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「ビビ、私が王女だってことはしばらく内緒にしといてね?」
マチルダは人差し指を口に当てて可愛くお願いする。金髪碧眼の美少女であるマチルダにそんな格好されると、同性であるビビアンですらドキッとしてしまう。
「えっ!? で、でもさすがにバレませんか!?」
「大丈夫よ。ずっと留学してたし。誰も私の顔を覚えていないでしょ?」
「それはそうかも知れませんが...」
ビビアンはなんとなく釈然としないというか、なにか忘れているというか、とても微妙な気持ちになった。
「それにね、私は本来あなたより一つ年下でしょ? その点でも同級生から気付かれないと思うのよね」
「そう、それです!」
ビビアンはやっと合点が行ったとばかりに叫んだ。
「なんで私と同学年なんですか!?」
「飛び級したから」
マチルダは事も無げにそう言った。
あぁ、そうだった。この王女は無駄にスペックが高いんだった。昔から勉強でも剣術でも非凡な才能を発揮していたっけ。
だったら飛び級なんてお手の物かと、ビビアンは妙に納得した。
「な、なるほど...でも、どうして私のクラスに!?」
「ビビと一緒に居たいから」
「は、はぁ...ありがとうございます?」
「そこは疑問形じゃなくて素直に感謝しなさいよ。友達居ないんでしょ?」
「あぅ....な、なんでそれを!?」
「フフフッ! ビビのことなら何でもお見通しよ?」
マチルダにとても良い笑顔でそう言われたビビアンは、苦笑しながらも素直に認めるしかなかった。この王女には敵わないと。
◇◇◇
マチルダはあっという間にクラスの人気者になった。類い稀なる美貌と知性を併せ持ち、だがそのことを鼻に掛けず天真爛漫に振る舞う彼女に、男女問わずクラス中のみんなが魅了された。
王女という身分を隠しているという部分が大きいかも知れない。みんな気軽にマチルダに話し掛けて来る。
そんなマチルダは、常にビビアンと共に居た。最初はそのことに眉を顰める向きもあったが、次第にそれが当たり前のようになって来ると、今までのビビアンに対する風当たりにも変化が見られるようになって行った。
クラスメイトがマチルダに話し掛ける時、一緒に居るビビアンにも少しずつではあるが話し掛けて来るようになったのである。
そして段々とビビアンに関する噂が下火になって来た頃だった。
「ビビ、食堂行こう」
「はい、マチルダ様...じゃなかった! うん、マチルダ」
「よろしい。いい加減慣れなさいよ?」
「ど、努力します...」
そんな遣り取りをしながらクラスを出た時、
「ちょっとあんた! 待ちなさいよ!」
アマンダが鬼のような目をしながら睨み付けて来た。
マチルダは人差し指を口に当てて可愛くお願いする。金髪碧眼の美少女であるマチルダにそんな格好されると、同性であるビビアンですらドキッとしてしまう。
「えっ!? で、でもさすがにバレませんか!?」
「大丈夫よ。ずっと留学してたし。誰も私の顔を覚えていないでしょ?」
「それはそうかも知れませんが...」
ビビアンはなんとなく釈然としないというか、なにか忘れているというか、とても微妙な気持ちになった。
「それにね、私は本来あなたより一つ年下でしょ? その点でも同級生から気付かれないと思うのよね」
「そう、それです!」
ビビアンはやっと合点が行ったとばかりに叫んだ。
「なんで私と同学年なんですか!?」
「飛び級したから」
マチルダは事も無げにそう言った。
あぁ、そうだった。この王女は無駄にスペックが高いんだった。昔から勉強でも剣術でも非凡な才能を発揮していたっけ。
だったら飛び級なんてお手の物かと、ビビアンは妙に納得した。
「な、なるほど...でも、どうして私のクラスに!?」
「ビビと一緒に居たいから」
「は、はぁ...ありがとうございます?」
「そこは疑問形じゃなくて素直に感謝しなさいよ。友達居ないんでしょ?」
「あぅ....な、なんでそれを!?」
「フフフッ! ビビのことなら何でもお見通しよ?」
マチルダにとても良い笑顔でそう言われたビビアンは、苦笑しながらも素直に認めるしかなかった。この王女には敵わないと。
◇◇◇
マチルダはあっという間にクラスの人気者になった。類い稀なる美貌と知性を併せ持ち、だがそのことを鼻に掛けず天真爛漫に振る舞う彼女に、男女問わずクラス中のみんなが魅了された。
王女という身分を隠しているという部分が大きいかも知れない。みんな気軽にマチルダに話し掛けて来る。
そんなマチルダは、常にビビアンと共に居た。最初はそのことに眉を顰める向きもあったが、次第にそれが当たり前のようになって来ると、今までのビビアンに対する風当たりにも変化が見られるようになって行った。
クラスメイトがマチルダに話し掛ける時、一緒に居るビビアンにも少しずつではあるが話し掛けて来るようになったのである。
そして段々とビビアンに関する噂が下火になって来た頃だった。
「ビビ、食堂行こう」
「はい、マチルダ様...じゃなかった! うん、マチルダ」
「よろしい。いい加減慣れなさいよ?」
「ど、努力します...」
そんな遣り取りをしながらクラスを出た時、
「ちょっとあんた! 待ちなさいよ!」
アマンダが鬼のような目をしながら睨み付けて来た。
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