絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第61話 マンドラゴラ

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 やがてしばらく歩くと、霧が深く立ち込めている場所に着いた。

「この辺りじゃな」

 ラキがそう言うと、リオが鼻をヒクヒクさせる。

「この姿だと鼻が良く利かないから、狼の姿になるね」

 そう言って躊躇なく服を脱ぐ。アリィが言うまでもなく、ユウが目を背ける。調教の成果であろう。やがてリオは、ユウとアリィに初めて会った時と同じ、体高約1mくらいの白い狼の姿になった。

 それを見たラキの目が輝く。

「おぉっ! なんと美しい狼じゃ! 本当に大きさを変えられるんじゃな!」

「この大きさになったのは、俺達と初めて会った時以来か?」

 そう言ってユウがアリィに確認を取る。

「そうですね。なんか遠い昔のことみたいです...」

 三人がそれぞれの感慨に浸っている間にも、リオは黙々と地面の匂いを嗅ぎ回っていた。やがて周りの霧が一段と濃くなっている所まで来た。隣に居る者の姿まで見え辛くなる。

「逸れないように手を繋ぐか?」

「妾は不要じゃ。お主はアリィだけ守っておれば良い」

 ユウの誘いをラキは断る。

「わ、私は手を繋ぎたいかなと...」

「オッケー!」

 ユウは躊躇なく手を繋ぐ。

「はわわ...」

 途端にアリィが真っ赤になる。

『見付けた! マンドラゴラだ!』

 甘い雰囲気になりそうな時、リオが叫んだ。

「本当か!?」

 ユウ達が急いで駆け付ける。リオは地面に鼻を付け、前足で掘っていた。

「待て待てリオ! 妾が掘る! お主は離れておれ!」

 ラキが慌てて叫ぶ。リオは急いで離れた。

「お主らは耳を塞いでおれ! 引き抜くのは妾がやる!」

「ラキは大丈夫なのか!?」

「ドラゴンを甘く見るな! マンドラゴラごとき屁でもないわい!」

「分かった! ラキ、ちょっと待ってくれ! アリィ! 耳栓を人数分出せないか?」

「や、やってみます!」

 耳栓は普通に出せた。

「良し! リオ! こっちに来い!」

 ユウがリオの耳に耳栓を詰める。アリィとユウも耳栓を詰めた。

「ラキ! 準備は整った! いいぞ! 引き抜いてくれ!」

「行くぞ!」

 ラキが引き抜いた瞬間、

「ギィエエエッ!」

 という絶叫が響き渡った。ユウ達は耳栓の上から更に耳を抑え目を閉じる。やがて絶叫が収まった。

「もう良いぞ?」

 ユウ達が目を開けると、ラキの手にウネウネと動く人の形をした人参のようなモノが見えた。

「これがマンドラゴラか...」

 近くに寄って改めて観察してみる。二枚の葉っぱが人間の頭に当たる部分から生えている。頭の所には口に当たる部分に穴が開いている。まるで人間が大口を開けているようだ。手足に当たる部分はまだウネウネと不気味に動いている。

「良し。依頼は達成したし、帰るとするかの?」

 ラキが何事もなかったかのように言った。さすがにはドラゴンと言ったところか。あのマンドラゴラの絶叫をものともしないようだ。その時だった。

「ブロロロゥゥゥッ!!!」

 森中に響き渡るような叫びが聞こえた。

「な、なんだ!?」
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