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コイツだけはいやだ。

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4〇〇〇年、およそ2000年前に文明は一度滅びた。海に沈んだ?空から何かが降り立ち攻撃を仕掛けてきた?今では分からない。ただ言えるのは、その当時空飛ぶ金属があった。モンスターたちが存在していなかった。そして2000年前、人類は平等だのという幻想を語っていた。それだけだ。

今は違う。空飛ぶ金属なんてない。あるのは魔具だ。モンスターなんて外に出たらうじゃうじゃといる。平等?そんなものない。実際彼女は今現在奴隷として販売されているのだから。

「さぁ、こいつはどうだい。この白髪ブロンドの髪。綺麗だろう。しかもこの蜂蜜色の目!透き通っていて今にも食べられそうだ。更には読み書きだって一通りできる、従順、努力家と来たもんだ。これだけついて金貨15枚!どうだ。安いもんだろう。」

長ったらしい説明に飽き飽きしながら、彼女は心のうちで溜息をつく。あわよくば良い主人の元に行き着きたいと思い、誰に愛想よく振る舞うか見定めながら。
「ねえママ。僕こいつがいいな。金貨15枚くらいならいいでしょー?」
そうドヤ顔をかます人物を見て、こいつはダメだ。そう彼女は思う。何故か?成金デブ不細工のマザコン性格ブスだからだ。
 愛想良くなんて振る舞わない。もし万が一買われたら困るのはこっちだから。
「そうねぇ。この子なら今度こそ長く持つかもしれないわね。」
そう困り顔で言う貴婦人。きっと言いなりなんだろうな。絶対に嫌だ。こういう場合は露骨に嫌そうな顔をしよう。

 肉に埋もれてやたら細い目をキラキラ、息を荒くして
「じゃ、じゃあこれくっ・・・「ねぇ。」」
いやだ、いやだ、いやだ。

・・・え?
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