絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第15話 異世界の日常

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 満腹になったリオの目がトロンとして来た。舟を漕ぎ始めている。

 どうやら眠くなったらしい。色々あって疲れたんだろう。無理もない。それに動物というものは、総じてお腹が膨れると眠くなるものだ。もっと話を色々と聞きたいところだが、続きは明日にした方が良いだろう。

「アリィ、ここにフトンを二組出して貰えるかな? 今夜は俺がリオに添い寝するよ」

 するとアリィは血相を変えて、

「だ、ダメです! それはダメ!」

「えっ? でもリオを1人にする訳にも...」

「ダメったらダメです! 私が添い寝します! それでいいでしょう!」

 なんだか良く分からんが、アリィの剣幕に怯んだユウは、

「あ、あぁ、アリィがそう言うなら...」

「ユウはさっさとお風呂入っちゃって下さい! リオちゃんはお姉さんと寝んねしましょうね?」

「ふぁ~い...zzz」


◇◇◇


 翌朝、ユウが目を覚ましてリビングに行くと、二人はまだ寝てるようだ。起こさないようにそっとリオの様子を伺う。どうやら熱が出て苦しんだりはしてないようだ。傷は骨まで達してなかったかと胸を撫で下ろす。骨折や傷口が化膿していたら、熱が出るはずだから。 

「ふぁ...むにゃ...」

「あ、ゴメン。起こしちゃったか?」

「ううん、今起きたとこ。ユウ、おはよ」

「おはよう、リオ。包帯替えようか」

「うん、ありがと」

「まだ痛むか?」

「ううん、全然痛くないよ?」

 包帯を外してみてユウは驚いた。あれだけ深かった傷がほとんど塞がっている。獣人は治癒能力が高いんだろうか? だがまだ安静にしている必要はあるだろう。

「傷は大分塞がったみたいだけど、まだ無理は禁物だぞ」

 新しい包帯を巻きながらユウが嗜めると、リオが俯いていた。

「リオ、どうした!? やっぱりまだ痛むか!?」

 するとリオは顔を真っ赤にしながら、

「...しっこ...」

「えっ!? 今なんて!?」

「おしっこしたい...」

 理解したユウは急いでアリィを叩き起こす。

「あ、アリィ! 頼む! 起きてくれ!」

「ふぁい!? ど、どうしました!?」


◇◇◇


 その後、初めてシャワートイレを使うリオに、悪戦苦闘しているアリィの声がトイレから漏れてきた。

「リオちゃん! そのボタンは押しちゃダメェ~!」

「拭いてから! ちゃんと拭いてからぁ~!」

「キャハハッ♪ なにこれ? 面白い~♪」

「だからボタン押さないでぇ~!」

 やがてグッタリした様子のアリィと、目を輝かせて嬉しそうにしているリオが戻って来た。

「ユウ! ユウ! 聞いて聞いて! お尻にね、温かい水がピューって飛んで来たんだよ~! ビックリしたけど面白かった~♪」

「ははは、それは良かったな。アリィ、その...お疲れ...」

「...どういたしまして...」

 ユウも日本では一児の父だった。娘が小さい頃にはおしめを取り替えたり、トイレの世話を焼いたりと育児はそれなりに熟してきたが、さすがにリオ程成長した娘にトイレの世話を焼いた経験は無い。アリィには申し訳ないが、彼女に任せるしかないだろう。トイレだけじゃなくお風呂も同じだ。これからリオに日本式を教える必要がある。

 ユウは心の中でアリィに手を合わせた。
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