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第86話 躾る

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 護衛任務を無事終えたが、まだランクアップまでには至らなかった。

「さて、次の依頼はと...」

 依頼ボードに向かおうとするラキをユウが止める。

「ら、ラキ、ちょっと休まないか? さすがに疲れが溜まって...」

「わ、私もです...すいませんが...」

 ユウとアリィの異世界組から泣きが入った。リオだけは平気な顔をしている。

「フムッ、それもそうじゃな。急ぐ必要はあるが、1日くらい休んでもバチは当たらんか。良し、明日は休むとしよう」

 ラキのその言葉に異世界組がホッとした表情を浮かべた。


◇◇◇


 その後、王都から程近い所に良さげな場所を見付けたので、そこに家を出した。そして次の日

「「 ぐでぇ~... 」」

 異世界組は二人してゴロゴロしたり本を読んだりと、休日をまったり過ごしていた。

「ラキ! これも美味しいよ!」

「どれどれ...フムフム、確かに美味じゃの!」

 食いしん坊組はひたすら異世界食を堪能していた。それぞれが休日を満喫し、明日からの冒険者活動に対する英気を養っていた。


◇◇◇


「なんだぁ、お前!? 女子供引き連れて出稼ぎかよ!? ギャハハハッ! ウケる~!」

「きっとこいつロリコンなんだぜい! ギャハハハッ! キモッ!」

「ロリコンハーレムかよ!? ギャハハハッ! キモキモ~!」

「ここはお子ちゃまの遊び場じゃねぇんだ! ガキはとっとと帰んな!」

「そうだそうだ~! そのロリコン野郎と一緒に帰りやがれ!」

「ギャハハハッ!」

 次の日、冒険者ギルドに行くと他の冒険者に絡まれた。確かにラキは今子供モードだし、リオはまんま子供だし、アリィも童顔だからロリっぽく見えないこともない。

 だからと言って、こんな心無い罵声を浴びる謂われは無い。ユウが抗議しようとした時だった。

「へぇ~! じゃあ、お兄さん達って凄く強いんだよね!? 私に色々と教えてくれないかなぁ~!?」

 ラキが上目遣いで冒険者達にお願いしていた。

「へへっ! お嬢ちゃん、良く分かってるじゃねぇか! いいぜ! 色々と教えてやらあ! 裏に行こうぜ!」

 そしてユウ達が呆気に取られている間に、ラキは冒険者達と共に裏へと消えてしまった。去り際、ユウ達に軽くウインクしながら。

~ 10分後 ~

「待たせたの」

 何食わぬ顔で戻って来たラキは、両手が血に染まっていた。

「ら、ラキ、そ、それは!?」

 ユウが震える声で尋ねる。

「あぁ、これか。ちょっと躾に熱が入ってしもた」

 ラキはハンカチで手を拭いながら、淡々とそう言った。

「し、躾ですか...」

 ユウは自然と敬語になっている。

「躾じゃ。これであの連中はもう絡んで来んじゃろ」

 ユウ達はラキだけは怒らせてはならないと改めて再認識した。

 
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