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183 (第三者視点)
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「うぅ...痛ててて...」
隣国であるバルバロッサに向かう道中、馬車の中でアランは痛みに耐えながら呻いていた。
「アラン、大丈夫か?」
御者席からウィリアムが心配そうに声を掛ける。
「大丈夫ばない...」
「済まない...俺が急がせたせいで...」
ウィリアムは恐縮頻りだ。ちなみにマックスはスヤスヤとお昼寝タイムである。
「いいさ、気にすんな。とにかく早いとこパトリックの野郎をとっ捕まえるのが先決だ」
「あぁ、そうだな...」
馬車は隣国との国境に近付いて来た。
「しばらくは我が母国ヴァルコランともお別れか」
アランがしみじみとそう呟いた。
「アランは国外に出るの初めてか?」
「あぁ、昔の俺はしがない役者だったからな。気軽に国外へと旅行できるような身分じゃなかったさ」
「そうか...」
「ウィリアム、お前さんはあるんだろ? 貴族のお坊っちゃんだったんだから」
「まぁな...それなりに...」
ウィリアムは居心地悪そうに頷いた。
「...なぁ、一つ聞いていいか?」
「なんだ?」
「...その...貴族になるって...どういうものなんだ?」
「なんでそんなこと聞く?」
「...いや、ちょっと...興味があるっていうか...その...」
アランにしては珍しく歯切れが悪い口振りに、ウィリアムは首を傾げた。
「興味ねぇ...お前さんにしては随分と持って回ったような言い回しだな」
「そんなんどうだっていいだろ...それで?」
「そうだな...まずは責任と義務が付いて回る」
「責任と義務...」
「あぁ、そうだ。貴族になるってことは領地を持つってことだからな。領地を持つっていうことは、そこに住む領民達の生活を守る義務が生じるってことだ。有事の際には体を張ってでもな。領民達に対して生殺与奪の権利を持っているからこそ、責任ある態度が求められるんだ。それが貴族の在り方だ」
「なるほど...」
「もっとも俺や俺の両親は、その責任も義務も全て放棄して領民達を食い物にした挙げ句、こんな落ちぶれた未来に辿り着いたって訳だがな...ハハハ...笑えるだろ? 自業自得の最たるものだよ...」
ウィリアムは自嘲気味に力なく笑った。
「ウィリアム...」
アランはとてもじゃないが笑える気分じゃなかった。
「う~ん...」
その時、マックスがお昼寝から目を覚ました。
「やぁ、マックス。おはよう」
アランは優しく語り掛けた。
「おはよ...」
「もうすぐパパに会えるからな」
「うん...パパに早く会いたい...」
「そうだな...」
アランはマックスを抱き上げその温もりを確かめることで、複雑な胸中を紛らわそうとしていた。
隣国であるバルバロッサに向かう道中、馬車の中でアランは痛みに耐えながら呻いていた。
「アラン、大丈夫か?」
御者席からウィリアムが心配そうに声を掛ける。
「大丈夫ばない...」
「済まない...俺が急がせたせいで...」
ウィリアムは恐縮頻りだ。ちなみにマックスはスヤスヤとお昼寝タイムである。
「いいさ、気にすんな。とにかく早いとこパトリックの野郎をとっ捕まえるのが先決だ」
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馬車は隣国との国境に近付いて来た。
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「アランは国外に出るの初めてか?」
「あぁ、昔の俺はしがない役者だったからな。気軽に国外へと旅行できるような身分じゃなかったさ」
「そうか...」
「ウィリアム、お前さんはあるんだろ? 貴族のお坊っちゃんだったんだから」
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ウィリアムは居心地悪そうに頷いた。
「...なぁ、一つ聞いていいか?」
「なんだ?」
「...その...貴族になるって...どういうものなんだ?」
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「...いや、ちょっと...興味があるっていうか...その...」
アランにしては珍しく歯切れが悪い口振りに、ウィリアムは首を傾げた。
「興味ねぇ...お前さんにしては随分と持って回ったような言い回しだな」
「そんなんどうだっていいだろ...それで?」
「そうだな...まずは責任と義務が付いて回る」
「責任と義務...」
「あぁ、そうだ。貴族になるってことは領地を持つってことだからな。領地を持つっていうことは、そこに住む領民達の生活を守る義務が生じるってことだ。有事の際には体を張ってでもな。領民達に対して生殺与奪の権利を持っているからこそ、責任ある態度が求められるんだ。それが貴族の在り方だ」
「なるほど...」
「もっとも俺や俺の両親は、その責任も義務も全て放棄して領民達を食い物にした挙げ句、こんな落ちぶれた未来に辿り着いたって訳だがな...ハハハ...笑えるだろ? 自業自得の最たるものだよ...」
ウィリアムは自嘲気味に力なく笑った。
「ウィリアム...」
アランはとてもじゃないが笑える気分じゃなかった。
「う~ん...」
その時、マックスがお昼寝から目を覚ました。
「やぁ、マックス。おはよう」
アランは優しく語り掛けた。
「おはよ...」
「もうすぐパパに会えるからな」
「うん...パパに早く会いたい...」
「そうだな...」
アランはマックスを抱き上げその温もりを確かめることで、複雑な胸中を紛らわそうとしていた。
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