絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

第130話 ダンジョン攻略２７

「ところでラキ、転移魔法陣とか無いのかな?」

「なんじゃそりゃ?」

「ほら、１０階層毎に出て来る強いフロアボスモンスターを倒したら、ボーナスとして地上まで一気にワープ出来る便利な機能が現れるとか無いのかな? って思って。ちょうどここ１０階層目だし」

「あぁ、RPGだと定番ですよね～」

「そうそう、ル○ラとか」

「あれ、ダンジョンとか洞窟とか屋敷の中で使うと天井に頭ぶつけて落ちて来るんですよね～」

「そうそう、最初は『えっ!?　マジかよ!?』って笑っちゃったよ」

「ドラ○エでは別の呪文（リレ○ト）を使わないと天井のある所からは出れないんですよね～」

「F○だとテ○ポで一発なんだよな」

「シリーズ毎に微妙に違ったりしましたよ～」

「...お主ら、もう気は済んだか?　リオが舟漕いどるぞ?」

　ラキが異世界組の不毛な会話をぶった切った。

「「 ハイ、スイマセン... 」」

「結論から言えばそんなもん無いわい。地道に降りて来た分、地道に昇るだけじゃ」

「「 マジか～... 」」

　異世界組が露骨にガッカリする。

「うん!?　ちょっと待てよ!?　もしかしてあの滑り降りて来た縦穴を、今度は昇るらなきゃならないってことなのか!?」

「なにを当たり前のことを言っとる。他にないじゃろ」

「無理無理無理～!　私、絶対無理です～!」

　アリィの泣きが入った。

「あぁ、確かにアリィには無理じゃな。安心せい、妾がロープで繋いで引っ張ってやる」

「そんな荷物みたいな扱い嫌ぁ～!」

「ら、ラキ、お、俺も昇れる自信あんま無いかも...１階だけならともかく、何階も昇るのはちょっと...」

　ユウからも泣きが入った。

「仕方ないのぅ。コイツの出番か」

　そう言ってラキは、居眠りしているリオの頭を撫でた。

「ふぇっ!?　な、なんのこと!?」


◇◇◇


「も、もう無理でふ...動けまへん...」

　帰りは魔物と一切戦うことなく、バリヤを全面に押し出して走り切り、縦穴の所はリオフェンリルにみんなで乗って昇って来た。

　ラキがドラゴン形態になれるスペースが無い以上、リオが頑張るしかなかったのだが、５階層目に達した時点で精も根も尽き果てたらしい。

　ちなみに８階層目のホラー系エリアでは、ラキはずっと目を瞑ってアリィに手を引かれながら駆け抜けた。

「リオ、お疲れ様。良く頑張ってくれた。今日はここまでにしよう」

　ユウが労った。ちなみにここは砂漠エリア。リオが宝箱のギミックに引っ掛かった所だ。

「ふむ、砂嵐が起きそうじゃな」

　ラキが前方を見ながら呟く。

「アリィ、家を出してくれ。この天気じゃ他の冒険者は来ないだろう」

「分かりました」

　今夜はここで夜営することにした。