絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第119話 ダンジョン攻略16

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「うん!? ねぇ! 見て見て! 下に降りる階段があるよ!」

 リオが指差す先、祭壇の下にポッカリ穴が空いていて、そこから下に階段が伸びている。

「9階層目への入口かな?」

「恐らくそうだと思います。フロアボスっぽいのを倒したし」

「良し、行ってみるか」

 ユウとアリィがそんな会話を交わしている側で、またラキが静かになってしまった。

「ラキ、もう怖いのは出て来ないと思うぞ?」

「わ、分かっとるわい! さっさと行くぞ!」

 そう言いながらもラキは先導しようとはしないので、苦笑しながらユウが先頭を切って階段を降りて行った。


◇◇◇


 階段は然程長くなかった。

「よっと着いた。やっぱりここは9階層目みたいだな」

 ユウがそう言った通り、明らかに8階層目とはダンジョンの様子が変わっていた。そこはまるで鍾乳洞の中みたいだった。

 天井から氷柱のように鍾乳石が伸びて来て「ピチャーン、ピチャーン」と滴が垂れている。

「フム、ここは鍾乳洞エリアじゃな。湿度が高い故、足元が滑り易くなっておる。足を取られないように気を付けるんじゃぞ?」

 すっかり調子を取り戻したラキがしたり顔でそう告げると、三人は肩を竦めながら黙って従った。

 しばらく行くと前方に池が見えて来た。

「気を付けろ。何かおるぞ」

 ラキの言葉が終わらない内に、その何かが水中から飛び出て来た。

「ギィヤアッ!」

「ザハギンか。半魚野郎じゃな」

 そうラキが言った通り、見た目はまさに半魚人である。魚の上半身に人の下半身を持ち、三ツ又の槍を手にしている。ザハギンは群れで現れた。

 ドバッ!

 いきなりザハギンが口から水鉄砲のように水を吹き出した。

「どわっ!?」

 水はバリヤに防がれて届かないが、バリヤに当たった水が広がって視界が塞がれてしまった。

「キシャアッ!」

 その隙を突いてザハギンが肉薄して来る。三ツ又の槍を突き立てるが、それもバリヤが防いでくれる。

「良し! やっとクリアになった!」

 水が抜けて視界が確保できるようになった。

「フンッ!」「セイッ!」「ヤアッ!」

 そうなればザハギンなど敵ではない。あっという間に三人で蹴散らした。

「呆気なかったな」

「まぁ所詮半魚じゃし」

「リオ、お腹空いちゃった...」

「リオちゃん、あれは食べられませんよ?」

 そんな呑気な会話を交わしていた時だった。

「うん!? なんか聞こえないか!?」

 ユウが耳を欹てる。

「これは...歌声!?」

 その瞬間、ラキが叫ぶ。

「マズい! セイレーンじゃ! お主ら、耳を塞げ!」 

「「「 へっ!? 」」」

 三人はポカンとしていた。
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