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第22話 ざくろ、自我を取り戻す!(明未の視点)
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2029/11/2(金)
君が代独唱から1週間以上が経過し、学校から帰って来たわたし達は来年元旦にリリースする新曲をどんなテーマにするか未だ決まらず、パパや蘭お姉ちゃんと一緒に悩んでいた…。
「はあー、次の新曲の為の歌詞が中々出て来ないよ~…。」
「ボクもっす…。」
「俺もだ、この間の2ndアルバムで全部出し尽くしてしまったからなあ~…。」
「そんな君らに、あーしから提案がありま~す♪」
ママが満面の笑みを浮かべながら、そう言い出した。
「題して、ざくっち救出大作戦~!」
ママが今回も又、よく解らない事を言い出したので「どういう事?」と聞くと。
「ざくっち、瑠実っち暴露記者会見の直後から、化粧品やブランド物とかのCMのオファーが来始めて、デジタトゥに勝ってから益々それ系のCMに引っ張りダコなんだって」
「そうだった。俺もあの中二病キャラのせいで忘れがちだが、あいつはお淑やかにしてればクール系の物凄い美人なんだよ。身長も高いし」
「ボクもそう想ったっす!」
「でも本人は嫌だからそれがストレスなんだって、まして音楽性や世界観も無理矢理変えられたから尚更。この間も学生時代1軍だったモデル女子達との雑誌の対談も『胃が痛かった』って言ってたし」
「俺も『それやれ』って言われたら、胃が痛くなりそうだなあ…。」
「ボクもっす…。」
「そこで、ざくっちが好きな音楽を、好きな格好でさせる為にあーしらが一肌脱ごう、って訳だよ!」
「でも今のあの世界観で、現時点で300万枚以上売り上げたんだぞ?。それを会社側が簡単に路線変更させてくれるかどうか…。」
「ならそうせざるを得なくさせれば良くね?」
わたしが「そんな事出来るの?」と聞くと、ママが一呼吸置いて。
「Berryenをデジタトゥと勝負させて、負けたら次の新曲以降は、Berryenにヘヴィメタル風の曲とゴスロリの格好、そしてざくっちに中二キャラで行って貰うように仕向けるんだよ、罰ゲームとして。ちなみにデジタトゥが負けたら、体操着とブルマーで次の新曲を出す、という事にしよ?」
「えー、そんなの嫌だよ~!」
「ボクもっす!」
「大丈夫、デジタトゥが絶対負けない勝負を持ち掛けるから」
「そんな事出来るのか、てかどんな方法だ?」
とパパが聞くとママは迷わず。
「次の日本CD大賞で『CD大賞、通称シディ大』を取った方が、取れなかった方に何でも言う事を聞かせる、と生放送で宣言するんだよ!」
「でもBerryenは今年のシングル年間ランキング1位は間違いよ、勝てる気がしないんだけど…。」
「ボクもっす…。」
「だって、デビュー1年目の新人はどう頑張っても『新人賞』迄しか取れない決まりだ、って社長から聞いたよ」
「そうなの?、わたし全然知らなかったよ~!」
「ボクもっす!」
「だから去年、シングル年間1位だったデジタトゥがシディ大になれなかったんだな…。」
「そういう事だからパパ、次の新曲はヘヴィメタル風で行こうよ?。2人にゴスロリの格好で中二病の言動をさせれば、視聴者に一々細かい説明しなくても良いっしょ?。ちなみに罰ゲームの内容発表は今年最後の生放送、Mスタハイパーライブにするよ!」
「面白そうだからそれで行こうっす!、ざくろお姉さんを皆で助けるっすよ!」
「でもちょっと恥ずかしいなあ…。それに何よりわたし、あのキャラに成り切れるかな~?」
こうして次の新曲のコンセプトが決まり、それに伴いわたし達もアイディアが湧いて来て、土日のレコーディングも滞りなく終えられた。そして29日木曜日のベストホット音楽祭2029を皮切りに、年末の特番ラッシュに、1曲しか無いBerryenに対して、デジタトゥはヒット曲を代わるがわるに披露して行った。
2029/12/28(金)
そして迎えたお互いの新曲と罰ゲームの内容発表が、つもりさんの紹介で始まった。
「続いてはDigital Tattooと、Berryenです。てか凄い格好だね2人共!」
「今回のボク達の新曲はゴシックメタル風で、闇の覇道で世界征服するって言うコンセプトっす!。明未クン、どんなキャラなのか紹介お願いするっす!」
蘭お姉ちゃんに振られ、わたしも意を決してあのキャラに成り切る事にした。
「くくく。我は闇の帝国、レイガルムの女王、メイミスなり。人間共よ、今宵は我の余興に酔い痴れるが良い、ぐわあっはっはっはっはっはっ!」
と左手で顔を右半分覆いながらそう言い切った。「今回はこういう設定です!」と恥ずかし気に言うとつもりさんが。
「何で又こういうコンセプトにしたの?」
「実はわたし達、ある勝負をしてまして、それにBerryenが勝ったらわたし達が体操着にブルマーで、わたし達が勝ったらBerryenに、今回のわたし達のキャラでそれぞれ次の新曲をリリースする、という罰ゲームを賭けて戦ってるんですよ」
「そうだったんですね。Berryenの皆さんはこのお2人のような格好されてみたいですか?」
と女子アナさんに聞かれて、ざくろお姉ちゃんはクールに。
「絶対に嫌です、だから何としても負けられません!」
と言ってるけど、心なしか嬉しそうに見えた。
「じゃ、スタンバイの方を…。」
とつもりさんに促されてわたし達も、そしてBerryenも無事本番を終えて、わたし達の楽屋でBerryenも交えて今回の作戦を皆に打ち明けた。
「という訳なんだけど、もし余計なお節介だったら謝るよ…。」
「ボクもっす…。」
と言うとざくろお姉ちゃんが。
「うおおおおお!、何と素晴らしい眷属なんだお前達はー!」
と泣きながらわたしと蘭お姉ちゃんを抱きしめた。
「ざ、ざくろお姉ちゃん、苦しいよ~!」
「ボクもっす~!。それに想い付いたのはママっすよ~!」
「だと思ったぜ、如何にも姉貴の考えそうな事だ」
「流石、魔性の女やん!」
「瑠実お姉様の言う通りですわ!、ていうかやっとコンタクト辞められそうですわ…。」
こうしてMスタハイパーライブの出演を終え、皆それぞれ帰宅の途に就いた…。
2029/12/30(土)
そしてやって来た日本CD大賞当日。ママの言う通り、年間1位のBerryenが新人賞に選ばれ、年間2位のわたし達がシディ大に選ばれた!。発表されたのが9時50分でわたし達はテレビに出られない為、パパが代理で表彰を受け取りながら、一緒に登壇したBerryenのメンバーに、罰ゲームの確認も含めてこう切り出す。
「という訳なので次のシングルは、今回のデジタトゥのような感じでやって頂きます」
と告げると、ざくろお姉ちゃんが両手で口を覆いながら泣き崩れた。それを見て司会の『阿澄紳二郎』さんが、こう問い掛ける。
「ざくろさん、今のお気持ちはどんな感じでしょうか?」
「正直、負けたのは悔しいですが、そういう決まりなので、やるしか無いですよね…。」
と、何処か嬉しそうに答えて、最後にわたし達の大賞受賞曲の映像を流しながら番組は終わった。翌日の赤白歌の大合戦も、わたし達がトップバッターを務め、Berryenは赤組2番手で歌い、本番を終えた。その後のカウントアップ年越しライブは、Berryenがトップバッターを務め、わたし達がラストを飾って、無事本番を終える事が出来た…。
2030/1/1(火)
その日の朝、わたし達はお忍びで大型CDショップに行ってみると、そのお店の1番目立つ所に大量に陳列され、わたし達のCD売り場に『シディ大受賞アーティスト』と、そしてBerryenのCD売り場に『新人賞受賞アーティスト』と、それぞれPOPが飾られていた。そしてどっちのCDも手に取って買ってくれてるお客さん達を見て、パパが。
「こうして改めて陳列されてる売り場を見ると、凄え感慨深いな~…。」
「ボクもっす…。」
「でもそのせいで、他のアーティストさんのCDが売れなくならないか心配だよ~…。」
「新年早々優しいねえめいみん。ざくっち達にも教えてあげよ~♪」
こうしてわたし達は、この事をBerryenの皆に伝えると、非常に喜びつつ、安堵してたみたい。わたし達も安心して帰る事にした。ちなみに今度やる都立競技場でのライブチケットも、販売開始から9分で完売したみたいで、本当に有り難いよ…。
2030/1/2(水)PM7:00
都立競技場でのライブ当日。わたし達デジタトゥは今迄発表した曲を新曲とそのカップリング曲以外全て歌い終え、アンコールに備えた。控室でゴスロリの格好でスタンバイしてるBerryenの皆は、緊張してるかと思ってパパが声を掛けてみると。
「皆、緊張してないか?」
「くくく。ヤミノよ、緊張などする筈無かろう。何故なら、これが我の真の姿なのだからな、ぐわーっはっはっはっはっ!」
「何か、大丈夫みたいで安心したよ~」
「ボクもっす…。」
「ああ、むしろあの格好でライブする方が緊張すらあ!」
「蒼絵お姉様の言う通りですわ!。ていうか、コンタクト無しだとやっぱり良いですわ~」
「やっとウチららしいライブが出来そうやわ。それじゃあざくろ姉、掛け声頼むわ!」
「うむ。ではこれより、デジタトゥ王国への進軍を開始する。皆の者、行くぞー!」
「おおおー!」
こうしてBerryenの皆が登場すると、最初こそ会場がどよめいたけど、演奏が始まると会場は大盛り上がりとなり、デビュー曲とそのカップリング曲、そして新曲とそのカップリング曲、計4曲を見事に歌い終えた、そしてスタッフさんが。
「Digital Tattooさん、スタンバイお願いします!」
「いよいよ、わたし達のリベンジを果たす時だね」
「あの時、ボクは観客だったっすから」
「大丈夫だよ、あーしも桂亜も付いてるから」
「がっはっはっはっは!。さあ、思いっ切りやって来い!」
「有り難う古田さん、ママ。それじゃあ2人共行くぞ、ファンの皆とざくろ達の所へ!」
「おおおー!」
パパや蘭お姉ちゃんと共にステージに戻ったわたしは、ファンの温かい拍手で迎えられる中、こう切り出す。
「それじゃあこれが本当に最後の曲になりますが、この曲はわたしが初めて作詞した曲で、地元の学芸会で披露した歌です。あの時は前の家族に無理矢理歌わされたり、前の妹やその友達にヤジを飛ばされたり、生卵を…。」
わたしがあの時を想い出しながら泣いてると、ファンの皆がどよめきと共に「頑張れー!」と言ってくれて、落ち着きを取り戻し、続けた。
「でもこの曲は、パパが当時、正社員として会社勤めしながら一生懸命作ってくれた大切な曲なので、過去を乗り越える意味も込めて歌います。聴いて下さい、『夢を絶対叶えるんだ!』」
この曲を、あの時のメンバーに、蘭お姉ちゃんのリズムギターとコーラスを加えて全力で最後迄歌い、そして全曲を歌い終えた。但し、ゴスロリの格好で…。
「有り難う御座いました、『めいみんバンド』でした!」
こうして会場が約8万人の拍手と喝采に包まれて、ライブは無事終わった。
「皆さんお疲れ様です、とても素晴らしいパフォーマンスでした」
「がっはっはっはっは!、最高のパフォーマンスだったぞ!」
「あーし、超感動したよ~!、尊い…。」
と古田さんと座木さん、そしてママが迎えてくれた。
「終わったー、やっとリベンジ果たしたよ~!」
「これでボクも漸く、めいみんバンドの一員になれたっすー!」
「俺もやっと、バンドのフロントマンとして大舞台で演奏出来たぜー!」
「せやなー、今迄ずっと裏方やったからな~桂兄」
「今度はアタシらだけで出来るようになってやる!」
「蒼絵お姉様の言う通りですわ。ていうかコンタクトしないでやるライブは、やっぱり最高ですわ~!」
「自分らしく振る舞えると言うのが、こんなにも良い物だったとはー!」
こうしてその後皆で打ち上げを行ない、ライブは終わった…。
2026/1/8(火)
新学期の翌日の夕方、社長から『シングルの集計結果が来たから会社に来い』と伝えられ、わたし達は放課後、社長室に向かった、早速社長が。
「お前達、今日は大事な話が3つあって来てもらった。先ず1つ目は、デジタトゥにもう1人マネージャーを付ける事にした。これだけバズると古田1人では大変だろうからな、自己紹介を頼む」
社長からそう言われて、隣に居た爽やかそうな好青年が現れ、こう切り出す。
「はい。『冬目響』と申します。入社1年目ですが、精一杯頑張りますので宜しくお願いします」
「がっはっはっはっは!、しっかり働いてあたしとデジタトゥを助けてくれよ!」
「はい!」
「冬目はT大法学部卒だ、必ずお前達の助けになる筈だ。次いで2つ目は、新曲の集計結果についてだ。桜庭、頼む」
「解りました、では発表致します。先ずBerryenの初動売上枚数は、252万枚です」
「おお初週で250万以上も売ったんだ、やるじゃんざくっち達」
「良かったー、これで一発屋じゃなくなって安心したよ~…。」
「ボクもっす…。」
「続いてデジタトゥですが、初動売上枚数は、252.5万枚で初登場1位となりました」
桜庭さんからそう聞かされた瞬間、わたしは。
「やったね蘭お姉ちゃん!、わたし達1位だよ~!」
「ボクもっす!。これでざくろお姉さん達の役に立てたっすー!」
「がっはっはっはっは!、良かったな~。もし負けてたら2人の次の新曲、体操着とブルマーで行く所だったぞ!」
「俺も危うく、それ用の曲を作る羽目になるトコだったぜ…。それで、3つ目の話とは?」
「そうだったな。3つ目は、この間のライブでラストに歌った曲、『めいみんバンド』としてシングルにするぞ。それに合わせてデジタトゥの新曲とアルバムも出す」
社長の発表により、ママが「ホントですか!?」大喜びしながら聞くと桜庭さんが。
「はい。ライブ終了後『この曲をシングルにして欲しい』という問い合わせが殺到してます。我が社としても、ファンのニーズに応えるべき、と判断してこういう結論に至りました」
「勿論、宮本も乗り気だし、Berryenともコラボして貰うぞ」
「がっはっはっはっは!、面白い事になって来たな!」
「やったー!。わたし達、やっとBerryenとコラボ出来て嬉しいよ~!」
「ボクもっす!」
「折角だからそのまま『めいみんバンド』で行こうよ!。『Digital Tattoo × Berryen』だと普通だし、長くね?」
「嗚呼、とうとう『めいみんバンド』が正式名称になってしまった…。」
とパパが訝し気な面持ちの中、社長がこう切り出す。
「そのコラボシングルなんだが、1曲入りで税込500円で行くぞ。作詞、作曲、編曲、そしてアーティスト印税に関しては『NPO法人フリースクール設立財団』に全額寄付しよう。蘭と明未もそうしたいだろ?」
「はい。今のわたしがこうして学校生活を謳歌出来てるのは、フリースクールのお陰、といつも想ってましたから」
「ボクもっす!」
こうしてマネージャーも増え、改めて新曲作りに勤しみ、シングル、アルバム共に無事完成した。ちなみにデジタトゥのアルバムのタイトルは『Ⅲ゛Digital Sound(ずりいデジタルサウンド)』と命名された。ずるい位良いデジタルサウンドが詰まったアルバム、という意味だそうで、勿論考えたのはママだ…。
最後に、7thシングルの売り上げは最終的に下記のようになって、わたし達は毎度の如く驚いた。それに近い売り上げの曲がどれ程凄い曲かを後にパパに教えて貰って、蘭お姉ちゃん共々更にビックリした。ていうか周辺の2曲のサビはわたしでも聞いた事あるよ…。
313.2万枚 ●世界に●つだけの●(●M●P)
303.0万枚 我はメイミス、オルキスだ!(Digital Tattoo)
300.3万枚 ちゅープリ♡(Berryen)
293.6万枚 ●SU●AM●(●ザン●ール●ターズ)
{上記の記載は作中のオリジナルの設定で、実在する売り上げ記録とは一切関係ありません。}
君が代独唱から1週間以上が経過し、学校から帰って来たわたし達は来年元旦にリリースする新曲をどんなテーマにするか未だ決まらず、パパや蘭お姉ちゃんと一緒に悩んでいた…。
「はあー、次の新曲の為の歌詞が中々出て来ないよ~…。」
「ボクもっす…。」
「俺もだ、この間の2ndアルバムで全部出し尽くしてしまったからなあ~…。」
「そんな君らに、あーしから提案がありま~す♪」
ママが満面の笑みを浮かべながら、そう言い出した。
「題して、ざくっち救出大作戦~!」
ママが今回も又、よく解らない事を言い出したので「どういう事?」と聞くと。
「ざくっち、瑠実っち暴露記者会見の直後から、化粧品やブランド物とかのCMのオファーが来始めて、デジタトゥに勝ってから益々それ系のCMに引っ張りダコなんだって」
「そうだった。俺もあの中二病キャラのせいで忘れがちだが、あいつはお淑やかにしてればクール系の物凄い美人なんだよ。身長も高いし」
「ボクもそう想ったっす!」
「でも本人は嫌だからそれがストレスなんだって、まして音楽性や世界観も無理矢理変えられたから尚更。この間も学生時代1軍だったモデル女子達との雑誌の対談も『胃が痛かった』って言ってたし」
「俺も『それやれ』って言われたら、胃が痛くなりそうだなあ…。」
「ボクもっす…。」
「そこで、ざくっちが好きな音楽を、好きな格好でさせる為にあーしらが一肌脱ごう、って訳だよ!」
「でも今のあの世界観で、現時点で300万枚以上売り上げたんだぞ?。それを会社側が簡単に路線変更させてくれるかどうか…。」
「ならそうせざるを得なくさせれば良くね?」
わたしが「そんな事出来るの?」と聞くと、ママが一呼吸置いて。
「Berryenをデジタトゥと勝負させて、負けたら次の新曲以降は、Berryenにヘヴィメタル風の曲とゴスロリの格好、そしてざくっちに中二キャラで行って貰うように仕向けるんだよ、罰ゲームとして。ちなみにデジタトゥが負けたら、体操着とブルマーで次の新曲を出す、という事にしよ?」
「えー、そんなの嫌だよ~!」
「ボクもっす!」
「大丈夫、デジタトゥが絶対負けない勝負を持ち掛けるから」
「そんな事出来るのか、てかどんな方法だ?」
とパパが聞くとママは迷わず。
「次の日本CD大賞で『CD大賞、通称シディ大』を取った方が、取れなかった方に何でも言う事を聞かせる、と生放送で宣言するんだよ!」
「でもBerryenは今年のシングル年間ランキング1位は間違いよ、勝てる気がしないんだけど…。」
「ボクもっす…。」
「だって、デビュー1年目の新人はどう頑張っても『新人賞』迄しか取れない決まりだ、って社長から聞いたよ」
「そうなの?、わたし全然知らなかったよ~!」
「ボクもっす!」
「だから去年、シングル年間1位だったデジタトゥがシディ大になれなかったんだな…。」
「そういう事だからパパ、次の新曲はヘヴィメタル風で行こうよ?。2人にゴスロリの格好で中二病の言動をさせれば、視聴者に一々細かい説明しなくても良いっしょ?。ちなみに罰ゲームの内容発表は今年最後の生放送、Mスタハイパーライブにするよ!」
「面白そうだからそれで行こうっす!、ざくろお姉さんを皆で助けるっすよ!」
「でもちょっと恥ずかしいなあ…。それに何よりわたし、あのキャラに成り切れるかな~?」
こうして次の新曲のコンセプトが決まり、それに伴いわたし達もアイディアが湧いて来て、土日のレコーディングも滞りなく終えられた。そして29日木曜日のベストホット音楽祭2029を皮切りに、年末の特番ラッシュに、1曲しか無いBerryenに対して、デジタトゥはヒット曲を代わるがわるに披露して行った。
2029/12/28(金)
そして迎えたお互いの新曲と罰ゲームの内容発表が、つもりさんの紹介で始まった。
「続いてはDigital Tattooと、Berryenです。てか凄い格好だね2人共!」
「今回のボク達の新曲はゴシックメタル風で、闇の覇道で世界征服するって言うコンセプトっす!。明未クン、どんなキャラなのか紹介お願いするっす!」
蘭お姉ちゃんに振られ、わたしも意を決してあのキャラに成り切る事にした。
「くくく。我は闇の帝国、レイガルムの女王、メイミスなり。人間共よ、今宵は我の余興に酔い痴れるが良い、ぐわあっはっはっはっはっはっ!」
と左手で顔を右半分覆いながらそう言い切った。「今回はこういう設定です!」と恥ずかし気に言うとつもりさんが。
「何で又こういうコンセプトにしたの?」
「実はわたし達、ある勝負をしてまして、それにBerryenが勝ったらわたし達が体操着にブルマーで、わたし達が勝ったらBerryenに、今回のわたし達のキャラでそれぞれ次の新曲をリリースする、という罰ゲームを賭けて戦ってるんですよ」
「そうだったんですね。Berryenの皆さんはこのお2人のような格好されてみたいですか?」
と女子アナさんに聞かれて、ざくろお姉ちゃんはクールに。
「絶対に嫌です、だから何としても負けられません!」
と言ってるけど、心なしか嬉しそうに見えた。
「じゃ、スタンバイの方を…。」
とつもりさんに促されてわたし達も、そしてBerryenも無事本番を終えて、わたし達の楽屋でBerryenも交えて今回の作戦を皆に打ち明けた。
「という訳なんだけど、もし余計なお節介だったら謝るよ…。」
「ボクもっす…。」
と言うとざくろお姉ちゃんが。
「うおおおおお!、何と素晴らしい眷属なんだお前達はー!」
と泣きながらわたしと蘭お姉ちゃんを抱きしめた。
「ざ、ざくろお姉ちゃん、苦しいよ~!」
「ボクもっす~!。それに想い付いたのはママっすよ~!」
「だと思ったぜ、如何にも姉貴の考えそうな事だ」
「流石、魔性の女やん!」
「瑠実お姉様の言う通りですわ!、ていうかやっとコンタクト辞められそうですわ…。」
こうしてMスタハイパーライブの出演を終え、皆それぞれ帰宅の途に就いた…。
2029/12/30(土)
そしてやって来た日本CD大賞当日。ママの言う通り、年間1位のBerryenが新人賞に選ばれ、年間2位のわたし達がシディ大に選ばれた!。発表されたのが9時50分でわたし達はテレビに出られない為、パパが代理で表彰を受け取りながら、一緒に登壇したBerryenのメンバーに、罰ゲームの確認も含めてこう切り出す。
「という訳なので次のシングルは、今回のデジタトゥのような感じでやって頂きます」
と告げると、ざくろお姉ちゃんが両手で口を覆いながら泣き崩れた。それを見て司会の『阿澄紳二郎』さんが、こう問い掛ける。
「ざくろさん、今のお気持ちはどんな感じでしょうか?」
「正直、負けたのは悔しいですが、そういう決まりなので、やるしか無いですよね…。」
と、何処か嬉しそうに答えて、最後にわたし達の大賞受賞曲の映像を流しながら番組は終わった。翌日の赤白歌の大合戦も、わたし達がトップバッターを務め、Berryenは赤組2番手で歌い、本番を終えた。その後のカウントアップ年越しライブは、Berryenがトップバッターを務め、わたし達がラストを飾って、無事本番を終える事が出来た…。
2030/1/1(火)
その日の朝、わたし達はお忍びで大型CDショップに行ってみると、そのお店の1番目立つ所に大量に陳列され、わたし達のCD売り場に『シディ大受賞アーティスト』と、そしてBerryenのCD売り場に『新人賞受賞アーティスト』と、それぞれPOPが飾られていた。そしてどっちのCDも手に取って買ってくれてるお客さん達を見て、パパが。
「こうして改めて陳列されてる売り場を見ると、凄え感慨深いな~…。」
「ボクもっす…。」
「でもそのせいで、他のアーティストさんのCDが売れなくならないか心配だよ~…。」
「新年早々優しいねえめいみん。ざくっち達にも教えてあげよ~♪」
こうしてわたし達は、この事をBerryenの皆に伝えると、非常に喜びつつ、安堵してたみたい。わたし達も安心して帰る事にした。ちなみに今度やる都立競技場でのライブチケットも、販売開始から9分で完売したみたいで、本当に有り難いよ…。
2030/1/2(水)PM7:00
都立競技場でのライブ当日。わたし達デジタトゥは今迄発表した曲を新曲とそのカップリング曲以外全て歌い終え、アンコールに備えた。控室でゴスロリの格好でスタンバイしてるBerryenの皆は、緊張してるかと思ってパパが声を掛けてみると。
「皆、緊張してないか?」
「くくく。ヤミノよ、緊張などする筈無かろう。何故なら、これが我の真の姿なのだからな、ぐわーっはっはっはっはっ!」
「何か、大丈夫みたいで安心したよ~」
「ボクもっす…。」
「ああ、むしろあの格好でライブする方が緊張すらあ!」
「蒼絵お姉様の言う通りですわ!。ていうか、コンタクト無しだとやっぱり良いですわ~」
「やっとウチららしいライブが出来そうやわ。それじゃあざくろ姉、掛け声頼むわ!」
「うむ。ではこれより、デジタトゥ王国への進軍を開始する。皆の者、行くぞー!」
「おおおー!」
こうしてBerryenの皆が登場すると、最初こそ会場がどよめいたけど、演奏が始まると会場は大盛り上がりとなり、デビュー曲とそのカップリング曲、そして新曲とそのカップリング曲、計4曲を見事に歌い終えた、そしてスタッフさんが。
「Digital Tattooさん、スタンバイお願いします!」
「いよいよ、わたし達のリベンジを果たす時だね」
「あの時、ボクは観客だったっすから」
「大丈夫だよ、あーしも桂亜も付いてるから」
「がっはっはっはっは!。さあ、思いっ切りやって来い!」
「有り難う古田さん、ママ。それじゃあ2人共行くぞ、ファンの皆とざくろ達の所へ!」
「おおおー!」
パパや蘭お姉ちゃんと共にステージに戻ったわたしは、ファンの温かい拍手で迎えられる中、こう切り出す。
「それじゃあこれが本当に最後の曲になりますが、この曲はわたしが初めて作詞した曲で、地元の学芸会で披露した歌です。あの時は前の家族に無理矢理歌わされたり、前の妹やその友達にヤジを飛ばされたり、生卵を…。」
わたしがあの時を想い出しながら泣いてると、ファンの皆がどよめきと共に「頑張れー!」と言ってくれて、落ち着きを取り戻し、続けた。
「でもこの曲は、パパが当時、正社員として会社勤めしながら一生懸命作ってくれた大切な曲なので、過去を乗り越える意味も込めて歌います。聴いて下さい、『夢を絶対叶えるんだ!』」
この曲を、あの時のメンバーに、蘭お姉ちゃんのリズムギターとコーラスを加えて全力で最後迄歌い、そして全曲を歌い終えた。但し、ゴスロリの格好で…。
「有り難う御座いました、『めいみんバンド』でした!」
こうして会場が約8万人の拍手と喝采に包まれて、ライブは無事終わった。
「皆さんお疲れ様です、とても素晴らしいパフォーマンスでした」
「がっはっはっはっは!、最高のパフォーマンスだったぞ!」
「あーし、超感動したよ~!、尊い…。」
と古田さんと座木さん、そしてママが迎えてくれた。
「終わったー、やっとリベンジ果たしたよ~!」
「これでボクも漸く、めいみんバンドの一員になれたっすー!」
「俺もやっと、バンドのフロントマンとして大舞台で演奏出来たぜー!」
「せやなー、今迄ずっと裏方やったからな~桂兄」
「今度はアタシらだけで出来るようになってやる!」
「蒼絵お姉様の言う通りですわ。ていうかコンタクトしないでやるライブは、やっぱり最高ですわ~!」
「自分らしく振る舞えると言うのが、こんなにも良い物だったとはー!」
こうしてその後皆で打ち上げを行ない、ライブは終わった…。
2026/1/8(火)
新学期の翌日の夕方、社長から『シングルの集計結果が来たから会社に来い』と伝えられ、わたし達は放課後、社長室に向かった、早速社長が。
「お前達、今日は大事な話が3つあって来てもらった。先ず1つ目は、デジタトゥにもう1人マネージャーを付ける事にした。これだけバズると古田1人では大変だろうからな、自己紹介を頼む」
社長からそう言われて、隣に居た爽やかそうな好青年が現れ、こう切り出す。
「はい。『冬目響』と申します。入社1年目ですが、精一杯頑張りますので宜しくお願いします」
「がっはっはっはっは!、しっかり働いてあたしとデジタトゥを助けてくれよ!」
「はい!」
「冬目はT大法学部卒だ、必ずお前達の助けになる筈だ。次いで2つ目は、新曲の集計結果についてだ。桜庭、頼む」
「解りました、では発表致します。先ずBerryenの初動売上枚数は、252万枚です」
「おお初週で250万以上も売ったんだ、やるじゃんざくっち達」
「良かったー、これで一発屋じゃなくなって安心したよ~…。」
「ボクもっす…。」
「続いてデジタトゥですが、初動売上枚数は、252.5万枚で初登場1位となりました」
桜庭さんからそう聞かされた瞬間、わたしは。
「やったね蘭お姉ちゃん!、わたし達1位だよ~!」
「ボクもっす!。これでざくろお姉さん達の役に立てたっすー!」
「がっはっはっはっは!、良かったな~。もし負けてたら2人の次の新曲、体操着とブルマーで行く所だったぞ!」
「俺も危うく、それ用の曲を作る羽目になるトコだったぜ…。それで、3つ目の話とは?」
「そうだったな。3つ目は、この間のライブでラストに歌った曲、『めいみんバンド』としてシングルにするぞ。それに合わせてデジタトゥの新曲とアルバムも出す」
社長の発表により、ママが「ホントですか!?」大喜びしながら聞くと桜庭さんが。
「はい。ライブ終了後『この曲をシングルにして欲しい』という問い合わせが殺到してます。我が社としても、ファンのニーズに応えるべき、と判断してこういう結論に至りました」
「勿論、宮本も乗り気だし、Berryenともコラボして貰うぞ」
「がっはっはっはっは!、面白い事になって来たな!」
「やったー!。わたし達、やっとBerryenとコラボ出来て嬉しいよ~!」
「ボクもっす!」
「折角だからそのまま『めいみんバンド』で行こうよ!。『Digital Tattoo × Berryen』だと普通だし、長くね?」
「嗚呼、とうとう『めいみんバンド』が正式名称になってしまった…。」
とパパが訝し気な面持ちの中、社長がこう切り出す。
「そのコラボシングルなんだが、1曲入りで税込500円で行くぞ。作詞、作曲、編曲、そしてアーティスト印税に関しては『NPO法人フリースクール設立財団』に全額寄付しよう。蘭と明未もそうしたいだろ?」
「はい。今のわたしがこうして学校生活を謳歌出来てるのは、フリースクールのお陰、といつも想ってましたから」
「ボクもっす!」
こうしてマネージャーも増え、改めて新曲作りに勤しみ、シングル、アルバム共に無事完成した。ちなみにデジタトゥのアルバムのタイトルは『Ⅲ゛Digital Sound(ずりいデジタルサウンド)』と命名された。ずるい位良いデジタルサウンドが詰まったアルバム、という意味だそうで、勿論考えたのはママだ…。
最後に、7thシングルの売り上げは最終的に下記のようになって、わたし達は毎度の如く驚いた。それに近い売り上げの曲がどれ程凄い曲かを後にパパに教えて貰って、蘭お姉ちゃん共々更にビックリした。ていうか周辺の2曲のサビはわたしでも聞いた事あるよ…。
313.2万枚 ●世界に●つだけの●(●M●P)
303.0万枚 我はメイミス、オルキスだ!(Digital Tattoo)
300.3万枚 ちゅープリ♡(Berryen)
293.6万枚 ●SU●AM●(●ザン●ール●ターズ)
{上記の記載は作中のオリジナルの設定で、実在する売り上げ記録とは一切関係ありません。}
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