私を虐めたりしたらカウンターが発動してあなたは酷い目に遭いますよ？

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「あんた!　一体バレット様に何言ったのよ!?」

「えっと...それはどういう...」

　ビビアンは困惑した。アマンダの怒っている理由が分からないからだ。

「バレット様が私と別れるって言ったのよ!　有り得ないわ!　私達は相思相愛だったのに!　どうせあんたが婚約者の立場を悪用して、私達を別れさせるように画策でもしたんでしょ!?　愛し合う二人の仲を引き裂くなんて最低よ!　恥ずかしいと思わないの!?　そんなにバレット様が欲しいの!?　あんたなんかバレット様に愛されていないクセに!　いつまで婚約者の座にしがみ付いてるつもりよ!　みっともないったらないわね!　バレット様のことを想うなら黙って身を引きなさいよ!」

　ハァハァと息を切らしながら一気に捲し立てたアマンダに、ビビアンはどこから突っ込んでいいものやら考えあぐねていると、

「ビビ、この人誰?」

　マチルダが静かに聞いて来たので、ビビアンが答えようとしたら、

「あんたこそ誰よ!?　見ない顔ね!?」

　アマンダが先に答えてしまった。それもかなり尊大な口調で。これはヤバい!　アマンダはマチルダの正体を知らない!　このまま会話を続けたら不敬に当たる発言をするかも知れない!　アマンダを止めないと!

「あ、あの!　アマンダさん、この方は」

「私?　転校生だけど?」

　ビビアンが注意するより先にマチルダが応じてしまった。

「転校生?　ハンッ!　どこの馬の骨だか知らないけど、関係無いヤツは引っ込んでなさいよ!　私はこの女に用があるんだから!」

「あわわわ...」

　ビビアンはもうパニック寸前だった。王族に対してこんな発言をしたら、もはや不敬どころの騒ぎじゃない。斬り捨て御免レベルである。即刻首を落とされてもおかしくない。アマンダの命を救うには、今すぐ物理的に口を塞ぐしかない。

　そう思ってアマンダに飛び掛かろうと身構えた時だった。

「騒がしいな。何事だ!?」

　騒ぎを聞き付けてライオスがやって来た。

「ら、ライオス殿下...」

　さすがのアマンダも静かになった。時既に遅しではあるが。

「あら、お兄様。ご機嫌よう」

「はぇっ!?　お、お兄様!?」

　アマンダが変な声を出した。

「アマンダさん、こちらのお方は第２王女のマチルダ殿下で有らせられます...」

　ビビアンはこの言葉をやっと言うことが出来た。時既に遅しではあるが。大事なことなので２回言ったが。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

　アマンダはようやく自分の立場を理解したらしい。

「アマンダさんでしたっけ?　こんな馬の骨ですが何か?」

　マチルダはとても良い笑顔でそう言った。

「ご、ゴメンなさ～い!」

　アマンダは脱兎の如く逃げ出した。