに関してなどは現在調査中だそうです。それでは」

 連絡事項を伝えると委員長は別のグループへと向かう。

 やっぱりそうなるか。いやね、なんとなく昨日感じから俺も一緒に参加させられるんじゃないかな?とは思ったよ

 まぁでも努力すればある時覚醒するかもしれないし、一応頑張るけど……浮くだろうなぁ

 ガチャンガチャン

「?」

 奥の方から鳴り出した鎧の当たる音にクラスの全員が注目する。

 出てきたのは如何にも騎士という者達だった。
 その中でも一番オーラを放つ美しい女性が前に立つ。

「初めまして。私は王国騎士団団長のメリア・リーズベルトだ。これから君達には厳しい訓練が待っているが頑張ってほしい」

 メリアが挨拶を終えると、他の騎士がその場を仕切り始める。

「皆さん、今から十人一組のグループに分かれて下さい」

 そうして俺達は指示通りに班別になった。

 俺も一応その班の一員として参加する。

 俺の班には委員長、小鳥遊、武田、藤堂、伊藤、鈴木、佐藤、上島、雨宮、先生だった。
 そしてプラスアルファの俺である。

 俺は完全におまけだった。

 というか凄いメンバーだな
 そのうち俺、殺されるんじゃないか?

 因みに伊藤、佐藤、鈴木は上島と同じグループに属するイキり野郎だ。

 そして小鳥遊、武田、藤堂も仲のいいグループで、改めて見るとどういう風に組まれたのかよく分かるメンバーだった。

 それから俺達は組ごとで訓練を開始することになった。

 なんでも俺以外の奴らのステータスにはジョブというものが存在するらしく、最初はそのジョブに合わせた個人訓練だった。

 そして俺だが、俺にはジョブという概念が存在してないので仕方なく周りを何周か走ることにしていた。

 走り出しは浮いていたけど、みんな自分の訓練に夢中なのか次第に俺に気をひく者はほとんどいなくなっていった。

 そうして俺は疲れて端の方で座ることにした。

 まぁ仕方ない。俺の身体は元の世界と同じで帰宅部の授業以外運動してないヒョロヒョロの体のままなんだから

 そういうわけで、とりあえず自分の組の人達の訓練を見学させてもらう。

 上島一行は佐藤以外近接戦闘型なのか剣や斧などを持ち、構え方や攻撃の基本などを教わっている。

 しかし、成りヤンの彼らはその訓練に納得がいっていなのだろう。
 先程から模擬戦がしたいと騎士達と揉めている。

 すると騎士達も実力差を分からせたいのだろう。渋々承諾して3対3の模擬戦が始まった。

 先鋒は槍同士の対決で鈴木が前に出た。

 結果は一撃で気絶させられて騎士側の勝利。続く二戦目は斧を持った伊藤が入ってきたがこれも一発KOで騎士の勝利。

 今の槍すら使ってなかったぞ

 最後は当然上島が出てきた。
 上島の表情には焦り、そして怒りのような感情が見られる。

 そうして上島の試合も始まった。

 大剣を上島だが、その重量感に慣れていないせいでうまく振れていない。
 しかし、騎士の方はどうにも攻めあぐねているようでなかなか決着がつかなかった。

 素人の俺でも上島が押されているのがわかる
 けど、なんだ?この違和感は………

 その時、騎士が一瞬あけた隙を狙うかのように上島が大剣を放つ。

「くっ!」

 その一撃に騎士はよろめく。
 これが上島の初めて通った攻撃だった。

 しかし、結果は上島の負けになったがどうやらセンスはあるらしい。
 この世界にいる以上力を持つものが生き残れるだろうからああいう才能には少し嫉妬してまう。

 それから俺は魔法組の方を見る。
 この世界には魔法が存在していて、体内にある魔力を通して扱うらしい。

 まぁ多分俺には魔力すら通ってないんだろうけど

 魔法組には小鳥遊、委員長、先生、藤堂の四人が参加していた。

 今、彼女達が行なっているのは魔力操作の訓練らしい。
 なんでも体内の魔力を感じ取って、その流れをコントロールするという側から見ると地味な画だった。

 それぞれ目をつむり、集中し始める。
 すると委員長だけ、身体が突然淡く光り始めた。
 これが魔力らしい。

 どうやらあの四人の中で一番センスがあったのは委員長だったようだ。

 せっかく異世界にいるんだから俺も魔法とか使ってみてぇなぁ

 そして俺は次の所に目を移す。
 そこは大きめの盾を構えた佐藤と、刀を構えて素振りをする武田がいた。

 なるほどあのパッとしない佐藤はタンクか……これからは活躍されて目立ちそうだな
 それからあのギャル(仮)は侍か?
 っていうか刀もあったんだな

 こちらも特に面白いことをしている様子に は無いので眺める程度に見ていた。

 あれ?アイツはどこだ?

 アイツとはルームメイトの雨宮だ。

 なんだよ、なんか偉そうに言ってやがったからどれほどのものか見てやろうと思ったのに

 しかし、結局このあと、訓練終了間近まで戻ってくることはなかった。

 そして一日目の訓練が終了して俺は部屋のベッドに寝転んでいた。
 現在部屋には俺しかいなかった。

「はあ、これから俺はあの中でやってけるのかねぇ?」

 空間に独りでいることに慣れてはいるものの、お荷物の自分があそこにいることには心苦しさがあった。

 街でも行けないか聞いてみようかな

 俺は一人そんな事を考え、寝ることにした。
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