婚約破棄は構いませんがあなた方、周りを良くご覧なさいな

真理亜

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「まぁまぁ皆さん、ちょっと落ち着いて下さいな。私、たった今婚約を破棄したばかりなんですよ? いくらなんでも、またすぐに次の婚約を結ぶという訳には参りませんよ。外聞も悪いですし。少しお時間を下さいな。皆さんのお気持ちは大変嬉しいので、時間を掛けてゆっくりと結論を出させて頂きます」

 そう言われてしまえば仕方ない。求婚者達はいったん引き下がることにした。

「申し訳ない。我々は性急過ぎたようだ。良い返事を期待している。じっくり考えて欲しい」

 求婚者一同を代表する形で、第二王子であるアレスがそう言った。

「あ、あの...」

 その時、それまで黙っていたエルムがおずおずと話し掛ける。

「カエラ...その...済まなかった...これからは心を入れ替えるから、婚約破棄をなかったことに出来ないだろうか...頼むよ...」

 なにを今更とばかりに気色ばむ求婚者達を片手で制して、

「あら第一王子殿下、あなたにだけはこの場でハッキリとご返事申し上げます。あなたなんか死んでもゴメンですよ!」

 次の瞬間、エルムは床に崩れ落ちた。


◇◇◇


 その後、エルムは廃嫡となった。王族からも除籍され平民となって、同じく実家から勘当され平民となったケイトとの婚姻を義務付けられた。夫婦となった二人は互いに『お前せいだ!』といがみ合い、ケンカが絶えなかったそうだ。

 エルムの取り巻き共も全員実家から勘当され平民に落とされた。今どこでなにをしてるのか不明である。

 そしてカエラは数多くの求婚者の中から、アレス第二王子を相手に選んだ。というより他に選択肢がなかった。

 既に王妃教育をほとんど終了し、公務まで代行している彼女を王家が手放すはずもなく、周囲の雑音をシャットアウトする形で半ば強引に押し進めた。

 そこには間違っても、隣国に渡す訳にはいかないという強い意志が感じられた。

『隣国に渡ったりしたらスバイ行為になるぞ』とまで言ってカエラを半ば脅すようにして必死に引き留めようとした。

 実家のことを考えても、カエラには国内に留まるしか選択肢はなかったのだ。

 これを聞いた隣国のゼット第二王子が、誘拐同然にカエラを拐って逃げようとしたが、水際で防がれゼット王子は国外退去処分となった。

 そんなこんながありつつ、本日めでたくカエラと正式に立太子したアレス王太子との婚約の日を迎えた。

 そこには新たにアレス王太子の側近となった、元生徒会メンバー達の姿もあった。副会長、書記、庶務を担当していた面々である。

 全員に祝福されたカエラは輝かんばかりの笑顔を浮かべて、新たな婚約者であるアレス王太子と仲睦まじく寄り添っていたのだった。


~ fin. ~
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