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「グエッ! グエッ!」
その時、王宮の上空からそんな鳴き声が聞こえた。
「あの声は!」
「ファルファル!」
マリウスとアマンダは声を揃えて叫んだ後、王宮の中庭へと急いだ。
「マリウス殿下! おば様!」
中庭では、リリアナを乗せたファルファルがちょうど着地するところだった。
「リリアナ!」
「リリアナちゃん!」
二人が駆け寄ると、リリアナは華麗にジャンプしてファルファルの背から飛び降りた。
「マリウス殿下、おば様、ご心配をお掛けしまして申し訳ございませんでした」
まず最初にリリアナは、二人に平身低頭して詫びを入れた。
「いやいや、君が回復したことがなによりだよ」
「リリアナちゃん、もう体は大丈夫なの?」
「はい、お陰様ですっかり元に戻りました。あの...それで...クラウド殿下はまだ...」
リリアナは恐る恐るといった感じで尋ねた。
「リリアナちゃん、安心して? ついさっき、目を覚まされたわ」
「本当ですかぁ~! 良かったぁ~!」
途端にリリアナはホッとしたように笑顔を浮かべた。
「ただ今はまだ、無理は禁物なんでまたお休みになっておられるの。もう少ししたら、完全にお目覚めになられると思うわ」
「そうですか...あの...クラウド殿下のお側に付いていても構いませんか?」
「えぇ、いいわよ。医務室に案内するわ」
◇◇◇
「クラウド殿下...」
医務室ではクラウドが穏やかな寝息を立てていた。リリアナはクラウドの手をそっと握り締めた。クラウドの温かさに触れた途端、リリアナは我知らず涙を流していた。
そんな姿を微笑ましく見守っていたアマンダは、二人っきりにさせてあげようと思い、静かに部屋の外へ出た。
「どうだった?」
部屋の外ではマリウスが待ち構えていた。遠慮して中に入らなかったのだ。
「まだ眠っておいででした」
「そうか...なぁ、アマンダ夫人」
「はい?」
「その...兄上が完全に回復したことを確認できたら、すぐ北の砦に戻るってことでいいんだよな?」
マリウスとしては一刻も早くミランダに会って謝りたいので、その点を気にせずにはいられなかった。
「なんです? そんなにミランダのことが恋しくなっちゃったんですか?」
アマンダは全てを見透かしたかのように、ちょっと悪戯っぽく笑いながらそう言った。
「だ、誰がそんな!...いや、その通りだ...会いたくて仕方ない...」
恥ずかしくなって一度は否定しようとしたマリウスだったが、結局は本音を吐露した。隠しきれてないのがバレバレだったからだ。
「あらあらぁ~♪ 若いっていいわねぇ~♪」
アマンダの煽りにマリウスは顔を真っ赤にした。
その時、王宮の上空からそんな鳴き声が聞こえた。
「あの声は!」
「ファルファル!」
マリウスとアマンダは声を揃えて叫んだ後、王宮の中庭へと急いだ。
「マリウス殿下! おば様!」
中庭では、リリアナを乗せたファルファルがちょうど着地するところだった。
「リリアナ!」
「リリアナちゃん!」
二人が駆け寄ると、リリアナは華麗にジャンプしてファルファルの背から飛び降りた。
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「いやいや、君が回復したことがなによりだよ」
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「はい、お陰様ですっかり元に戻りました。あの...それで...クラウド殿下はまだ...」
リリアナは恐る恐るといった感じで尋ねた。
「リリアナちゃん、安心して? ついさっき、目を覚まされたわ」
「本当ですかぁ~! 良かったぁ~!」
途端にリリアナはホッとしたように笑顔を浮かべた。
「ただ今はまだ、無理は禁物なんでまたお休みになっておられるの。もう少ししたら、完全にお目覚めになられると思うわ」
「そうですか...あの...クラウド殿下のお側に付いていても構いませんか?」
「えぇ、いいわよ。医務室に案内するわ」
◇◇◇
「クラウド殿下...」
医務室ではクラウドが穏やかな寝息を立てていた。リリアナはクラウドの手をそっと握り締めた。クラウドの温かさに触れた途端、リリアナは我知らず涙を流していた。
そんな姿を微笑ましく見守っていたアマンダは、二人っきりにさせてあげようと思い、静かに部屋の外へ出た。
「どうだった?」
部屋の外ではマリウスが待ち構えていた。遠慮して中に入らなかったのだ。
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「だ、誰がそんな!...いや、その通りだ...会いたくて仕方ない...」
恥ずかしくなって一度は否定しようとしたマリウスだったが、結局は本音を吐露した。隠しきれてないのがバレバレだったからだ。
「あらあらぁ~♪ 若いっていいわねぇ~♪」
アマンダの煽りにマリウスは顔を真っ赤にした。
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