我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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193 (第三者視点11)

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「フゥ...もういい...顔を上げろ...パトリック...」

 アランはため息を一つ吐いた後、仕方なしといったようにそう言った。ボコボコに殴られることを覚悟していたパトリックは、拍子抜けしたような表情を浮かべた。

 本来ならアランもそうするつもりだった。怪我を押してまでウィリアムに付き添って来たのはそれだけ怒っていたからだ。

 だがこうして見窄らしい格好のパトリックを見下ろていると、その怒りもどこかに霧散してしまった。それになにより、マックスが見ている目の前で父親をボコボコにするのは忍びなかった。

「謝るなら俺じゃなくお嬢にちゃんと謝れ。そんでボコられろ」

「...あぁ、そのつもりだ...」

 パトリックは項垂れながらそう呟いた。

「ウィリアム、支度しろ。帰るぞ。お嬢が待ってる」

「分かった。兄貴、マックス、帰ろう。我が祖国へ」


◇◇◇


 一方その頃。

 アンリエットは王都の屋敷で職務に追われていた。

「フゥ...久し振りだと結構堪えるわね...」

「お嬢様、少しご休憩なさって下さい」

 そこへセバスチャンがお茶を入れて来た。

「ありがとう...ん~...肩凝った...」

 アンリエットは両肩をグルグル回しながら凝りを解した。

「兄さんの具合はどう?」

「はい、お医者様のお話では疲労と栄養不足が重なったのが原因とのことでした。今は点滴を打ってお休みになられております」

「そう...大事に至らなくて良かったわ」

「...申し訳ございません...お嬢様...私が付いておりながら...」

 セバスチャンが唇を噛んで俯いた。

「しょうがないわよ。兄のことだからセバスチャンの忠告を無視したんでしょう?」

「...おっしゃる通りでございます...私も何度かご休憩をと進言したのですか...聞き入れて頂けず...」

「あぁ、それは昔からそうなのよ。特に締め切りが迫ってる時なんかは三徹四徹は当たり前みたいな感じでね。私も良く苦言を呈していたわ。いつか体壊すわよって。本人はまだ若いから大丈夫とかなんとかホザいて聞きゃあしなかったけど、そこら辺のツケが今になって回って来たのかも知れないわね。だからセバスチャン、あんまり気に病まないで?」

「...お気遣いありがとうございます...でも私がもっともっと強く言っていたらと思うと...自責の念に耐えません...」

「セバスチャン、後のことはメイドに任せてあなたも少し休みなさい。目の下の隈が凄いわよ? あなたもロクに寝てないんじゃないの?」

「いえ、そんな訳には...」

「いいから休みなさい。これは命令よ。あなたにまで倒れられたら大変だわ」 

「...畏まりました...」
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