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「これはこれは王太子殿下、いや今は国王陛下でしたな。ようこそ、こんな辺鄙な所に」
フリードリヒを出迎えたのは、幼子を抱いたシンだった。
「お、おい、シン。こ、これはどういうことだ!?」
フリードリヒが驚くのも無理は無い。そこにはバッドランドの一部とはとても思えない光景が広がっていたからだ。
広大な農園には様々な野菜や果物が実っている。その隣では牛が何頭も放牧されていて、鶏と一緒に草を食んでいる。馬も何頭か居るようだ。
そしてシンが出て来た家は巨大なログハウス仕立てになっていた。更に驚くことに、そこで働いているのは年端も行かない子供達ばかりだった。
「ここは避難小屋ですよ」
「避難小屋!?」
「えぇ、俺やアンジュのように親から見放された子供達を保護する施設です。アンジュはこれを作るために必死で金を貯めていたんですよ。退職金に拘ったのもそのためです。一人でも多くの子供を救いたい。自分のような酷い目に遭って欲しくない。その一心で」
「そうだったのか...」
フリードリヒはやっとアンジュの真意に気付いて神妙な顔になった。
「このなにもない荒れ地をここまで発展させるのは大変でしたが、子供達がとにかく頑張ってくれましてね。今はご覧の通りの状態になりました。自給自足が可能になったんですよ」
「そうなのか...見事なものだな...ちなみにその子は?」
フリードリヒはシンが抱いている子供がさっきから気になっていた。
「この子はアンジェリーナ。俺とアンジュの子です。そろそろ生後2ヶ月になります」
「アンジュの子...」
「えぇ、女の子です。ママ似で可愛いでしょ?」
「あ、あぁ、そうだな...」
フリードリヒは複雑な思いでそう呟いた。
「それで本日はどのようなご用で?」
「あ、あぁ、それなんだが...アンジュに話があってな...会わせてくれないだろうか?」
フリードリヒは歯切れ悪くそう言った。
「構いませんよ。ちょうど今から行くところでしたし。ご案内しましょう」
そう言ってシンは歩き出した。なぜか子供と一緒に花束まで抱えている。訝しく思いながらもフリードリヒは黙って付いて行った。
「どうぞ。こちらですよ」
シンに案内された先は...
小さなお墓の前だった...
フリードリヒは目を見張った。
「今日は2回目の月命日でしてね。ほら、アンジェリーナ。ママだぞ? ちゃんとご挨拶しなさい?」
フリードリヒは信じられないといった様子で、そんなシン親娘の様子を呆然と見詰めるのみだった。
フリードリヒを出迎えたのは、幼子を抱いたシンだった。
「お、おい、シン。こ、これはどういうことだ!?」
フリードリヒが驚くのも無理は無い。そこにはバッドランドの一部とはとても思えない光景が広がっていたからだ。
広大な農園には様々な野菜や果物が実っている。その隣では牛が何頭も放牧されていて、鶏と一緒に草を食んでいる。馬も何頭か居るようだ。
そしてシンが出て来た家は巨大なログハウス仕立てになっていた。更に驚くことに、そこで働いているのは年端も行かない子供達ばかりだった。
「ここは避難小屋ですよ」
「避難小屋!?」
「えぇ、俺やアンジュのように親から見放された子供達を保護する施設です。アンジュはこれを作るために必死で金を貯めていたんですよ。退職金に拘ったのもそのためです。一人でも多くの子供を救いたい。自分のような酷い目に遭って欲しくない。その一心で」
「そうだったのか...」
フリードリヒはやっとアンジュの真意に気付いて神妙な顔になった。
「このなにもない荒れ地をここまで発展させるのは大変でしたが、子供達がとにかく頑張ってくれましてね。今はご覧の通りの状態になりました。自給自足が可能になったんですよ」
「そうなのか...見事なものだな...ちなみにその子は?」
フリードリヒはシンが抱いている子供がさっきから気になっていた。
「この子はアンジェリーナ。俺とアンジュの子です。そろそろ生後2ヶ月になります」
「アンジュの子...」
「えぇ、女の子です。ママ似で可愛いでしょ?」
「あ、あぁ、そうだな...」
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「それで本日はどのようなご用で?」
「あ、あぁ、それなんだが...アンジュに話があってな...会わせてくれないだろうか?」
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「構いませんよ。ちょうど今から行くところでしたし。ご案内しましょう」
そう言ってシンは歩き出した。なぜか子供と一緒に花束まで抱えている。訝しく思いながらもフリードリヒは黙って付いて行った。
「どうぞ。こちらですよ」
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