えぇ、死ねばいいのにと思ってやりました。それが何か?

真理亜

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「この際、お金払うからとも言ってましたよ?」

 オリンは尚も食い下がる。

「要らんわぁ! 私は商売女じゃねぇって言ってんだろ!」

 サーシャは先程から怒鳴りっ放しだ。周り中は既にドン引きである。

「先っちょだけでもいいからとも」

 オリンも諦めない。

「しつこいわぁ~! ハァハァッ...」

 怒鳴り過ぎたサーシャは息も絶え絶えだ。

「いやこんな場所で悩ましげな吐息を吐かれても...」

 さすがにオリンも引いた。

「吐いてねぇし...」

 サーシャはそう言うので精一杯だった。

「ねぇあなた、さっきから気になっていたんだけど」

 そこにずっと沈黙していたアリンが口を挟む。

「お腹がポッコリしてない? ちょっと太った?」

「ギクッ! ななななんのことかしらぁ~?」

「いや自分でギクッって言っちゃってるし。あなたまさか...」

「ななななによ!?」

 サーシャの顔面から汗が滴り落ちる。

「何ヵ月なの?」

「だだだだからぁ、ななななんの話よぉ!」

 汗が滝のように流れ出した。

「さっきから動揺しまくりじゃないの...それで? 誰の子か分かってるの?」

「た、だから! 妊娠なんてしてないったら! このお腹はほらあれよ! メタボよ!」

「メタボって...あなた幾つよ...はぁ...まぁそれだけ乱れた性生活を送ってりゃそうなるわよね。自業自得だわ...さて、あなた達」

 そこでアリンは自分の周りに居るイリン達に向かって、

「この女を肉体的にも精神的にも追い詰めるのはここまでよ。こいつの犯した罪は許し難いけど、産まれて来る子供に罪は無いわ。いいわね?」

「「「「 Yes,Ma'am! 」」」」

 四人全員の声が見事にハモッた。まるで軍隊のように。

「ちょっとぉ! 人の話をちゃんと聞きなさいよぉ! なんで妊娠を前提に話を進めてるのよぉ! これはスイーツを食べ過ぎたんだってばぁ!」

 サーシャが涙ながらに(ちなみに嘘泣きではなくマジ泣きである)訴えるが、誰も聞いちゃいない。

「カイン殿下、そういうことなので、私達は失礼させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「えっ!? あ、あぁ、そうだな...」

 もはやカインは放心状態だった。

「あぁ、そうでした。忘れる所でしたわ。あなた達、準備はいい?」

「「「「 Yes,Ma'am! 」」」」

 カイン含め、ここに集まっている全員がなんだろう? というような顔をしている中、アリン含めた五人が一斉に、

「「「「「 婚約者様、謹んで婚約破棄させて頂きますわ! 」」」」」

 そう言って軽やかな足取りで会場を後にした。

 残された人々はその姿を呆然と見送っていた。


 

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