我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「伯爵家の女当主に手を出そうとしたんだもの。ただで済むとは思ってないでしょうね?」

「そ、それは...で、でも君も合意の上のはずじゃ...」

「お黙り!」

 私はヒールの踵をアランの目の前の床に「ダンッ!」と叩き付ける。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

 それだけでアランは縮み上がる。

「理解したかしら? 自分の立場を?」

 アランがコクコクと頷く。私はボーイに目配せしてアランを立ち上がらせる。

「許して欲しかったらこの女を全力で落としなさい」

 私はキャロラインの写真と簡単な身上調査書をテーブルの上に置いた。アランが食い入るように見詰める。

「だ、男爵令嬢!? お、落とせと言われても、貴族とは接点が...」

「接点はこちらでお膳立てするわ。段取りが付いたら連絡するから。いいわね?」

「は、はい...わ、分かりました...」

「もし怖じ気付いて逃げようなんてしたら」

 私はそっとボーイの方に目を向ける。ボーイは無表情のまま懐に手を入れる。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! わ、分かった! 分かりました! に、逃げたりしません! ち、誓います!」

「よろしい。用件は済んだわ。とっとと帰りなさい」

 アランは脱兎の如く逃げるように去って行った。

「フゥッ...クリフ様、お疲れ様でした」

「いやいや、楽しかった! なんか自分が悪役になったみたいで気持ち良かったよ! クセになりそうだね!」

「本当はその役、セバスチャンにやらせる予定だったんですがね...」

「こんな面白い役、誰にも譲る気はないね!」

「ハァッ...」

 私はため息を吐きながら、満面の笑みを浮かべているクリフトファー様を冷めた目で見詰めた。

「いやぁ、やっぱりアンリと一緒に居ると退屈しないねぇ!」

「はぁ、そりゃあよござんした...」

「で!? この後はどうするの!?」

 ...クリフトファー様、目がキラキラと輝いてますね...

「...我が家で開くお茶会にキャロラインを招待しようかなと...」

「いいねいいね! それからそれから!?」

「...アランを私の侍従として出席させ、キャロラインと接触させようかなと...」

「面白そう! 当然僕も参加するからね!」

「...そうですか...」

 ...私はもう色々と面倒臭くなって来たんで、勝手にしてくれとばかりにそう呟いた。

 まぁ邪魔さえしなければそれでいいかな...

 私は自分にそう言い聞かせて、お茶会の他の参加者を誰にしようかと頭を切り替えた。

 クリフトファー様がお忍びで参加する気なら、エリザベートは外しておいた方がいいな...

 
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