私を虐めたりしたらカウンターが発動してあなたは酷い目に遭いますよ?

真理亜

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 ある日、ライオスの執務室で公務を手伝っていたビビアンに朗報が齎される。

「ビビアン、喜べ。お前とバレット殿との婚約が解消されたぞ」

「本当ですか!?」

 ビビアンの顔が喜色に溢れる。

「あぁ、どうやらアマンダ嬢と添い遂げる気になったらしい」

「そうなんですね」

「アマンダ嬢の努力が報われたってことだろ」

「それ、どういう意味ですか?」

「ここ最近、学園内で色んな噂が流れてたのは知ってるだろ?」

「あ、はい...」

 思い出したのか、ビビアンの顔が暗くなる。

「あの噂のほとんどはアマンダ嬢が流していたんだ」

「私に関すること以外もですか?」

「あぁ、なかなか強かな女だよ。しかもわざと学園を欠席して信憑性を持たせていたらしいな」

「そうなんですね...」

「よっぽどバレット殿に惚れてるんだろうな。たとえ廃嫡されたとしても」

「やっぱりそうなるんですね...」

「ビビアン、お前が気にすることじゃないからな。バレット殿が自分で蒔いた種なんだから」

「はい...」

 そう言われてもビビアンの表情は冴えない。

「ビビアン...まさかとは思うか...お前、バレット殿のことを...」

 ライオスは急に不安になった。

「あぁ、いえいえ。バレット様のことは特になんとも思ってません。ただ曲がりなりにも婚約者だった訳ですし...それを全くなかったことにするにはやっぱりちょっと時間が掛かりますね...」

「そうか...ビビアン、俺はお前が完全に吹っ切れるまで、いつまでも待つからな?」

 ライオスはちょっとホッとしながらそう言った。

「はい!? ありがとうございます!?」

 良く分からないが、ビビアンは取り敢えず頷いておいた。


◇◇◇


「あら、ビビアン様。ご機嫌よう」

「これはこれはメリッサ様、ご機嫌よう」

 ある日、ビビアンは王宮で以前お茶会で知り合った侯爵令嬢のメリッサとバッタリ出会った。

「ライオス殿下はどちらにいらっしゃるかご存知かしら?」

「えっと多分、執務室におられるかと...」

「そう、ありがとう」

 メリッサはそう言って去って行った。その後ろ姿を見送っていると、

「なあに? あの女、なにしに来たのかしら?」

 マチルダが現れた。

「あ、マチルダ様。どうやらライオス様にご用があるみたいです...」

「ふうん、ビビ、教えておいてあげるわ。あの女、お兄様を狙ってるわよ」

「えっ!? ね、狙って!?」

「獲られないように気を付けることね」
  
 マチルダが意味ありげに微笑んだ。

「えっ!? えっ!? えぇ~!?」

 ビビアンは戸惑うしかなかった。
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