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第4話 少年は残念少女と出会う
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アレクが初めてソフィアに出会ったのは10歳の時だった。
その日、王宮では第2王子レイナルドの婚約者と側近候補を決めるお茶会が開かれていた。レイナルドと同い年のアレクも侯爵子息ということもあり、当然招待されていたが、端から側近になる気のない彼は早々に退屈していた。
王子に我先にと群がる貴族子女達に嫌気が刺したアレクは、王宮の中庭に避難していた。ここで時間を潰して適当な時間になったらさっさと帰ろう、そう思っていた。その時、
ゴソ、ゴソ、ゴソ...
近くの茂みの中から何やら音がする。なんだろう? と思って近付いてみたらそこに、
見目麗しい天使が居た。
思わず目を擦った。幻ではないかと。それくらい現実離れした美少女だった。アレクは一目で恋に落ちた。まさに一目惚れというヤツである。
その少女は茂みに隠れるようにして、ある一点を見詰めていた。なにを見てるんだろう? 気になったアレクは少女に近付いた。
パキッ!
アレクが小枝を足で踏んで折ってしまった音が響いた。その瞬間、振り向いた少女の碧い瞳がアレクの姿を捕らえた。透き通るような碧い瞳に見詰められたアレクは、そのまま吸い込まれそうな気がして、その場に立ち尽くした。すると少女は人差し指を口にあて、
「シッ!」
とアレクを嗜めた。状況が理解出来ないアレクが立ったままでいると、業を煮やしたのか、なんと少女はアレクの手を引っ張り、茂みに引き込んだ。
少女の柔らかい手の感触と甘い香りにボーっとしそうになったアレクに少女は、
「なにやってんのよっ! 見付かったどうするつもり?」
と低い声で囁くようにアレクを叱った。何故叱られたのか良く分からないアレクは、少女の視線の先を追って、
「あぁ...」
やっと理解した。
そこには今日の主役である第2王子のレイナルドと、その側近になると噂されている3人の姿があった。少女はそんな彼らを隠れて熱心に見ているということだ。つまりこの少女もご多分に漏れず、王子の婚約者の座を狙っている内の一人という訳で...
アレクの火照っていた顔の熱が急に冷めた。勝手な思い込みだが、この少女だけは違うと思っていた。いや、違うと思いたかった。そしてこれも勝手に裏切られたと思ったアレクは、黙ってその場を離れようとした。その時だった。
「見て見てっ! レイナルド殿下! それにブラッド様にデレク様、マシュー様まで! 推しメンが勢揃いなんて眼福だわぁ~! 尊いわぁ~! あ、ほら見て見て見てっ! 今、レイナルド殿下がブラッド様の肩に手を回したわっ! それをデレク様とマシュー様が羨ましそうに見てるわっ! いいわぁ~! いいわぁ~! これぞカップリング、これぞBLの世界よねっ!」
この娘はなにを言ってるんだろう?
恍惚とした表情を浮かべて、興奮しながらも声を潜めるのは忘れないという、器用な真似をする不思議な少女のことを、本当の意味でアレクが理解するのはもう少し先になる。
その日、王宮では第2王子レイナルドの婚約者と側近候補を決めるお茶会が開かれていた。レイナルドと同い年のアレクも侯爵子息ということもあり、当然招待されていたが、端から側近になる気のない彼は早々に退屈していた。
王子に我先にと群がる貴族子女達に嫌気が刺したアレクは、王宮の中庭に避難していた。ここで時間を潰して適当な時間になったらさっさと帰ろう、そう思っていた。その時、
ゴソ、ゴソ、ゴソ...
近くの茂みの中から何やら音がする。なんだろう? と思って近付いてみたらそこに、
見目麗しい天使が居た。
思わず目を擦った。幻ではないかと。それくらい現実離れした美少女だった。アレクは一目で恋に落ちた。まさに一目惚れというヤツである。
その少女は茂みに隠れるようにして、ある一点を見詰めていた。なにを見てるんだろう? 気になったアレクは少女に近付いた。
パキッ!
アレクが小枝を足で踏んで折ってしまった音が響いた。その瞬間、振り向いた少女の碧い瞳がアレクの姿を捕らえた。透き通るような碧い瞳に見詰められたアレクは、そのまま吸い込まれそうな気がして、その場に立ち尽くした。すると少女は人差し指を口にあて、
「シッ!」
とアレクを嗜めた。状況が理解出来ないアレクが立ったままでいると、業を煮やしたのか、なんと少女はアレクの手を引っ張り、茂みに引き込んだ。
少女の柔らかい手の感触と甘い香りにボーっとしそうになったアレクに少女は、
「なにやってんのよっ! 見付かったどうするつもり?」
と低い声で囁くようにアレクを叱った。何故叱られたのか良く分からないアレクは、少女の視線の先を追って、
「あぁ...」
やっと理解した。
そこには今日の主役である第2王子のレイナルドと、その側近になると噂されている3人の姿があった。少女はそんな彼らを隠れて熱心に見ているということだ。つまりこの少女もご多分に漏れず、王子の婚約者の座を狙っている内の一人という訳で...
アレクの火照っていた顔の熱が急に冷めた。勝手な思い込みだが、この少女だけは違うと思っていた。いや、違うと思いたかった。そしてこれも勝手に裏切られたと思ったアレクは、黙ってその場を離れようとした。その時だった。
「見て見てっ! レイナルド殿下! それにブラッド様にデレク様、マシュー様まで! 推しメンが勢揃いなんて眼福だわぁ~! 尊いわぁ~! あ、ほら見て見て見てっ! 今、レイナルド殿下がブラッド様の肩に手を回したわっ! それをデレク様とマシュー様が羨ましそうに見てるわっ! いいわぁ~! いいわぁ~! これぞカップリング、これぞBLの世界よねっ!」
この娘はなにを言ってるんだろう?
恍惚とした表情を浮かべて、興奮しながらも声を潜めるのは忘れないという、器用な真似をする不思議な少女のことを、本当の意味でアレクが理解するのはもう少し先になる。
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