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結局、なんの進展も無いまま時は過ぎ、いよいよ立太子の式典が明日に迫った日の夜のことだった。ミランダはアマンダを自室に呼んで、リリアナ変装のリハーサルに余念が無かった。
「だからミランダ! 先にサラシを巻いて胸を抑えないとリリアナちゃんらしさが出ないんだってば!」
「えぇ~...サラシ今から巻くの~? 窮屈でイヤなんだけど...」
「引き受けたんなら文句言わない! ほら、さっさとそのデカい胸を隠しなさい!」
「はいはい...」
「はいは一回!」
「はぁ~い...あぁ、引き受けるんじゃなかった...リリアナの変装ホント面倒だな...」
「ほら! ブツクサ言ってないで姿勢を正しなさい! リリアナちゃんの立ち居振舞いを完璧にマスターする必要があるんだから!」
「うぇぇ...」
次第にウンザリして来たミランダのケツをひっぱたくようにして、アマンダ主導によるリリアナ変装リハーサルは深夜まで及んだ。
「ミランダ? ちょっといいか?」
するとそんなリハーサル中のミランダの部屋を、マリウスが申し訳無さそうな顔をして訪ねて来た。
「こんな時間に済まない...どうしても言っておきたいことが...あって!?」
間が悪いことに、ちょうどその時ミランダはサラシの位置を直していた。つまりどういうことかと言うと..
「ブッハァッ!」
「こんの出歯亀がぁ!」
ミランダの大きく育ったお胸をマトモに見てしまったマリウスが鼻血を吹き出すのと、お胸を見られた羞恥で真っ赤になったミランダが、風の魔法でマリウスを吹っ飛ばしたのはほぼ同時だった。
「あらあらぁ♪ 若いっていいわねぇ♪」
アマンダはとても良い笑顔を浮かべてそう言った。
◇◇◇
一方その頃、夜の闇に紛れてカーミラも動き出していた。王都の真ん中に位置する大聖堂。その裏手にコッソリと回って魔族特有の鋭い鉤爪を伸ばし、大聖堂の外壁に爪を立てた。そしてゆっくりとその壁をより登り始めた。
目指すは王都で一番高い場所、大聖堂のてっぺんに鎮座する大鐘楼である。
「フゥ...やっと着いた...あぁ、疲れた...」
魔力を使って飛べば一瞬なのだが、ミランダに気付かれるかも知れない。リスクは出来るだけ避ける必要があったので、こうして地道に登って来た訳だった。
カーミラは疲れた手足を伸ばしながら、王都の町並みを睥睨した。深夜なので灯りが点いている場所は極僅かで、ほとんどが闇に包まれている。
「ウフフッ。明日が見物ね。さぁ、人間ども。思う存分私の手の平の中で踊るといいわ。せいぜい楽しませてちょうだいね」
そう言ってカーミラは妖艶な笑みを浮かべた。
「だからミランダ! 先にサラシを巻いて胸を抑えないとリリアナちゃんらしさが出ないんだってば!」
「えぇ~...サラシ今から巻くの~? 窮屈でイヤなんだけど...」
「引き受けたんなら文句言わない! ほら、さっさとそのデカい胸を隠しなさい!」
「はいはい...」
「はいは一回!」
「はぁ~い...あぁ、引き受けるんじゃなかった...リリアナの変装ホント面倒だな...」
「ほら! ブツクサ言ってないで姿勢を正しなさい! リリアナちゃんの立ち居振舞いを完璧にマスターする必要があるんだから!」
「うぇぇ...」
次第にウンザリして来たミランダのケツをひっぱたくようにして、アマンダ主導によるリリアナ変装リハーサルは深夜まで及んだ。
「ミランダ? ちょっといいか?」
するとそんなリハーサル中のミランダの部屋を、マリウスが申し訳無さそうな顔をして訪ねて来た。
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間が悪いことに、ちょうどその時ミランダはサラシの位置を直していた。つまりどういうことかと言うと..
「ブッハァッ!」
「こんの出歯亀がぁ!」
ミランダの大きく育ったお胸をマトモに見てしまったマリウスが鼻血を吹き出すのと、お胸を見られた羞恥で真っ赤になったミランダが、風の魔法でマリウスを吹っ飛ばしたのはほぼ同時だった。
「あらあらぁ♪ 若いっていいわねぇ♪」
アマンダはとても良い笑顔を浮かべてそう言った。
◇◇◇
一方その頃、夜の闇に紛れてカーミラも動き出していた。王都の真ん中に位置する大聖堂。その裏手にコッソリと回って魔族特有の鋭い鉤爪を伸ばし、大聖堂の外壁に爪を立てた。そしてゆっくりとその壁をより登り始めた。
目指すは王都で一番高い場所、大聖堂のてっぺんに鎮座する大鐘楼である。
「フゥ...やっと着いた...あぁ、疲れた...」
魔力を使って飛べば一瞬なのだが、ミランダに気付かれるかも知れない。リスクは出来るだけ避ける必要があったので、こうして地道に登って来た訳だった。
カーミラは疲れた手足を伸ばしながら、王都の町並みを睥睨した。深夜なので灯りが点いている場所は極僅かで、ほとんどが闇に包まれている。
「ウフフッ。明日が見物ね。さぁ、人間ども。思う存分私の手の平の中で踊るといいわ。せいぜい楽しませてちょうだいね」
そう言ってカーミラは妖艶な笑みを浮かべた。
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