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第60話 森の中にて
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ユウ達は夜になるのを待ってから、ラキの背に乗ってマンドラゴラが自生しているという森に向かった。
森の手前に平らな土地を見付けたので、そこに家を出して今夜は一泊し、明日の朝から探索を開始する予定だ。
夕食後、ユウがリオに尋ねる。
「リオ、マンドラゴラってどんな所に生えているんだ?」
するとリオはそっと顔を伏せて、
「ゴメン、リオが取って来た訳じゃないから分かんないんだ...でもね! 取って来た物を見せて貰って、その時のあの独特な匂いは覚えているから! 近くに行けばきっと見付かるよ!」
「そ、そうなのか...」
リオの勢いにユウが押されていると、
「聞く所によると、マンドラゴラは霧の深い場所に生えているらしい」
ラキがそう言った。
「そうなのか?」
「あぁ、じゃから明日はまず妾が空から偵察してみることにしよう」
「分かった」
◇◇◇
「では行って来る」
翌朝早く、ドラゴンの姿になったラキが森の上空に飛び上がる。他の冒険者が居たとしても、この時間なら見られることはないだろうと判断した。
やがて偵察を終えたラキが戻って来た。すかさずアリィがバスタオルで包み、ユウは顔を背ける。いつものルーティンである。
「ここから南へしばらく行った所に霧が立ち込めておる。あの辺りが怪しいじゃろ」
「ご苦労様、じゃあ南を目指して....ってどっちが南だ?」
「こっちじゃ」
服を着たラキが呆れたように指差す。
「よ、良し、出発しよう」
しばらく森の中を歩いていると、
「止まれ」
そう言ってラキが周囲に目を向ける。
「囲まれておるな」
「囲まれてる!? 何に!?」
ユウの問いに答えるように、木々の影から低い唸り声を上げて狼が現れた。ラキの言う通り、周りを囲まれているようだ。
「みんな、俺の側に。離れるなよ?」
ユウが緊張した声で指示する。
「ふむ、ブラッディウルフじゃの」
ブラッディウルフ。その名の通り、血のように真っ赤な毛で覆われた狼の魔物だ。体高は約1m。地球に棲息する狼と同じくらいか。狼はジリジリと間合いを詰めて来る。
「妾が蹴散らしてもいいが、どうだリオ? お主が威嚇してみては?」
「リオが!? リオの威嚇なんて効くかな?」
「フェンリルなら狼の上位種じゃ。効かんはずがあるまい」
「そうなのかな? やってみるよ」
『ウオォォォンッ!』
リオが吠える。獣人の姿のままでも獣の声が出せるんだ。ユウは妙なところに感心していた。すると狼は蜘蛛の子を散らすように去って行った。
「言うた通りじゃろ?」
「凄い...なんか癖になりそう...」
リオが恍惚とした表情を浮かべた。
また少し歩くと、前方からなにやら大きい動物が近付いて来る音がした。
「あれはオークじゃな」
現れたのは豚頭人身の魔物オークだった。体高は約2m。手には棍棒のような物を持っている。5、6頭の群れで近付いて来る。
「妾が蹴散らして来る。ここで待っておれ」
そう言うなりラキは、オークの群れに突っ込んで行った。そして...瞬殺した。
「待たせたの」
何事もなかったかのように戻って来たラキを見て、人間の子供の姿になっていても、ドラゴンはやっぱりドラゴンなんだと再認識した一行であった。
森の手前に平らな土地を見付けたので、そこに家を出して今夜は一泊し、明日の朝から探索を開始する予定だ。
夕食後、ユウがリオに尋ねる。
「リオ、マンドラゴラってどんな所に生えているんだ?」
するとリオはそっと顔を伏せて、
「ゴメン、リオが取って来た訳じゃないから分かんないんだ...でもね! 取って来た物を見せて貰って、その時のあの独特な匂いは覚えているから! 近くに行けばきっと見付かるよ!」
「そ、そうなのか...」
リオの勢いにユウが押されていると、
「聞く所によると、マンドラゴラは霧の深い場所に生えているらしい」
ラキがそう言った。
「そうなのか?」
「あぁ、じゃから明日はまず妾が空から偵察してみることにしよう」
「分かった」
◇◇◇
「では行って来る」
翌朝早く、ドラゴンの姿になったラキが森の上空に飛び上がる。他の冒険者が居たとしても、この時間なら見られることはないだろうと判断した。
やがて偵察を終えたラキが戻って来た。すかさずアリィがバスタオルで包み、ユウは顔を背ける。いつものルーティンである。
「ここから南へしばらく行った所に霧が立ち込めておる。あの辺りが怪しいじゃろ」
「ご苦労様、じゃあ南を目指して....ってどっちが南だ?」
「こっちじゃ」
服を着たラキが呆れたように指差す。
「よ、良し、出発しよう」
しばらく森の中を歩いていると、
「止まれ」
そう言ってラキが周囲に目を向ける。
「囲まれておるな」
「囲まれてる!? 何に!?」
ユウの問いに答えるように、木々の影から低い唸り声を上げて狼が現れた。ラキの言う通り、周りを囲まれているようだ。
「みんな、俺の側に。離れるなよ?」
ユウが緊張した声で指示する。
「ふむ、ブラッディウルフじゃの」
ブラッディウルフ。その名の通り、血のように真っ赤な毛で覆われた狼の魔物だ。体高は約1m。地球に棲息する狼と同じくらいか。狼はジリジリと間合いを詰めて来る。
「妾が蹴散らしてもいいが、どうだリオ? お主が威嚇してみては?」
「リオが!? リオの威嚇なんて効くかな?」
「フェンリルなら狼の上位種じゃ。効かんはずがあるまい」
「そうなのかな? やってみるよ」
『ウオォォォンッ!』
リオが吠える。獣人の姿のままでも獣の声が出せるんだ。ユウは妙なところに感心していた。すると狼は蜘蛛の子を散らすように去って行った。
「言うた通りじゃろ?」
「凄い...なんか癖になりそう...」
リオが恍惚とした表情を浮かべた。
また少し歩くと、前方からなにやら大きい動物が近付いて来る音がした。
「あれはオークじゃな」
現れたのは豚頭人身の魔物オークだった。体高は約2m。手には棍棒のような物を持っている。5、6頭の群れで近付いて来る。
「妾が蹴散らして来る。ここで待っておれ」
そう言うなりラキは、オークの群れに突っ込んで行った。そして...瞬殺した。
「待たせたの」
何事もなかったかのように戻って来たラキを見て、人間の子供の姿になっていても、ドラゴンはやっぱりドラゴンなんだと再認識した一行であった。
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