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第21話
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その日、カズミとマインツは王都で一番人気の劇団の千秋楽を観に来ていた。
もうすぐ公演が始まるというギリギリの時間になって、彼女達の隣の席に誰かやって来た。その人の姿を見て二人は絶句した。
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! マインツ様にカズミ様! 偶然でございますわねぇ! 私、この劇団の大ファンでして、本日の公演を楽しみにしておりましたの! ご一緒に楽しみましょうね!」
チリーヌ王女だった。マインツの隣の席に腰を下ろした彼女は、公演中にやたらと話し掛けて来て、二人はせっかくの芝居に全く集中出来なかった。
◇◇◇
その日、サズミとヤインツは馬で遠乗りして川に釣りに来ていた。釣り針にエサを付けて、釣竿を振り上げた時だった。
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! ヤインツ様にサズミ様! 偶然でございますわねぇ! 私、こう見えて釣りが趣味なんですの! ご一緒に楽しみましょうね! さぁさぁ! 大物を釣り上げますわよ!」
チリーヌ王女が釣竿を掲げていた。二人は呆気に取られた。その言葉通り、チリーヌ王女は大物を釣り上げたが、勢いに呑まれた二人は結局ボウズだった。
◇◇◇
その日、タズミとラインツは温泉宿で卓球に興じていた。転がって行ったボールを追っていると、誰かが拾ってくれた。お礼を言おうとしてその人の姿を見た二人は絶句した。
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! ラインツ様にタズミ様! 偶然でございますわねぇ! 私、こう見えて卓球が得意なんですの! ご一緒に楽しみましょうね! さぁさぁ! 3セットマッチで参りますわよ!」
チリーヌ王女がマイラケットを持って立っていた。二人は呆然とした。卓球が得意と言うだけあって、二人は1セットも取れなかった。
◇◇◇
その日は教会でミサが行われた。ナズミはワインツと共に出席していた。以前言っていた通り、チリーヌ王女も出席していたのでナズミは警戒していたが、チリーヌ王女の方からワインツに接触して来ることはなかった。
拍子抜けしたナズミとワインツは顔を見合わせて首を捻った。だがミサが終わって帰ろうとした時、
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! ワインツ様! 素晴らしいミサでございまたわねぇ! 私、感動してしまいましたわ! 是非ともこの後ご一緒に語り合いたいですわ! お食事でもご一緒に如何かしら?」
ナズミの存在を丸っと無視してワインツのみをキラキラした目で見詰めるチリーヌ王女に、ナズミは怒りが湧いて来た。
ナズミはワインツの手を引いて走るようにその場を後にした。
チリーヌ王女が何か叫んでいたが、知ったことではなかった。
もうすぐ公演が始まるというギリギリの時間になって、彼女達の隣の席に誰かやって来た。その人の姿を見て二人は絶句した。
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! マインツ様にカズミ様! 偶然でございますわねぇ! 私、この劇団の大ファンでして、本日の公演を楽しみにしておりましたの! ご一緒に楽しみましょうね!」
チリーヌ王女だった。マインツの隣の席に腰を下ろした彼女は、公演中にやたらと話し掛けて来て、二人はせっかくの芝居に全く集中出来なかった。
◇◇◇
その日、サズミとヤインツは馬で遠乗りして川に釣りに来ていた。釣り針にエサを付けて、釣竿を振り上げた時だった。
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! ヤインツ様にサズミ様! 偶然でございますわねぇ! 私、こう見えて釣りが趣味なんですの! ご一緒に楽しみましょうね! さぁさぁ! 大物を釣り上げますわよ!」
チリーヌ王女が釣竿を掲げていた。二人は呆気に取られた。その言葉通り、チリーヌ王女は大物を釣り上げたが、勢いに呑まれた二人は結局ボウズだった。
◇◇◇
その日、タズミとラインツは温泉宿で卓球に興じていた。転がって行ったボールを追っていると、誰かが拾ってくれた。お礼を言おうとしてその人の姿を見た二人は絶句した。
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! ラインツ様にタズミ様! 偶然でございますわねぇ! 私、こう見えて卓球が得意なんですの! ご一緒に楽しみましょうね! さぁさぁ! 3セットマッチで参りますわよ!」
チリーヌ王女がマイラケットを持って立っていた。二人は呆然とした。卓球が得意と言うだけあって、二人は1セットも取れなかった。
◇◇◇
その日は教会でミサが行われた。ナズミはワインツと共に出席していた。以前言っていた通り、チリーヌ王女も出席していたのでナズミは警戒していたが、チリーヌ王女の方からワインツに接触して来ることはなかった。
拍子抜けしたナズミとワインツは顔を見合わせて首を捻った。だがミサが終わって帰ろうとした時、
「あらあらあらあらっ! まぁまぁまぁまぁっ! ワインツ様! 素晴らしいミサでございまたわねぇ! 私、感動してしまいましたわ! 是非ともこの後ご一緒に語り合いたいですわ! お食事でもご一緒に如何かしら?」
ナズミの存在を丸っと無視してワインツのみをキラキラした目で見詰めるチリーヌ王女に、ナズミは怒りが湧いて来た。
ナズミはワインツの手を引いて走るようにその場を後にした。
チリーヌ王女が何か叫んでいたが、知ったことではなかった。
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