王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

文字の大きさ
79 / 171

79

しおりを挟む
「た、確かにちょっとフライングしてしまったことは認めるが...」

「フライングなんてレベルじゃなかったと思いますが?」

 ファリスの突っ込みが冴え渡る。

「うぅ...そ、それを言われると...」

 ミハエルはなにも言えなくなってしまった。

「出来レースであることをお認めになるんですね?」

「いやだから! それだけは本当に違うんだ! どうか信じて欲しい! もっとも、今の僕がそう言った所で説得力はないだろうが...」

 ミハエルはなんとか必死に訴えたが、

「えぇ、全くありませんね」

 ファリスはけんもほろろだった。

「うぅ...」

「とにかく殿下、このままじゃ不公平過ぎますよ。私だけじゃなく、ミシェルさんやソニアさんからも苦情が上がるのは確実でしょう」

 実は、ミシェルとソニアは既に王妃の座を諦めてライラの応援に回っているのだが、そのことをまだファリスは知らないのだった。

 ソニアに唆されてお茶会を開いた時も、きっとなにかソニアなりに考えがあってのことだろうと思って、その真意を探るべく敢えて誘いに乗ってみたのだが、結局のところ良く分からなかった。

「そ、そうだよな...」

 そしてまた、ミハエルも同様にミシェルとソニアの思惑を全く知らない。だからこそ、こうしてファリスの指摘に頭を抱えているという訳だ。

「そこで殿下に一つご提案があるのですが」

「提案?」

「私達にもこうして殿下と二人っきりになる機会を与えてくれませんか? 本合宿の新たな命題だとか言えば、あのお二方もきっと疑うことはないでしょうから」

「なるほど...」

「それでライラさんとの一件はチャラにしてあげてもいいですよ?」

「......」

 ミシェルはしばし考え込んだ。

「それにしても今日は蒸しますねぇ...」

 そろそろ頃合いとみたファリスは仕掛けることにした。これ見よがしにブラウスの胸元を開け、扇子でパタパタと風を送ってミハエルを挑発する。

「そ、そうだな...」

 目のやり場に困ったミハエルは、お茶を飲んで誤魔化すことにした。すっかり冷めたお茶を一気に飲み干す。

 勝った! ファリスは心の中でニヤリと笑った。

「ねぇ~♪ 殿下~♪ 私にも~♪ あんな熱烈な~♪ キスをして~♪ 欲しいです~♪」

 ファリスはミハエルの側に近付いて撓垂れ掛かり、間延び口調に戻してここぞとばかりに甘えて見せた。

 即効性の媚薬と聞いているので忽ち効果を発揮するはず。するとミハエルの両手がファリスの肩に掛かった。

 ファリスは目を閉じて唇を突き出し、ドキドキしながらミハエルのキスを待った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです ※表紙 AIアプリ作成

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~

marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」 「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」 私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。 暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。 彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。 それなのに……。 やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。 ※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。 ※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...