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第3話 不幸な少女
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男爵令嬢のソフィーは学園で虐められていた。
実家は貴族とは名ばかりの貧乏男爵家で、学費を払うこともままならず、本来なら入学するのを諦めるはずだった。
ところが、ソフィーの入学する年に特待生制度が導入されることになった。入学テストで優秀な成績を修めれば学費が免除されるということで、ソフィーは頑張った。
元々頭が良かったこともあり、見事に特待生枠を勝ち取った。両親も大喜びしてくれた。晴れて学園に入学したソフィーだが、その日から主に中位貴族の令嬢からの虐めが始まった...
貧乏男爵令嬢だからということだけではなく、ソフィーの容姿にも虐められる要素があった。この国では珍しい黒髪に黒い瞳、人形のようにキレイに整った顔立ち、小柄でしかも華奢で触れたら折れてしまいそうなくらい細い手足。
黒は不吉だと詰られ、美人だからってお高くとまっていると揶揄され、細いのは貧乏くさいと罵られた。
貴族子女が通うこの学園には、入学試験の成績上位者が生徒会に入るという慣例がある。ソフィーも例外ではなく、生徒会に入ったはいいが、同じ年に入学した第2王子のレイナルドとその取り巻き三人も生徒会入りしたことで、嫉妬からますます虐めがエスカレートした。
持ち物を隠されたり、机に落書きされたり、引き出しにゴミを入れられたり、用も無いのに近付いてきてわざとぶつかったり、トイレの個室に閉じ込められて上から水を掛けられたり...次第にソフィーは精神的にも肉体的にも追い詰められていた。
教師に相談しようにも、つげ口したのがバレたら何をされるの分からない。怖くて何も言えなかった。相談出来るような親しい友人も居ない。まさに八方塞がりだった。
(こんなはずじゃなかったのに...)
夢見ていたバラ色の学園生活が灰色に染まって行くのをただ黙って見ていることしかできない。悔しい、虚しい、なんで自分ばっかりこんな目に...こんな辛い毎日を送るくらいならいっそ辞めちゃおうかな...
そんな時だった。悲嘆に暮れていたソフィーに運命を変える出会いが訪れたのは。
ある日、ソフィーが廊下を歩いていると、前方から虐めの首謀者達がニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながら近付いてきた。
ソフィーは脇に寄ってやり過ごそうとしたが、すれ違いざまに足をかけられ前方につんのめった。せめて顔から落ちるのだけは回避しようとしたが間に合わず、諦めて目を閉じた瞬間、
ポヨンっと柔らかい何かに抱き止められた。
「えっ?」
そっと見上げると、そこには目も眩むような美少女の驚いた顔があった。
「あら?」
「ソ、ソフィア様! 大変申し訳ございません!」
あろうことか、公爵令嬢であるソフィアに抱き付いてしまった。同じクラスで名前が似ていることもあり、隣の席になったが今まで会話を交わしたことはなかった。
話掛けるのが恐れ多くてこっそり愛でるだけで満足していたのだ。そんなソフィアの立派なお胸に顔を埋めている今の状況は...
(マズイマズイマズイ~! こんな高位貴族のご令嬢に粗相を働くなんて! 只でさえ弱い立場なのに、これ以上怒りを買ったら、私この学園で生きていけない~!...あぁ、でもなんて柔らかい、それにめっちゃ良い香りがする。スンスン...クンカクンカ...フガフガ...って、そんな場合じゃないっての!)
やっと我に返って(名残を惜しみながら)ソフィアから離れて平身低頭謝っていると、
「気にしないで、私も前を良く見てなかったし、お互い様よ。あらでもちょっと待って、あなたタイが曲がっていてよ。ほら、これで直ったわ。ではご機嫌よう」
颯爽と去って行くソフィアの後ろ姿をボーっと見送った後、ソフィーがポツリと呟いた。
「お姉様...」
どうやらソフィーの新しい扉を開いてしまったソフィアだが、もちろん本人にそんな自覚は無く、頭の中を占めるのは相変わらずカップリングのことだけだった。
その様子を虐め首謀者達(長いんで次からは虐メン)は隠れて歯軋りしながら睨み付けていた。
実家は貴族とは名ばかりの貧乏男爵家で、学費を払うこともままならず、本来なら入学するのを諦めるはずだった。
ところが、ソフィーの入学する年に特待生制度が導入されることになった。入学テストで優秀な成績を修めれば学費が免除されるということで、ソフィーは頑張った。
元々頭が良かったこともあり、見事に特待生枠を勝ち取った。両親も大喜びしてくれた。晴れて学園に入学したソフィーだが、その日から主に中位貴族の令嬢からの虐めが始まった...
貧乏男爵令嬢だからということだけではなく、ソフィーの容姿にも虐められる要素があった。この国では珍しい黒髪に黒い瞳、人形のようにキレイに整った顔立ち、小柄でしかも華奢で触れたら折れてしまいそうなくらい細い手足。
黒は不吉だと詰られ、美人だからってお高くとまっていると揶揄され、細いのは貧乏くさいと罵られた。
貴族子女が通うこの学園には、入学試験の成績上位者が生徒会に入るという慣例がある。ソフィーも例外ではなく、生徒会に入ったはいいが、同じ年に入学した第2王子のレイナルドとその取り巻き三人も生徒会入りしたことで、嫉妬からますます虐めがエスカレートした。
持ち物を隠されたり、机に落書きされたり、引き出しにゴミを入れられたり、用も無いのに近付いてきてわざとぶつかったり、トイレの個室に閉じ込められて上から水を掛けられたり...次第にソフィーは精神的にも肉体的にも追い詰められていた。
教師に相談しようにも、つげ口したのがバレたら何をされるの分からない。怖くて何も言えなかった。相談出来るような親しい友人も居ない。まさに八方塞がりだった。
(こんなはずじゃなかったのに...)
夢見ていたバラ色の学園生活が灰色に染まって行くのをただ黙って見ていることしかできない。悔しい、虚しい、なんで自分ばっかりこんな目に...こんな辛い毎日を送るくらいならいっそ辞めちゃおうかな...
そんな時だった。悲嘆に暮れていたソフィーに運命を変える出会いが訪れたのは。
ある日、ソフィーが廊下を歩いていると、前方から虐めの首謀者達がニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながら近付いてきた。
ソフィーは脇に寄ってやり過ごそうとしたが、すれ違いざまに足をかけられ前方につんのめった。せめて顔から落ちるのだけは回避しようとしたが間に合わず、諦めて目を閉じた瞬間、
ポヨンっと柔らかい何かに抱き止められた。
「えっ?」
そっと見上げると、そこには目も眩むような美少女の驚いた顔があった。
「あら?」
「ソ、ソフィア様! 大変申し訳ございません!」
あろうことか、公爵令嬢であるソフィアに抱き付いてしまった。同じクラスで名前が似ていることもあり、隣の席になったが今まで会話を交わしたことはなかった。
話掛けるのが恐れ多くてこっそり愛でるだけで満足していたのだ。そんなソフィアの立派なお胸に顔を埋めている今の状況は...
(マズイマズイマズイ~! こんな高位貴族のご令嬢に粗相を働くなんて! 只でさえ弱い立場なのに、これ以上怒りを買ったら、私この学園で生きていけない~!...あぁ、でもなんて柔らかい、それにめっちゃ良い香りがする。スンスン...クンカクンカ...フガフガ...って、そんな場合じゃないっての!)
やっと我に返って(名残を惜しみながら)ソフィアから離れて平身低頭謝っていると、
「気にしないで、私も前を良く見てなかったし、お互い様よ。あらでもちょっと待って、あなたタイが曲がっていてよ。ほら、これで直ったわ。ではご機嫌よう」
颯爽と去って行くソフィアの後ろ姿をボーっと見送った後、ソフィーがポツリと呟いた。
「お姉様...」
どうやらソフィーの新しい扉を開いてしまったソフィアだが、もちろん本人にそんな自覚は無く、頭の中を占めるのは相変わらずカップリングのことだけだった。
その様子を虐め首謀者達(長いんで次からは虐メン)は隠れて歯軋りしながら睨み付けていた。
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