我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「そして第二に、私自身の気持ちなんですが、どうやら私は自分で思っている以上に、まだ婚約者に裏切られたことが堪えているみたいです。また裏切られるんじゃないか? また捨てられるんじゃないか? そう思うと全ての男の人に対して恐怖感というか嫌悪感を感じているようなんです。ただそう思う反面『この人はあの男とは違う。きっと今度こそ信じても大丈夫』って思う気持ちもどこかにあって、そんな思いが心の中で鬩ぎ合っていたりもしました。正直言って最後まで悩みましたが、自分の中で結論を出したのは今回の一件が起こる前です。だからあんまり気になさらないで下さい。もう終わったことですから」

 自分の気持ちを言い終えた私は、すっかり冷めてしまったお茶を一気に飲み干した。

 クリフトファー様はしばらく沈黙した後、絞り出すようにこう言った。

「...済まなかった...アンリのそんな気持ちに気付かず外堀を埋めるような真似までしてしまって...さぞや不快だったことだろう...」

「それもお気になさらず。兄との関係は逆に以前より良くなったように思いますから」

「...そう言って貰えると救われる...アンリ...いやアンリエット嬢、本当に申し訳なかった...」

 クリフトファー様は深く頭を下げた。私の呼び方も『アンリエット』に戻している。私が一度も『クリフ様』と呼ばなかったことで、ある程度は私の返事に対する予想も出来ていたのだろうなと思った。だから私は敢えてなにも言わず、クリフトファー様が頭を上げるのを待った。

 ややあって頭を上げたクリフトファー様は、どこか吹っ切れたような顔になっていた。

「それとアンリエット嬢、今回の一件に関してなんだが...スカーレットの実家であるモリシャン侯爵家から謝罪と慰謝料を払いたいという申し出が来ているんだが...」

「謹んでお断りします。謝罪も慰謝料も要りません。もう関わらないで欲しいとお伝え下さいまし」

「...君ならそう言うだろうと思ったよ...分かった。そちらに関しては僕の方から良く言い聞かせておくよ。アンリエット嬢に近付かないようにと」

 その時だった。コンコンと控え目に扉がノックされ、セバスチャンが申し訳無さそうな顔を覗かせた。

「ご歓談中に大変申し訳ございません。お嬢様にお客様がいらっしゃっておりまして...その...モリシャン侯爵様と名乗っておいでなんですが...如何致しましょうか...」

 まさしくその渦中の人物がこんなにタイミング良く現れるなんて...

 私はどうリアクションしたら良いのか一瞬判断に困った。
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