絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第46話 情報分析

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 ユウはテーブル席で見知らぬ男ども相手に「キャハハッ!」と嬌声を上げながら酒を酌み交わしているラキを、まるで異次元に迷い込んだかのように呆然として眺めていた。

「あれが大人の女の余裕ってヤツなのかも知れないな...」

 気付くと誰に聞かせるでもなく独り言ちていた。間違いなく自分達より遥かに長い時を生きているラキは、この酒場に居る誰よりも大人なのだから。あんな男どもの相手をするなど子供の手を捻るようなものなのだろう。

「うん? これは中々イケるな」

 そう言ってユウはグラスを呷った。安物のウイスキーの味がした。ユウにとっては馴染み深い味である。久し振りに飲んだ酒は五臓六腑に染み渡る。ウイスキーの余韻に浸っていると、バーテンが話し掛けて来た。

「兄さん、ラキとはどういう関係なんだい? 恋人にゃあ見えねぇが、冒険者仲間かなんかなのか?」

 恋人に見えなくて悪かったな! どうせ俺とラキとじゃ釣り合わねぇよ! と心の中だけで悪態を吐きながら、どうやらラキは冒険者と名乗っているらしいと判断したユウは、それに乗っかることにした。

「あぁ、そんなところだ。獣人の子供を追ってる。何か心当たりはないか?」

「そういや手配書が出回ってたっけなぁ。賞金稼ぎって訳か? 悪ぃが情報はねぇなぁ。街道でデッカい狼を見たとかなんとか、そんな眉唾物の話くらいしかねぇなぁ」

 それはリオフェンリルのことだろう。確かに噂になっていたようだ。

「そうか...情報が集まるとしたらどこだと思う?」

「そりゃあ領都のダレスだろう。ここガリム領で一番大きな町だしな」
 
「なるほど...」

 大きな町なら情報も集まり易いのは当然だな。情報は入手したし、そろそろ帰ろうか、そう思ってラキの方を見たユウが顔を顰める。

「あれはちょっとマズいな...」

 そう言って席を立ったユウは、ラキに近付いてそっと囁く。

「ラキ、お団子が解けそうだ。情報は手に入れたし、そろそろ出るぞ?」

「分かった...」

 実はラキ、角を隠すため髪の毛をお団子結びにしていたのだが、酒の席で燥いだせいか解けそうになっていることに気付いていなかった。二人はそっと店を後にした。

「ふう...済まんな。これからはカチューシャかバンダナで隠すことにしよう」

「そうしてくれ。それで何か分かったか?」

「あぁ、捕まった獣人族の連中は、どうやら領都に運ばれて行ったらしい」 

「やっぱりそうか。俺の方の情報でも領都ダレスの名前が出て来た」

「目的地は決まったの」

「あぁ、早いところアリィとリオの元に戻ろう」

 こうして二人は夜の町を後にした。
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