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第120話 ダンジョン攻略17

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 セイレーンは池の畔にある大きな岩の上に何匹か固まって歌声を響かせていた。

「セイレーンの歌声を聞くと魅了されてしまう! 特に男は骨抜きにされて使い物にならなく...なっておらんな...」

 ラキが慌てるがユウは涼しい顔で、

「なっておらんね」

「凄いな...これもバリヤの力なのか!? 精神感応系の攻撃まで防ぐのか!?」

「ん~...多分...普通の歌声にしか聞こえないし、特に心がおかしくなったりはしてないな」

「リオも平気だよ! キレイな歌声だとは思うけどさ! そんだけ!」

「私もです。ずっと聞いてると眠くなりそうですが、それだけですね」

 リオとアリィも続く。

「なんともまぁ...慌てて損した気分じゃわい...」

 そう言ってラキは頭を振った。

「どうする? 倒しとくか? 特に害は無い魔物みたいだが」

「それは妾達にとってじゃろ? 他の冒険者達にとっては脅威になるんじゃから、倒しといた方が良いじゃろ」

 という訳でセイレーンをサクッと始末した。

 ちなみにセイレーンは外見だけ見れば人魚のようだが、その顔は口が耳まで裂けて鋭い牙が並んでいて、とてもじゃないが童話やアニメの人魚姫のイメージじゃなかったとだけ伝えておこう。


◇◇◇


 しばらく行くと、なにやら「キーキー!」と前方が騒がしくなった。

「あれは吸血コウモリの群れじゃな」

 ラキの言う通り、天井から逆さになってぶら下がっているのは、地球でもお馴染みのコウモリだ。ただサイズが桁違いに大きい。一匹一匹が鷲みたいにデカい。

「どうじゃアリィ? 試し射ちしてみるか?」

「やってみます!」

 グリム・リーパーとの戦いで自信を付けたのか、アリィが積極的に前に出た。すかさずユウがアリィのバリヤを解除する。

「アリィ、落ち着いて狙え。たとえ射ち漏らしがあっても俺達が始末するから安心しろ」

「アリィ! 頑張って!」

「はいっ!」

 二人に後押しされたアリィは、慎重に狙いを定めて矢を射った。

「エイッ!」

 矢は真っ直ぐ飛んで吸血コウモリの一匹に直撃した。

「ギーッ!」

「良し! 当たった!」「アリィ! 凄いや!」

 吸血コウモリの一匹が地面に落ちた。

「キーキー!」

 仲間をやられて怒ったのか、吸血コウモリの群れがこちらに向かって来る。それをアリィは冷静に向かえ射つ。

「ハァッ!」「ヤァッ!」「セイッ!」

 数が多いので、アリィ以外の三人にも襲い掛かって来るが、

「フンッ!」「ホイッ!」「シャア!」

 物の数ではなかった。

「アリィ、お疲れ様」

 吸血コウモリの群れを全滅させた後、アリィは、

「やりました!」

 と会心の笑顔を浮かべていた。
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