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「そ、それは確かにイヤだが...ま、まさかそんな...ん? ちょっと待てよ?」
マリウスはなにかに気付いたようだ。
「どうしました?」
「なぁ、その理屈で言ったらミランダもサキュバスってことにならないか?」
そう、アマンダの娘であるならミランダも当然そうなる。そのことを突っ込んでみたのだが、
「殿下、鎧を脱ぎなさい」
ミランダは聞いたことも無いような低い声でそう言った。
「へっ!?」
マリウスが間の抜けた声を漏らす。
「脱ぎなさい」
ミランダは更に低い声で繰り返した。
「な、なんで!?」
「そんな悪いことを言う殿下には、鎧無しで私の魔法を叩き込んで教育し直してあげます」
「そ、そんなのイヤぁ~!」
堪らずマリウスは逃げ出した。あれだけ疲れてたはずなのにそんなこと物ともせずといった勢いで。
「待ちなさい!」
ミランダは鬼のような形相でマリウスを追い掛けた。
◇◇◇
一方その頃、
「は、ハックショイッ!」
南の砦ではアマンダが盛大にくしゃみしていた。
「うぅ~...誰か私の噂でもしてんのかしら...ズルズル...」
「そうじゃないだろうが! そんな格好しておるからだ! ほれ、これを羽織れ!」
ガストンは上着を脱いで、タンクトップに短パンという薄着姿の妻を庇った。
「イヤよぉ~! これなんか汗臭いし~!」
「喧しい! 言うこと聞け!」
我が儘言うアマンダをガストンが叱り付ける。寒さを防ぐというより、そんなあられもない姿の妻を周囲に晒したくなかったという方が大きいだろう。
「こんな軍服お洒落じゃない~!」
「文句言うな!」
なんだかんだ言っても脱ごうとしない辺りは、やはり夫婦であるということの証なのだろう。
「あらあらまぁまぁ、昼間っからお熱いことで♪」
そんな夫婦のやり取りを微笑ましく見守っていたリリアナが、揶揄うようにそう言って煽った。
「ちょ、ちょっとリリアナちゃん! 変なこと言わないでよね! 誰がこんな人と!」
「こんな人とはなんだぁ!」
「ウフフ♪ これなら部屋は同じでいいですよね♪ 別にしようかと思ったけど、そんな気遣い無用ですね♪」
リリアナはニヤケ顔でそう言った。ちなみに南の砦の総責任者はリリアナの父であるライリー辺境伯なのだが、現在は怪我を負って療養中なので、実務部隊の指揮はリリアナに一任されている。
「同じ部屋なんてイヤよぉ~! 襲われちゃう~!」
「襲われるってお前な...夫婦が同室なのは当然だろうが...リリアナ嬢、同室で構わん」
「ごゆっくり~♪」
リリアナのニヤケ顔は止まらない。
「私の意見無視~!?」
ここに居る間にミランダの弟か妹が仕込まれるかも知れないな。そう思うだけでリリアナの顔はニヤケっ放しになるのだった。
マリウスはなにかに気付いたようだ。
「どうしました?」
「なぁ、その理屈で言ったらミランダもサキュバスってことにならないか?」
そう、アマンダの娘であるならミランダも当然そうなる。そのことを突っ込んでみたのだが、
「殿下、鎧を脱ぎなさい」
ミランダは聞いたことも無いような低い声でそう言った。
「へっ!?」
マリウスが間の抜けた声を漏らす。
「脱ぎなさい」
ミランダは更に低い声で繰り返した。
「な、なんで!?」
「そんな悪いことを言う殿下には、鎧無しで私の魔法を叩き込んで教育し直してあげます」
「そ、そんなのイヤぁ~!」
堪らずマリウスは逃げ出した。あれだけ疲れてたはずなのにそんなこと物ともせずといった勢いで。
「待ちなさい!」
ミランダは鬼のような形相でマリウスを追い掛けた。
◇◇◇
一方その頃、
「は、ハックショイッ!」
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「うぅ~...誰か私の噂でもしてんのかしら...ズルズル...」
「そうじゃないだろうが! そんな格好しておるからだ! ほれ、これを羽織れ!」
ガストンは上着を脱いで、タンクトップに短パンという薄着姿の妻を庇った。
「イヤよぉ~! これなんか汗臭いし~!」
「喧しい! 言うこと聞け!」
我が儘言うアマンダをガストンが叱り付ける。寒さを防ぐというより、そんなあられもない姿の妻を周囲に晒したくなかったという方が大きいだろう。
「こんな軍服お洒落じゃない~!」
「文句言うな!」
なんだかんだ言っても脱ごうとしない辺りは、やはり夫婦であるということの証なのだろう。
「あらあらまぁまぁ、昼間っからお熱いことで♪」
そんな夫婦のやり取りを微笑ましく見守っていたリリアナが、揶揄うようにそう言って煽った。
「ちょ、ちょっとリリアナちゃん! 変なこと言わないでよね! 誰がこんな人と!」
「こんな人とはなんだぁ!」
「ウフフ♪ これなら部屋は同じでいいですよね♪ 別にしようかと思ったけど、そんな気遣い無用ですね♪」
リリアナはニヤケ顔でそう言った。ちなみに南の砦の総責任者はリリアナの父であるライリー辺境伯なのだが、現在は怪我を負って療養中なので、実務部隊の指揮はリリアナに一任されている。
「同じ部屋なんてイヤよぉ~! 襲われちゃう~!」
「襲われるってお前な...夫婦が同室なのは当然だろうが...リリアナ嬢、同室で構わん」
「ごゆっくり~♪」
リリアナのニヤケ顔は止まらない。
「私の意見無視~!?」
ここに居る間にミランダの弟か妹が仕込まれるかも知れないな。そう思うだけでリリアナの顔はニヤケっ放しになるのだった。
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