我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 約一ヶ月後、今日は兄とエリザベートが式を挙げる日だ。私は緊張しながら鏡を覗き込む。

 この間、暗黒街に潜伏していたカスパート家が捕まり、男爵の爵位を剥奪されるなど諸々の後処理も片付いてホッと胸を撫で下ろしたり、兄の体調が元に戻ったことでエリザベートが歓喜したりと色々なことがあった。

「ね、ねぇ! シェイラ! わ、私どっかおかしくない!?」

「...はいはい...どこもおかしくありませんよ...とってもお綺麗です...」

「ほ、本当に!? ほ、ほら、髪型とかおかしくない!?」

「...だからおかしくありませんって...」

「も、もっと良く見てよ! ほ、ほら! く、口元とか! べ、紅塗り過ぎてない!?」

「...大丈夫ですって...ってか、このやり取りもう何度目ですか...いい加減にしてくださいよね...」

「だ、だってだってだってぇ~!」

「ハァッ...まぁ、お気持ちは良く分かりますけどね...なんてったって今日は合同結婚式の日なんですから...」

「わ、分かってくれるでしょう~! あぁ、めっちゃ緊張する~!」

 そう、実は...今日は私とアランが式を挙げる日でもあるのだ。あの日、お互いの気持ちを確かめ合った私達は、かねてよりエリザベートから提案のあった合同結婚式を受け入れることにした。エリザベートは大喜びしていた。

 そんなこんなで私は今、花嫁の控え室で極限状態の緊張感に包まれているという訳だ。う~...口から心臓が飛び出そうだよ...そんな時、控え目にドアがノックされた。

「お嬢、そろそろ出番だから...」

 白のタキシードに身を包んだアランが私を迎えに来てくれた。凛々しい姿ではあるが、アランも私と同じくらい緊張しているように見える。

「お嬢...綺麗だ...」

「あ、ありがとう...アランも...その...素敵よ...」

 まだお互いぎこちないし『お嬢』呼びも相変わらずではあるが、そこら辺は徐々に変えていければ良いと思っている。ゆっくり焦らず。私達のペースで。

「じ、じゃあ行こうか...」

「え、えぇ...」

 私達は互いに手を取り合い、大分お腹が目立ってきたエリザベートと兄が待つ結婚式場へと歩を進めた。親友のケイトリンも祝福してくれることだろう。

 思い返せばこれまでの私の人生、紆余曲折本当に様々なことが色々と起きたが、こうして無事に晴れの日を迎えられたことを心から嬉しく思う。これからアランと二人で目一杯幸せを謳歌して行きたい。それが今の私の願いだ。


 ~ fin. ~
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